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TikTokが特許侵害でライバルのTrillerに提訴される

ソーシャルビデオプラットフォームのTriller(トリラー)は、最大のライバルであるTikTok(ティックトック)と親会社のByteDance(バイトダンス)に対して特許侵害訴訟を起こした。米テキサス州西部地区の連邦地裁への提訴では、TikTokがTrillerの米国特許第9691429号を侵害したと主張している。この特許は「音声トラックと同期する音楽動画を作成するためのシステムと方法」を対象としている。

この特許は、Trillerの共同創業者であるDavid Leiberman(デビッド・リーバーマン)氏とSamuel Rubin(サミュエル・ルービン)氏を発明者として認めている。もともと2015年4月11日に出願され、2017年6月27日に登録された。

この特許は、ある音声トラックが流れているときに複数の動画が再生される場合などに、音声と同期させた動画を作成する方法を記述している。同社によれば、TikTokでは現在、同じ音声トラックに対し複数の動画をつなぎ合わせることができるため(特許による)機能を侵害しているという。

Trillerは訴状で、動画といっしょに再生する単一の音声トラックを選択する点でTikTokがどう機能するかについて説明している。また、2019年12月11日付のTikTok Newsroomブログの投稿についても指摘している。TikTokは新しい「グリーンスクリーンビデオ」効果を紹介した。この投稿では、ユーザーが撮影した動画を背景に流し、曲と同期させる方法の効果について説明している。訴状の中ではこれを侵害的な利用例として提示している。

Trillerは訴状で、2020年7月27日に電子メールでTikTokに侵害の通知が送達されたと述べている。

TikTokは音声トラックに動画を同期するアプリを提供する唯一の会社ではないが、最大の会社だ。アプリストア情報会社のSensor Tower(センサータワー)のデータによると、TikTokアプリの現在のインストール数は米国で1億8900万件を超えているが、Trillerは2300万件超だ。Trillerよりもインストール数が多い競合他社はDubsmash(ダブスマッシュ)のみで、これまでに米国で4150万件ダウンロードされた。米国でのインストール数はLomotif(ロモティフ)が2120万件、Likee(ライキー)が1600万件、Byte(バイト)が250万で、いずれもそこまでの影響力はない。

TrillerはDubsmash、Instagram(Reels機能)、Lomotifなど、他の競合他社に対しても同様に特許訴訟を起こす可能性がある。ただし、個々のアプリのエクスペリエンスの侵害状況を弁護士が詳細に調査するため、提訴は一度に全部ではなく1社ごとに行われる可能性がある。

Dubsmashにコメントを求めたところ、Trillerからは何も受け取っていないと答えた。

「Dubsmashの立ち上げがTrillerのApp StoreとPlay Storeでのサービス開始6カ月前だったことを踏まえると、彼らが訴えるとしても無理があると思う」と、Dubsmashの共同創業者兼社長であるSuchit Dash(スチット・ダッシュ)氏は述べた。TikTokはこれまでのところ、コメントの要請に回答していない。Instagramもコメントしていない。

執筆時点でTrillerによる他の提訴案件はない。

Musical.ly(ByteDanceが買収したTikTokの前身)には、2016年出願、2017年登録の「リップシンクビデオの生成と共有」に関連する特許があるが、この特許については訴状では言及していない。

この訴訟に必要な資金をどう調達するつもりなのかTrillerに問い合わせたところ、同社は「複数の世界最大級の金融機関の支援がある」と回答し、法廷へ持ち込む準備は整っているという。

実際Trillerには、Lowercase Capital(ローワーケースキャピタル)、Carnegie Technologies(カーネギーテクノロジーズ)、映画制作会社のProxima Media(プロキシマメディア)、台湾のFubon Financial Holding Co.(富法金控)、インドネシアのGDP Venture(GDPベンチャー)(The Wall Street Journal記事)が出資している。WSJ(ウォールストリートジャーナル)は2019年にTrillerがベンチャーキャピタルから2800万ドル(約30億円)を調達し、事業が1億3000万ドル(約140億円)で評価されたと報じた。Crunchbaseによると同社は現在までに3750万ドル(約40億円)を調達している。

Trillerによる訴訟のニュースは、The Wrap(ザ・ラップ)とBloomberg Law(ブルームバーグロー)が最初に報じた。

訴訟は、TikTokのアプリが米国で厳しい視線にさらされているタイミングで行われている。

Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)財務長官は米国時間7月29日に対米投資委員会がTikTokのアプリを調査中であると認めた(CNBC記事)。同氏の発言はMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官の発言に続くものだ。ポンペオ氏は2020年7月初め、米国が国家安全保障上の懸念からTikTokやその他の中国のソーシャルメディアアプリの禁止を検討していると述べた。

禁止されればTrillerにとってはプラスだ。こうした背景を考えれば提訴のタイミングはまったく偶然ではない。

同社はまた、新たな資金調達を計画していると報じられた。Fox Business(フォックスビジネス)は、TikTok禁止が話題になる中、Trillerは2~3億ドル(約210~320億円)を調達する予定だと報じた。

特にTrillerの経営陣は、TikTokがユーザーにTikTokのプラットフォームだけに動画を投稿するようインセンティブを与えていることに驚いている。

「TikTokはインフルエンサーがTrillerに投稿しないよう、実際にはTrillerへの投稿を禁止するために、インフルエンサーファンドの資金からインフルエンサーに金を払っていることを知りショックを受けた」とTrillerのCEOであるMike Lu(マイク・ルー)氏は語った。7月29日の反トラスト法(独占禁止法)の公聴会で明らかになったような大手テック企業に対するネガティブな感情の高まりが利用できると期待して、ルー氏はTikTokの動きが反競争的だと付け加えた。

「それは倫理的でも合法的でもないというのが当社の意見だ」とルー氏は述べた。「もしすべての『200B企業(時価総額2000億ドル=約2兆1000億円以上の企業)』が顧客に金を払って競争相手のスタートアップに行かないよう促すなら、米国の起業家精神は死に絶え、新しい企業は存在できなくなるだろう」。

Triller v TikTok by TechCrunch on Scribd

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

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