今年は新しい趣味、それも自宅でできるものを検討したりして、すでに始めている人が多いだろう。ポッドキャストが人気を集めており、RODE(ロード)は他のオーディオ会社を引き離して、ポッドキャスト専用のサービスを豊富に投入している。同社が2018年にリリースしたオールインワンのポッドキャスト用プロダクションスタジオ、RODECaster Pro(599ドル、約6万4582円)は、ポッドキャストの可能性を最大限に活用したいユーザーに理想的なツールである。今年、新たなアクセサリーが多数追加されたのみならず、ファームウェアが大幅に強化されて更新され、さらに先を進んでいる。
概要
ロードキャスタープロは強力なプロダクションスタジオでありつつも、オーディオ技術に詳しくない人でも扱えるようになっている。デッキは物理的な操作機能を豊富に提供しつつも比較的シンプルに扱えるようバランスを配慮しており、ボリュームスライダーや大型のパッド型ボタンを使用して大まかな調整を行えるようになっている。より細やかな操作が必要なユーザーは、大型の高解像度タッチスクリーンで様々なメニューを使用し、高度な調整を行える。
ロードキャスタープロは4台のXLR入力を搭載しており、それぞれがコンデンサーマイク用のファンタム電源を個別にオンオフして提供できるようになっている。それぞれのモニタリング出力用に、4台の1/4インチヘッドホン出力が備わっている。ポッドキャストを高音質で録音することに慣れたゲストを迎える場合でも、ゲストが自身の音声のみを聞き取ったり、プロデューサーにすべての録音を管理させることを選択できるため、これは便利である。また、スタジオのモニタースピーカーやその他の出力用に1/4インチのオーディオ出力が左右チャンネル用に設けられている。コンピューターへの接続用にUSB-Cコネクターが用意され、スマートフォンやその他の外部音源用に3.5mm接続が使用できる。スマートフォンはBluetooth(ブルートゥース)経由で接続することもできるため、ワイヤレスでゲストを呼び出す際に非常に便利に使える。
ロードキャスタープロのインターフェースは各入力のボリュームスライダーとプリセットされたサウンド効果、各ヘッドフォンやスピーカー出力用のボリュームノブ、入力のオンオフ切替ボタン、プリセットされたオーディオファイルの再生に使用する大型ボタンと録音用の大型ボタンなどの要素で構成されている。メニューや設定を扱い、録音中にオーディオレベルを視覚的に表示するタッチスクリーンも備えられている。
ロードキャスタープロは、コンピューターやスマートフォンとの接続に頼らず完全に独立して使用できるよう設計されている。録音用にmicroSDスロットを備え、ファイルのアップロードはデッキへのUSB接続またはmicroSDカードリーダー経由で行えるようになっている。また、ロードキャスタープロでマルチトラックのUSBモードまたはステレオUSB出力モードを選択すれば、スタジオハードウェアをMacやPC用のUSBオーディオインターフェースとして使用でき、ストリーミングソフトなど好みのデジタルオーディオ制作ソフトウェアを用いて録音できる。
デザイン
ロードキャスタープロはスタジオグレードのハードウェア操作機能とシンプルさを完璧に融合させており、アマチュアとプロの両方が安心して使用できるデバイスに仕上がっている。デッキをパッケージから取り出してからわずか数分で、サウンドのプロフィールや設定を一切調整せずとも、使い始めることができる。ロードキャスタープロですぐに使えるようロードが最適化した99ドル(約1万666円)のマイク、RODE PodMic(ロードポッドマイク)を使用して、満足のいく録音効果が得られている。
機能はすべて直感的に操作して簡単に扱え、マニュアルやユーザーガイドを使用せずとも使い始められる。ハードウェアインターフェースで最も複雑な箇所は8ボタンのサウンド効果グリッドであろうが、ロードが設定したデフォルトのサウンドでも十分使い勝手がある。MacまたはPCのロードキャスター専用アプリを使用し、自分専用のサウンドを簡単に設定できる。パッケージにはボタンにラベル付けするための判別用ガイドが同梱されている。
スライダーは滑らかに動作して使いやすく、イントロや終了時に手動で均等にフェードインまたはフェードアウトしたりして、録音済みの効果音を簡単に適用できる。有効または無効な入力、ミュート状態、大型の録音ボタンにはバックライト方式のキーが使用されており、どのキーがトラックで有効になっているかを一目で確認できる。
ロードは賢明にもボックスにロック可能な電源アダプターを内蔵したため、録音中にコードが突然引き抜かれる心配はない。XLR入力のそれぞれにクイックリリース式のラッチが取り付けられ、接続をしっかりと固定できる。ロードキャスタープロは13インチMacBook Pro(マックブックプロ)とほぼ同じスペースが必要なことは間違いないが、バックパックに収納して各地で録音できるだけの軽量性を備えている。
タッチスクリーン画面もまたデザインの大きな特徴である。高解像度であり、艶消し用のカバーが取り付けられて様々な照明環境でも視認性を保ち、タッチ入力は非常に応答性が高い。ソフトウェアを使用してデッキの機能を拡張でき、そのうえでナビゲートしやすく、例えばZoom(ズーム)レコーダーのハードウェアジョグコントローラーのような面倒な操作を省いている。
機能
ロードキャスタープロがこれほど使いやすい理由の一つは、シンプルさと強力な機能を両立させている点にある。初心者であっても、パッケージから取り出した状態で何も調整せずに、すぐに使用できるよう設定済みである。ロード製のマイクを使えば、さらに便利になる。マイクのすべてに、サウンド設定を瞬時に最適化するプロフィールが内蔵されている。
ロードポッドマイクはロードキャスタープロで使用できるよう最適化されていることは既に述べた。その結果、最高の使いやすさが得られている。ロードキャスタープロの価格に足踏みしてしまう場合でも、ポッドマイクは非常に安価なポッドキャスト用ダイナミックマイクであり、デッキと組み合わせれば一段上のレベルのサウンドが得られることを述べておこう。こうした組み合わせを使用すれば、ロードの最終的なポッドキャスト環境は、他のソリューションよりも比較的安価に済む。
サウンドをカスタマイズする場合は、内蔵のコンプレッサー、ディエッサー、その他の内蔵されているオーディオ効果を使いこなせる。こうした効果は手動で微調整することもできる。今月初頭にリリースされたバージョン2.1のファームウェアでは、ロードキャスタープロ専用アプリを使用して内蔵のサウンド効果をすべて調整できるようになったため、カスタマイズされた真にユニークなサウンド効果を得られる。
サウンド効果やその他のオーディオトラックを保存し、必要に応じて呼び出せることもロードキャスタープロの大きな特徴である。録音後の編集段階でそうしたオーディオ調整を行うことも可能であるが、録音の最中にその場で使用したほうがずっと扱いやすく、ゲストと真に迫ったやりとりを行うにはこの方法が最適であろう。バージョン2.1のファームウェアではオーディオクリップを無限にループさせる機能も追加されている。録音中にBGMを流し続ける場合に非常に便利となる。
最後に紹介するのは、スマートフォンとの接続機能である。ゲストをスタジオ内へ常に招待できるとは限らないこの状況で、特に効果を発揮する素晴らしい機能だ。ケーブルを使用してスマートフォンを接続するか、遅延を抑えたブルートゥースを通じて接続し、スマートフォンでお気に入りのソフトウェアを使用し、通話を通じて素晴らしいインタラクティブ性が得られる。
アクセサリー
ロードキャスタープロの機能を拡張し、ユーザー体験を改善するため、ロードはアクセサリーの豊かなエコシステムを形成している。最新リリースには、前述のロードポッドマイクも含まれる。また、各入力のバックライト色に対応してハードウェアを簡単に判別するためのカラーケーブルクリップ、標準のヘッドフォンをモニターとして使用するための1.4インチ-3.5mmステレオジャックアダプター、スマートフォン接続用のTRRS-TRRS 3.5mmオーディオ外部ケーブル、外出時に電源アダプターの代わりに簡単に接続可能なUSB電源ケーブルなどもある。
XLRケーブル用の小さなプラスチック製クリップを使用して、簡単かつスマートにデバイスを判別できる。特に、全員が同じマイクを使用している場合(サウンドを一定に保つため、この方法が推奨される)に有効であり、機器のセットアップの見栄えもよくなる。また、ロードキャスタープロキットを録音スタジオや自宅以外の場所で使用する場合は、USB電源ケーブルが特に威力を発揮する。手持ちのUSB充電器が5V/2.5A出力に対応していれば、そのまま使用できる。
しかし、ロードキャスタープロで真に必須となるアクセサリーは、ロードポッドマイクである。無駄を排ししっかりした耐久性の高いマイクであり、持ち運びやすく、様々な取り付け方法に対応しており、屋外やスタジオ内など、各種の環境で使用できる。もちろん、より高価なマイクであればより高い音質を得られるだろうが、ポッドマイクを使用する利点は、ハイエンドなマイクを1台購入する費用でロードキャスタープロ用のマイクを4台購入できることにある。ほとんどの人は、ポッドキャスト用であれば、音質の差に気づくことはない。
まとめ
ロードキャスタープロは自宅でのポッドキャストを一段上に引き上げる素晴らしいアップグレードであり、外出できるのであれば、屋外でポッドキャストする際に完璧なデバイスである。高品質なハードウェア調整に加え、ユーザーからのフィードバックを継続的に反映させ改善されるロードのファームウェアを通じて洗練されたスマートなソフトウェアが付属し、アマチュアやプロを問わず、あらゆる人々にとって完璧なツールと言える。
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カテゴリー:ハードウェア
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(翻訳:Dragonfly)