Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)は、中国が新たに国家安全維持法を導入したことを受け、香港当局からのユーザーデータ提供要求への対応を一時停止したことを認めた。
フェイスブックの広報担当はTechCrunchに対して、「人権に関する正式な調査や、人権専門家への諮問を含め」新国家安全維持法を精査してさらに理解できるまで、データ要求対応を「一時停止」すると述べた。また、「表現の自由は基本的人権であり、人々が安全を脅かされたり報復を受けたりすることなく自らを表現する権利を支えるものだと信じている」と付け加えた。
フェイスブックは、今回の一時停止措置は同社が所有するWhatsApp(ワッツアップ)にも適用されると述べた。
データ提供一時停止のニュースはThe Wall Street Journalが最初に報道している。
ほどなくして、ツイッターも同様の措置を取ることを認めた。「中国の新国家安全維持法が可決に至った急速なスピード、先週初めて新国家安全維持法全体が明らかになったばかりであることを鑑みて、特に法律の言葉が曖昧で、明確な定義がないため、我々のチームはその適用範囲を評価するために法律をレビューしている」と広報担当は述べた。「多くの公益団体や市民社会のリーダーや企業、産業界と同様、この法律の制定プロセスや真の意図について我々は由々しき懸念を抱いている」。
ツイッターは、国家安全維持法が制定されてすぐに香港からの要求に対するユーザーデータの提供を一時停止した、と話した。
メッセージアプリであるTelegramも米国時間7月6日、香港当局からのデータ要求に今後は対応しないと明らかにした、と報道されている( Hong Kong Free Press記事)。
「1国2制度」の原則の下、北京の管理下にあるにも関わらず、テック大企業は長らく香港を半独立した都市国家としてアジアの友好的なエリアとして扱ってきた。香港は中国政府による監視や検閲が広く行われている中国本土よりもかなり自由がある。
しかし中国政府が6月30日に一方的に施行した新国家安全維持法は、香港の市民が有していたあらゆる保護を事実上ないものにしている(未訳記事)。新国家安全維持法では、当局はフェイスブックやツイッターのようなインターネット企業にデータを要求するのに裁判所の命令を取得する必要がない。
香港インターネットサービスプロバイダー団体を束ねるある産業界のリーダーは、インターネットプロバイダーは新しい法律に従うよりほかはない、と話した(South China Morning Post記事)。
こうした動きにより、シリコンバレーのテック大企業そしてそれに倣う他の企業は中国政府を警戒することになりそうだ。中国政府はすでに中国本土でフェイスブックやツイッターを含む欧米のテック大企業を禁止している。WhatsAppはTelegramやWeChatとともに香港でかなり人気がある。
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(翻訳:Mizoguchi)