【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するPodcast「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。
自己紹介
こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!
はじめに
元Airbnbのグロース担当の.Lenny Rachitsky(レニー・ラチツキー)さん(@lennysan)の記事「How today’s fastest growing B2B businesses found their first ten customers」の翻訳許可を直接いただきました。
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・マーケットプレイスの作り方
・人気C向けアプリがいかにして初期ユーザー1000人を獲得したか?
・数値で見る、創業者に聞いたジャンル別「良いリテンション」とは何か?
成長しているB2Bビジネスはどうやって初期ユーザーを見つけたのか?
Figmaの初期では知り合いのデザイナーに全員と話した。もっとフィードバックをもらうためにTwitterに行って、そこではよりデザイナー業界でのインフルエンサーを見つけられることがわかった。候補者のリストをもらってからフィルターして最も自分がすごいと思った人の紹介を知り合いからしてもらったり、場合によってはTwitterなどでDMなどを送ってFigmaを見せていた(Figma CEOのDylan Field氏)。
B2B事業を立ち上げるときに3つのグロース戦略がある。FigmaのCEOであるDylanさんはそのうち2つを使った。
- 自分のネットワークを活用する(Dylanさんの場合は友達)
- 顧客がいる場所に行くこと(Figmaの場合はTwitter)
- PRをする
以下ではShopify、Stripe、Airtable、Plaid、Gusto、Salesforce、Slackなど、急成長したB2B企業20社がどうやって初期顧客を獲得したのかを紹介する。そして、フォローアップ記事としてどうやって初期顧客10社のクロージングをしたのかを解説する(フォローアップ記事は有料なので、レニーさんのメルマガに課金して登録すると読むことができます)。
なぜ初期10社の獲得について書いているのか?それは、最初の10社が最もスケールしない方法で獲得が必要だから。後々フォローアップ記事でどうやって10社から100社、そして100社から1000社獲得を可能にしてきたか解説しようと思う。
この投稿は、私が40時間以上かけて古いインタビュー動画や記事、いろんな創業者へ紹介してもらって話したり、TwitterでDMを送っていろんな人から話を聞いて書いたものになる。本記事の学びとすると、B2Bビジネスの初期の獲得はC向けアプリよりはるかにこんな困難だということ。
重要なポイント
- 紹介するB2B企業の全事例ではたったの3つの戦略しかない(C向けアプリだと7つ)
- 実際には2つの戦略は必ず活用している。1つは自社ネットワークの活用、もう一つは潜在的な顧客が集まる場所へ行くこと。問題はどちらの戦略を選ぶのではなく、自社ネットワークだけでどこまで達成できるか
- B2Bでは自社ネットワークが強いとかなり有利になる。このネットワークを作るためにネットワークが広い投資家やYCなどアクセラレーターに入る戦略もある
- ボトムアップではなく、プロダクトを「売り込む」必要があれば、初期顧客はあなたを信頼しなければいけないため自社ネットワークを活用するのがさらに重要になる
- PR戦略での初期顧客の獲得は珍しい
戦略1:パーソナルネットワークを活用する
Key Question:自分のネットワークの誰が顧客になれそうか?
