月明かりの下でも素早くテント設営ができる。そんなコンセプトのもとに誕生したモンベル「ムーンライトテント」。初期モデルの発表は1979年で、40年以上変わらぬ機能・デザインを守り続けていましたが2020年春、いよいよ大幅リニューアル。
当然といえば当然なんですが、40年の間に新素材がどんどん開発されているわけで、新型「ムーンライトテント」も、シルエットは同じでも軽く居住スペースも広がって、より扱いやすくなりました。
このムーンライトテント、ツーリングライダーやソロキャンパーに人気のイメージがありますが、実は大型モデルこそ、その魅力が引き立つテントでもあるんです。
旧型「ムーンライトテント」7型(本体サイズ280×280×H175cm)とほぼ同じサイズ感の新型「ムーンライトテント」4型(本体サイズ260×260×H180cm。6万9800円/税別)で、どのようにアップデートしたかを確認してみましょう。
■4人用テントなのに総重量5.26kg!
旧「ムーンライトテント」7型が総重量8.4kgだから、ほぼ3kgの軽量化に成功しています。
総重量は5.26kg、収納サイズは64×23×H23cm。旧7型が総重量8.4kgです。収納サイズは64×25×H25cmとほぼ同じですが、重量は大幅に軽くなっています。
ちなみに、この春デビューしたライバル(MSR「ハビチュード4」)とサイズは互角。価格は「ムーンライトテント」の方がやや高額ですが、実績を考えるとこの先10年、20年たっても補修パーツが手に入ると想定できるので、実はコスパが高いと考えられます。
本体とフライを丸めたまま写真を撮ってしまいました。旧7型→4型の違いは次の通り。フロアとフライの薄さが際立ちます。
本体:70Dナイロンリップストップ→20Dポリエステルリップストップ
フロア:210Dナイロンタフタ→40Dポリエステルリップストップ
フライ:75Dポリエステルタフタ→20Dポリエステルリップストップ
ポール:アルミニウム合金(直径不明)→アルミニウム合金(φ10.2mm、天頂部φ11.1mm)
ペグ:アルミピンペグ→アルミVペグ
全体に軽くなっているほか、保水しにくい生地で雨の多い日本でより快適に使えるよう改良されています。
■ピンが抜けることなくひとりでの設営も楽々
旧モデルに比べてフックやポール受けが格段に小さく、使いやすくなっています。
フロアが薄いので、別売のグラウンドシート(6900円/税別)があると安心です。旧モデルよりも小さく畳めるし、四隅にあるグロメットにポールを通しておけばフライシートのみでシェルターとして使えます。
グラウンドシートの上に本体を広げたら、ポールを伸ばしていきます。旧モデルは大きなソケットでしたが、新型は洗練されたデザインのジョイントとなり、より素早い設営を可能としています。
ポールは同じ形ですが、天頂部にセンタージョイントパーツが付いているモノと、付いていないモノがあるので、最初にセンタージョイントパーツが付いている方をテント本体のグロメット(ポール受け)に差し込みます。グラウンドシートにも同じようなグロメットがあるのでそこに差し込んでおきましょう。
ちなみに旧モデルはピンをポールに差し込みましたが、新モデルはポールの先に段差を設けていてそれをグロメット(ポール受け)に差します。ひとりで作業していても抜けにくく、グラウンドシートだけでシェルターとして使うときに特にその効果を実感します。
同じようにもうひとつのポールも取り付け、2本のポールを接続します。
センタージョイントパーツの黒いクリップをもう片方のポールで挟み、パチンと音がするまで押し込みます。
テント本体の中心にあるフックを、ポールのセンタージョイントパーツに引っかけます。このセンタージョイントパーツによって、2本のポール、本体が一体化し、旧モデルに比べて風で中心がずれにくくなりました。
あとは上から順番にフックを引っかけるだけ。旧モデルはゴムが付いていてソケット部分に引っかけましたが、新モデルはフックだけになっているんです。
フライシートも下部はフックですが、上部のポールにひっかける部分はくびれたポールにエンドキャップを差し込む方式になっています。
ペグで固定すれば完成です。旧モデルも設営が楽でしたが、新モデルはひとりで作業していても各部が外れることがなくいっそうストレスがありません。
フライの下部フックは本体のゴムコードに引っかけるので、ゴムが劣化して伸びると外れやすくなりそうという心配がありますが、この程度の補修なら自分でもできるでしょう。
■家族4人のキャンプに十分な広さ
ヘリノックス「コットワン」は幅68cmなので3台、モンベルの「フォームパッド」は幅51cmなので4枚並べられる広さです。
旧モデルの7型は6〜7人就寝となっていますが、これは山のベースキャンプで頭と足を互い違いにしてギッチリ横たわる時の人数。4型ではキャンプでの実用的な4人就寝と表示されています。家族なら4人が余裕で過ごせる広さです。
高さは、身長170cm以上であれば頭がつく部分もありますが、旧モデルに比べて上部が垂れ下がることがなく、ゆったりとした印象。
そして、ぴったりサイズの専用テントマット(5800円/税別)が登場しました。ポリエチレンフォームで地面からの冷えを遮断しつつ、表側はよくある銀マットに比べて滑りにくくなっているので、小さな子も安心。それにコットを用いるキャンパーが増えているので、テントのフロア生地を傷めにくいというのもメリットです。
前室の奥行きは100cm。旧7型は105cmなのでほぼ同じ。
キャンプではタープや「ソレイユスクリーン」「アストロドーム」と組み合わせるので家族分の長靴が置ければ十分な大きさと言えるでしょう。
テントの出入り口ファスナーは1本で弧を描いています。旧モデルは2本の直線的ファスナーでワンアクションでは大きく開きませんでしたからこれも進化しています。それにファスナーがかみにくく、動きがスムーズな印象です。
サイドはひさしのみなので通気性良好。フルフライではないので好みが分かれますが、蒸し暑い夏では圧倒的に涼しく過ごせますし、肌寒い季節は結露しづらいという利点があります。
本体のサイドはフロアと同じ生地で耐水圧2000mm。この日は時折さーっと雨が降りましたが、保水しにくい生地を採用したというだけあり、雨上がりに生地をたたいて軽く水を落とすだけで割合早く水分が飛んでいました。
とはいえ、こまめにはっ水スプレーをかけ、雨の日は荷物が両脇の生地に触れないように置くなど対策は必要です。
背の高いキャンプ向き4人用テントは重量10kgが目安で、7kgだと軽量、5kg台なら超軽量と言えるでしょう。しかも、風が吹いていなければ、旧モデルよりももっと楽にスピーディーにひとりで設営できるため、ベビー連れなど目を離せない小さな子がいるファミリーも安心。オートキャンプ場はもちろん、駐車場から遠く離れたテントサイトへの持ち運びも苦になりません。
伝統のシルエットを残しつつ進化した「ムーンライトテント」は、トレッキングなどアクティブなシーンだけでなくファミリーキャンプでも活躍しそうです。
>> モンベル
<取材・文/大森弘恵>
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/311883/
- Source:&GP
- Author:&GP