WWDC20の基調講演から、早くも1週間近くが経過した。なんだか、もうずいぶん昔のことのような気がする。今回の基調講演の中で、最も印象的だったApple Siliconに関する発表ですら、もう何年も前からわかっていた既定路線だったように感じられる。
とはいえ、今回のMacに関する発表が、インテルからARMベースのアップルオリジナルCPU、Apple Siliconへのスイッチだけだったかと言うと、もちろんそんなことはない。基調講演前半のiOSやiPadOS、その他のデバイス用の新しいOSバージョンの発表に続いて、macOSの新バージョ「Big Sur」についても、しっかりと紹介されていた。その際には、基調講演の後半に登場するApple Siliconについては、当然ながらまだひと言も触れられておらず、CPUの種類にはまったく関係のない純粋なソフトウェアとして、次期バージョンのmacOS 11を紹介している。
基調講演でも、Mac OS Xの登場以来「デザイン」は最も大きく変化すると説明された。その発表では、アプリや通知センター、ウィジェットの話が中心で、細かいデザインの違いまでははっきりとはわからなかった。ここでは、その後にアップルが公開したHuman Interface Guidelinesの「What’s New in macOS」というページを参照しながら、必要に応じて新旧を比較しつつ、macOSのユーザーインターフェースの個々の要素についてルック&フィールを細かく見ていこう。
アイコンは基本的にiPad風に統一
これまでのmacOSでは、特にアプリのアイコンの基本形状がかなり不統一なものとなっていた。比較的新しい伝統としては外形が円になっているものが多いが、正方形に近いものも珍しくはない。もっと古い伝統に則ったものは、長方形をちょっと左に傾けて、その上にツールを載せたようなものとなっていた。さらには、Mac Catalistを使って作成した、iPadOSと共通のアプリアイコンは、正方形や長方形をちょっと左に傾けたものが多かった。
アプリごとに指定可能な「アクセントカラー」
あまり耳慣れない言葉かもしれないが、macOSには「アクセントカラー」という色の設定がある。これまではシステム環境設定の「一般」で、8色の中から選択することができた。これによって、ラジオボタンやポップアップメニューなど、ユーザーインターフェースの基本となる色を設定できる。設定がここにあることからわかるように、これはシステム全体に関わるもの。ここで選んだ色が、基本的にすべてのアプリにも適用されるものだった。
タイトルバーとツールバー
アイコンの意匠やユーザーインターフェースの色の設定は、慣れればなんとも思わなくなるものがほとんどかもしれない。しかし、ウィンドウ内部のバーやボタン類の配置は、なかなか新しいものに慣れにくいような気がする。確かにそうした部分のデザインも、これまでで最も大きく変化しそうだ。それには古くからのMacユーザーほど、強い抵抗を感じる可能性があり、議論を呼びそうだ。まずは、ウィンドウ最上部のタイトルバーとその下のツールバーの変化を確認する。
また、ツールバーに並ぶボタン類のデザインも趣向が変わる。これまでは、ラジオボタンのような一択のボタンは隙間なく並べられてわかりやすかった。新しいデザインでは、ボタンの間隔だけが異なるので、他の独立したボタンと区別が付きにくい。
サイドバー
同じバーでも、サイドバーの変化は比較的小さなものになりそうだ。これまでは、選択肢として表示される際も、どれかを選択した後も、モノクロで味気ない感じのものだった。新しいインターフェースでは、サイドバーの選択肢のアイコンがアクセントカラーで表示され、わずかながらにぎやかな感じになる。
メニュー
デザイン要素の変更としては、それほど大きくないにも関わらず、比較的大きく印象の変わるのはメニューだろう。
こうして、これまでのmacOSと比較しながら新しいmacOS 11のルック&フィールを確認してみると、確かにこれまでのものが古臭く感じられるかもしれない。慣れれば新しいものが当たり前に感じられるようになり、何とも思わなくなるものが大半だろう。しかし、新しいものが何でも良いとは限らない。実際に使ってみるまでは予断を許さないが、ここに挙げたもの以外の要素も含め、いつまで経っても違和感が消えないような変更が施されないことを願うばかりだ。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/06/29/big-sur-lool-and-feel/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Fumihiko Shibata