Slack:友達
Asana:友達と元同僚
Salesforce:元同僚
最初のパイオニアは私が過去に投資した、小さいソフトウェア企業Blue Martini Softwareだった。創業者のMonte Zweben(モンテ・ズウェベン)さんには借りを作ることになる理解と同時に、彼がこのサービスが絶対必要だと確信していた。
この時期には正式な営業部隊がいなかったので、salesforce.comの全チームメンバーが業界での知り合いや知っているスタートアップに連絡するようにしていた。Product ManagerのDiane Mark(ダイアン・マーク)さんが近所のスーパーで並んでいるときに2社目の顧客を獲得した。そこで元同僚でその時はiSyndicateという会社の営業部長で働いていた人と偶然出会って、彼にどういう風に営業プロセスを管理しているかと聞いた。彼が、ACT!そしてエクセル。大変だよ、と言っていた(Salesforce CEOのMark Benioff氏、引用元)
Carta:投資家
Gusto:友達とアクセラレーター仲間
Stripe:友達とアクセラレーター仲間
一番最初のユーザーは実はStripeの初期従業員になってくれた。Ross Boucher(ロス・ブーシェ)さんは数年前から知っていた。彼が決済システムが必要だったので「我々のシステムを使ってみる?」と、どれだけ初期段階なのかを言わずに聞いた。いい方向性に進んでいると感じ始めたのは、友達が他の人を招待できるかを聞いてきた。そしてその人たちも同じく招待したく、それで口コミで伸びた(Stripe CEOのPatrick Collison氏、引用元)
Amplitude:アクセラレーター仲間
Workday:元同僚
Looker:元同僚と投資家
- 初期顧客を必要以上に満足させることに時間をかけた
- 顧客が自分の成功事例を共有してエヴァンジャリストになれるようにいくつか簡単なシステムを導入した
Coda:元同僚
ありがたいことに、そのスタートアップのCEOはいいフィードバックをくれた。彼らはCodaをまた使うには機能が足りないと言って、その必要事項をかなり長いリストとして送ってくれた。そのフィードバックがかなり良いモチベーションとなり、いいプロダクトを開発できた。ここでの学びは、失った顧客からのフィードバックが一番いいかもしれないこと(Coda CEOのShishir Mehrotra氏)。
Okta:元同僚
Intercom:元同僚
基本的には「Intercomを人に知ってもらうことをやる」だった。前の会社で我々の話を聞いてくれるネットワークを作れていたので、彼らにまずリーチした。毎日、1日中、ひたすら人にメールしてIntercomについて説明して、Intercomを彼らがどう使えるか、そしてフィードバックをもらう繰り返しだった。これを全部マニュアルでやって、もしやり直してもまたマニュアルでやる(Intercom創業者兼CSO Des Traynor氏、引用元)
戦略2:顧客がいる場所を探すこと
Key Question:誰がターゲット顧客で、普段どこにいる(オフラインとオンライン)?
例:コミュニティー、フォーラム、オフラインイベントなど
Shopify:Ruby on Railsコミュニティー
New Relic:Ruby on Railsコミュニティー
Rails開発者は最も先端なテクノロジーを取り入れるので有名で、いいプロダクトを本当に愛着を持ってくれて、逆に彼らの高いスタンダードに見合わないプロダクトがかなり批判する傾向だった。我々は誰よりも早くRails市場をターゲットしなかったが、いいプロダクトを持っていたため、Railsコミュニティーのインフルエンサーからのサポートを初期からもらえた。当時のRailsコミュニティーのインフルエンサーは(Dave Heinemeir Hansson(DHH、デイブ・ハイネマイヤー・ハンソン)、Tobi Lütke(トビ・リュケ)、Rick Olson(リック・オルソン)、Obie Fernandez(オビ・フェルナンデス)、Tom Mornini(トム・モーニーニ)など。彼からの承認はお金を出してももらえなく、彼らの厳しいスタンダードに値するものじゃないともらえない。彼らのおかげで初期トラクションに大きく影響を与えた(New Relic CEOのLew Cirne氏、引用元)。
Plaid:オンラインのデベロッパーとPMコミュニティー
Figma:Twitter
Square:SMB(中小企業)への飛び込み営業
Atlassian:オープンソースコミュニティー
Segment:Hacker News
Airtable:Hacker News
Dropbox:Hacker News
Dropbox CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏、引用元)。
戦略3:メディアのPR
Key Question:PRで伝えられるユニークなストーリーがあるか?
Canva
著名な投資家がいたのでステルスでもかなりPRされて、その影響で5万人が事前登録してくれた。ローンチしたときには満足してくれるようにフォーカスした(Canva CEOのMelanie Perkins氏、引用元)。
Twilio
Slack
ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を生かして、大々的なプレス戦略を行った。それでSlackの招待リクエストを送れるようにし、初日に8000人、2週間後に1万5000人になった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏、引用元)。
ヒアリングしたエキスパートたち
・Andreas Birnik
・Cailen D’Sa
・Cameron Walters
・ChenLi Wang
・Dennis Yang
・Dylan Field
・Frederic Kerrest
・James Beshara
・Joshua Merrill
・Keenan Rice
・Kenny Mendes
・Lou Kosak
・Madelin Woods
・Merci Victoria Grace
・Mike Cannon-Brooks
・Nate Bosshard
・Nick Crocker
・Peter Kazanjy
・Semil Shah
・Shishir Mehrotra
・Tai Rattigan
・Tobi Lütke
・Tomer London
・Vrushali Paunikar
・Zach Perret
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