エンタープライズ企業によるアーリーステージスタートアップの買収が24時間以内に二度も行われるのは珍しい。米国時間7月7日の午後はDocuSignがLiveoakを買収し、そして本日7月8日はSlackが、企業のディレクトリサービスを提供するRimetoの買収を発表した。これによってSlackのユーザーは、Slackの中にいながら、自分の会社の中の特定の人物を見つけられるようになる。買収価額は公表されていない。
企業は、Rimetoを利用することで社員を見つけるためのディレクトリ(名簿)を構築できる。そのディレクトリは、Microsoft Active Directoryのようなツールや内製のツール、あるいは企業の電子メールプログラムを使って人を探すよりもずっと便利だ。昨年、同社の1000万ドルのシリーズA(未訳記事)を取り上げたとき、同社のディレクトリの特徴を次のように紹介した。
Rimetoは、HR(人事)やCRM(顧客関係管理)など、社員に関する詳しい情報のあるすべての場所からデータを集める。そこにはもちろん、名前や肩書、メールアドレス、電話番号などの基本的な情報があるだけでなく、各人の専門分野やスキル、今関わっているプロジェクトなど、人探しに役に立つ具体的な詳細情報もある。
企業はいつも、内製するか外注するかを秤にかけるが、今回Slackは買うほうを選んだ。Slackを使っているとき、こんな人探しツールがあるとどれだけ便利は利用者なら理解できるだろう。例えば、プロジェクトチームを作るときにはメンバーの候補を探さなければならない。今は多くの社員が在宅だから、ディレクトリツールはなおいっそう便利だ。
Slackの検索ツールでは、名前や役割や所属チームで人を検索できるが、Rimetoならもっと有益な方法で全社の社員を探せる。特定の問題で役に立ちそうな人物を見つけるなど、これまでのツールではできなかった細かい指定で検索ができる。
同社の資金調達を発表したとき、3名の元Facebook社員が2016年に創ったRimetoはTechCrunchに「最初の3年間は自己資本のみで、やっと昨年1000万ドルを調達した」と語った。当時すでに黒字だったが、それはアーリーステージのエンタープライズSaaSとしては珍しいことだ。
Slackによる買収を発表する同社のブログ記事で創業者は、大きな企業の一部になり、従来に比べて迅速に成長できるという、こういう場合のよくある説明を残している。「Slackに参加することはRimeoのミッションを加速し、リーチを広げ、リソースを拡張し、そしてSlackのすばらしいグローバルなチームのサポートを得られる特別の機会だ」。
この買収は、エンタープライズ企業がアーリーステージのスタートアップを買って、プロダクトロードマップの足りない部分を補填するという、現在進行中のトレンドの一部だ。
関連記事: Rimeto lands $10M Series A to modernize the corporate directory(未訳)
[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)