Appleのライバルとして名を挙げられる企業といえば、Microsoft、IBM、Samsungなど複数ありますが、あらゆる市場で頻繁に額を突き合わせているのはやはりGoogleでしょう。
米メディアMacworldは、Appleは世界開発者会議(WWDC 2020)で発表したiOS14とmacOS Big Surで、Googleに新たな戦いを挑んだとし、その理由を解説しています。
翻訳機能の導入
Webでの翻訳機能といえば、Google翻訳がほぼ標準化しています。またGoogleは翻訳アプリも提供しており、テキストだけでなく、カメラを向けた画像内テキストの翻訳、撮影した写真内のテキストの翻訳、2カ国語での会話のリアルタイム翻訳、オフライン翻訳にも対応しています。
Googleの牙城ともいえるこの翻訳分野にAppleが参入します。Appleは独自の翻訳アプリを導入するとともに、Safariに翻訳機能を追加すると発表しました。
iOS14ベータ版の時点では対応言語数も少なく、Google翻訳にははるかに及びませんが、Appleが徐々に機能を向上させ、Googleと肩を並べようとしているのは明白です。
進化したAppleのマップ
Appleは2012年、それまでiOSの標準だったGoogleマップに代わり、独自開発のマップを導入しました。
それからほぼ8年が経過した現在も、Googleマップに並んだとは言えないかも知れません。しかしAppleは、マップの微細化、屋内マッピング、「Look Around」機能など着実にマップを向上させ、iOS14では自転車や電気自動車に対応したルート検索機能を追加します。
Macworldのダン・モレン氏は「ゼロからゆっくり、確実にシステムを作り上げ、何年もかけて少しずつ改善させていくというのは、Appleのような充分に利益を得ている大企業だから取れる戦略。8年前にGoogleと直接対抗するマップサービスを導入した時は、Appleにはまず勝ち目はないと思われていた。しかし長い時間をかけた戦略のなかで、Appleは徐々に自社プラットフォーム上でのGoogleの使用度を減らしている。これを翻訳でも実行しようとしているのだろう」と述べています。
プライバシー機能でボディブロー
翻訳機能やマップにおいては、AppleとGoogleはわかりやすい形で競合していますが、間接的に競合しているケースもあります。
Macworldはその一例が、iOS/iPadOS14、macOS Big SurのSafariで追加された「プライバシーレポート」機能だと指摘します。
Appleはプライバシー重視の方針を掲げ、Safariにおいては以前より、クロスサイトトラッキングをブロックしてきました。そしてSafariの新機能「プライバシーレポート」は、Webページやサイトに埋め込まれたすべての広告トラッカーをブロックするとともに、その詳細を表示します。
これがなぜGoogleとの競合につながるかというと、Web上での多くのトラッカーはGoogleのものだからです(モレン氏がiOS14ベータで自分のプライバシーレポートを見たところ、上位5つのトラッカーはすべてGoogleのものでした)。
Googleのビジネスモデルの中核は広告であり、トラッカーを阻止することはターゲティング広告に大きな影響を与えます。つまりAppleは間接的にGoogleにボディブローを与えることになるといっていいでしょう。
Source:Macworld
(lunatic)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania