元Googleのロボットエンジニアにより設立されたスマイルロボティクス株式会社は、「モバイルマニピュレーター型自動下膳ロボット」の開発に取り組んでいる。
そしてこのたび、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した2020年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」(STS事業)に採択された。
また、NEDO認定VCのANRIからの資金調達も完了し、同社の開発は一気に加速していきそうだ。
シード期のスタートアップを支援!
NEDO STS事業とは、シード期の研究開発型スタートアップ(STS)に対するVCおよびシードアクセラレータなどによる投資や支援を通じて、STSの事業支援を行うというもの。
同事業に採択されるにはまず、NEDOにより先に認定されたVCなどからの出資意向確認書あるいは出資済みの報告書を得るという条件がある。その条件をクリアしたSTSのなかから採択企業が選定されるという流れだ。
同事業が対象とする技術は、経済産業省所管の鉱工業技術。具体的には、ロボティクス、AI、エレクトロニクス、IoT、医療機器、バイオテクノロジー技術などが挙げられる。ただし、原子力に係るものは除外。
上記のような技術の研究開発要素があること、つまり将来的な可能性を秘めていることや、競争力強化のためのイノベーションを創出し得るシーズであることが選考基準のひとつだという。
同事業の助成額は助成対象費用の3分の2を上限として最大7,000万円。助成対象費用とは、実用化開発や企業化可能性調査など技術シーズの事業化に必要な経費のことだ。事業期間は、交付決定日から最大1.5年以内とされている。
つかんで運べるロボット
これまで自律走行するロボットも、モノをつかんで移動できるロボットもいくつか登場しているが、同社のロボットは1台2役いるといえるだろう。
自律走行のため、遠隔操作やガイドラインの設置不要で目的地まで到着できるうえに、目的地での作業までこなせるというわけだ。例えば、飲食店での下膳作業なら、このロボット1台でできることになる。
同社は、このたびの助成金および調達資金をロボット製造費・機械装置費、ソフトウェアエンジニア・ハードウェアエンジニアの採用強化、実証実験に関わる諸経費に充て、同ロボットの開発を加速させるようだ。
また、昨今の非対面化ニーズ・自動化ニーズの高まりを受け、今後は飲食店における「下膳」に加えて「配膳」なども含む運搬作業全般への対応や、飲食店以外の施設でも活躍できるロボット開発を視野に入れているとのこと。
近年、さまざまな役割をもったロボットが開発されている。例えば、株式会社オリィ研究所の接客などができる分身ロボット「OriHime」や、TechMagic株式会社のAI調理ロボット、株式会社ZMPの無人警備・消毒ロボット「PATORO」など。これらのロボットをうまく活用することで、あらゆる領域で省人化・業務効率化などが実現できそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/133275
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口