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オフィスビルの賃料をAIで正確に判定するestieが2.5億円調達、ゼンリンとの提携で都内20万件の入居企業情報も取得

オフィスビルを借りたい法人、管理事業者や仲介事業者などを対象にした不動産データプラットフォームを開発・運営するestieは7月14日、プレシリーズAラウンドで2億5000万円の資金調達を明らかにした。第三者割当増資による調達で、引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズ、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)。今回調達した資金は、プロダクト開発、人材採用、マーケティングなどに投下する。

estieは、不動産の公開情報を基に独自のAIアルゴリズムによって各地域のオフィスビルの推定賃料を算出する技術を擁する2018年12月設立のスタートアップ。賃貸マンションなどとは異なり、オフィスビルの賃料はネット上に集約されておらず、これまでは地域の不動産会社などに問い合わせて賃料などの情報を入手するのが一般的だった。

同社のサービスによって各地域のオフィスビルのおおよその賃料を調べられるほか、全国7万棟の基礎物件情報、2万件の空室情報、東京23区のビル入居テナント情報なども収集・解析。今回の資金調達にあわせたリニューアルによって、50社を超える不動産デベロッパーや管理会社、仲介会社の独自情報を集約してデータの精度をより高め、市場予測や業務プロセスの改善を進める。

同社のサービスは、オフィスビルを借りる法人向けのestie、ビルのオーナーや管理会社向けのestie proの2つがある。estieは、都道府県や市区町村、最寄り駅を指定すると、条件に合ったオフィスを検索できるというサービス。検索結果から内覧したい物件を問い合わせることも可能だ。

オフィスビルのオーナーや管理会社向けのestie proは、周辺地域のオフィスビルの賃料の推移を見ながら自社ビルの賃料を決められるというメリットがある。その地域で適正な賃料の設定が可能になり、結果的には空室期間の短縮につながるわけだ。

同社代表取締役CEOの平井 瑛氏は「estieではこれまで不動産業者同士の会食に席などでやり取りしていた非公開情報などを集めて、データの精度を高めています」と語る。不動産業者側は当初、独自情報を公開することにネガティブな印象を持っていたそうだが、各業者が提供する独自情報以上のものをestie上で得られることがわかったことで、データ提供について前向きになったという。具体的には、これまでの事業活動では入手が難しかった東京23区内では20万社のビル入居テナントの情報などがestie proを利用することで手軽に手に入る。なお、20万社のビル入居テナントの情報については、独自のデータ収集のほか、ゼンリングループとの連携で実現したもの。どのビルにどういった企業が入居しているのかを簡単に調べられる。

「大手不動産デベロッパーは、競合の大手不動産デベロッパーが建てたビルの賃料の情報は喉から手が出るほど欲しいわけですが、これまでは懇意の仲介業者などから情報を仕入れる必要があり、手間と時間がかかっていました」と平井氏。さらに「新型コロナウイルスの蔓延により、実際に会って情報を引き出すことが難しくなった現在、estie proの重要度は高まっている」と続ける。

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