サイトアイコン IT NEWS

Y Combinatorが育成対象スタートアップへの投資規模を縮小

米国時間6月26日のブログ記事で、Y Combinatorの社長であるGeoff Ralston(ジェフ・ラルストン)氏は、スタートアップのための規約を2カ所変更すると記している。

まず、YCのスタートアップの標準的な契約の規模が、15万ドル(約1600万円)で7%、投資前評価額でほぼ210万ドル(約2億3000万円)から、同じ所有権に対して12万5000ドル(約1400万円)、投資前評価額でおよそ179万ドル(約1億9000万円)に減額される。契約は引き続きSAFEで提供される。これはYCを含むグループが開拓した転換社債よりもシンプルな投資オプションだ。

興味深いのはその規約に、同社は常に今後のラウンドの規模の4%しか比例配分を取らないと明記していることだ。これはいうまでもなく、同社がその資金調達を買っている7%の所有権よりも明らかに小さい。この4%は上限であり、アクセラレーターの所有権が4%未満だった場合は小さい方のパーセンテージが適用される。Y Combinatorの契約に関する規約の全文は同社のウェブサイトで読むことができる

この新たな契約は、Y Combinatorの2021年冬季以降の参加スタートアップに適用され、すでに投資されていると思われる現在の2020夏季のスタートアップは含まれない。

YCの契約は、これまでも変わってきた。同社が10年ほど前にローンチしたときは2万ドル(約210万円)を6%で提供した。

Y Combinatorのスポークスパーソンによると、この変更はアクセラレーターとしての同社の今後の資金調達および予算の現実に即したものだ。すなわちそれは「今後の経済が予測不可能なので、その間は経営をスリム化した方が賢明である。しかし弊社は、これからもできるだけ多くの創業者に出資していきたい。現在のように、消費者と企業の両方に前例のない変化が起きているときには、特にそうだ。変化は、スタートアップに無限の機会をもたらすだろう。弊社の標準的契約を変更したことによって、従来よりもさらに3000社もの企業に出資できる」ということだ。

予算以外にも、ここには少なくとも2つの要素が働いているようだ。ひとつは自宅に限らずどこからでも仕事するに変わってきたことだ。これによりオフィス費用をはじめ、スタートアップのランニングコストが減るだろう。

関連記事:リモートワークは「自宅監禁」から柔軟性のある「どこでも勤務」に変わっていくべき

また最近のY Combinatorは新興市場のスタートアップへの投資が多いため、人件費をはじめその後の企業成長のための費用が比較的少ない。

しかし今回の縮小は、近年、特に新型コロナウイルス(COVID-19)以降、シリコンバレーに流入する資本がやや減ってきたことの兆候でもある。評価額は低いし、2万5000ドル(約270万円)はその後のベンチャー投資の規模を考えれば巨額な損失とはいえないにしても、評価額の16%カットは、バレーで最近の数週間見られた他の数字と一致している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

モバイルバージョンを終了