マーケターと動画制作者を結ぶマーケットプレイスとしてスタートしたVidMob(ビドモブ)は、今では自らを「クリエイティブテクノロジープラットフォーム」と位置づけている。現在もマーケットプレイスは残っているが、それは動画制作管理と、動画をオンライン広告に仕上げるための膨大なツール群の一部に収まっている。
VidMobは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下でも進化を続けてきた。この数カ月間でプラットフォームの使われ方が大きく変化した、と創設者でCEOのAlex Collmer(アレックス・コルマー)氏は私に話した。例えばそのプラットフォームの「最も上手な使い方」は、既存の映像を利用することだ彼はいう。テレビCM用に撮影されたものも含む映像資産を利用してソーシャルメディア用の広告を作ることだ。しかしご案内のとおり、「この数カ月間、実際の撮影はキャンセル」されている。
さらにコルマー氏は、企業はVidMobを単にソーシャルメディア用の広告ツールとしてではなく、動画の遠隔制作のための手段として使うようになってきたと話す。その結果、同社の「ロゴグロース」(つまり新規顧客)数が第1四半期で前年比100パーセントの伸びを記録し、第2四半期もさらに50パーセント伸びた。
「ここで起きているのは、企業のデジタル変革の加速化です」と彼はいう。「私たちのクライアントのほとんど、私たちが話を聞いたマーケーターの全員が、自分たちのクリエイティブな業務を、なんらかのソフトウェアプラットフォームに統合する方法を真剣に模索しています。今後もリモートで作業しなければならない状態が続いたとしても、安心できるようにです。また既存メディアをより効率化するためでもあります」。
そんなクライアントのひとつにCiti(シティ)がある。企業間コミュニケーション副社長Megan Corbett(ミーガン・コーベット)氏は、2019年からVidMobを利用していると私に話してくれた。パンデミックの結果、多くのマーケターがそうであるように、「プログラムの変更や規模の調整などを、本当の意味で迅速に柔軟に行う必要に迫られました」。
例えば「#InItTogether(一緒に頑張ろう)」ハッシュタグへの対応で、CitiはVidMobを使って従業員の活動を紹介し、人々の気持ちを鼓舞する動画シリーズを制作した。地域コミュニティーのために防護具を3DプリントしているMihir(ミハイア)を紹介した上の動画もその1つだ。
「どのような話を伝えたらよいかを考えたとき、大活躍するヒーローが自分たちの同僚の中にもいるということに気づいたのです」とコーベット氏は話す。
Citiによれば、2020年5月初めにキャンペーンを開始して以来、動画は25万回も視聴されたという。そのうちの80パーセントがLinkdin(リンクトイン)で再生されている。
パンデミックとシャットダウンが始まった当初でさえ対応がとても厳しかったが、人種差別への抗議運動や新型コロナウイルスの第2波や企業倒産などなど、ニュースは絶え間なく届く。
「当面の間、私たちは不安定な時代を生きていかなければなりませんが、正直言って、私はこれを好機と見ています」とコーベット氏。「消費者が何を求めているかを理解しているブランド、文化的時代精神に波長を合わせているブランド、ビジネスの主要業績評価指標を重視、連動し、そこから力を得るブランド……それが未来の勝利を手にします」。
同じくコルマー氏も、この不安定な時代に関して、ブランドはただ黙っているのではなく、より迅速に対応する必要があると話す。「何も言わず逃げていては、自分の立場を確立できません」。
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画像クレジット:scyther5 / Getty Images
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(翻訳:金井哲夫)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/07/15/2020-07-14-vidmob-pandemic/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Anthony Ha