米国時間8月6日にUberは第2四半期の決算報告を発表した。その派手な数字の中に、同社が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中に大きく変わったことを示す驚くべき数字が隠れていた。
Uber Eatsの名で知られているUberのデリバリー事業は、調整後の純収益は同社の創業時からの本業であるライドシェアリング事業よりも大きい。この調整後の純収益は、Uberの進化を物語るごく一部にすぎない。Uberのデリバリー事業の場合は、収益や損失も重要だ。
しかしそれでも過去1年、特に過去2四半期の変化を見れば、Uberの戦略が変わったことは明らかだ。そして今や、すべてデリバリーの方を向いている。
深く掘り下げる前に、決算をざっと見ておこう。
Uberの2020年第2四半期は純損失が17億8000万ドル(約1890億円)で、前年同期の52億4000万ドル(約5550億円)と比べて減少した。2019年に株式を公開したため、さまざまな一度限りの現金支出以外の費用が生じた。同社の損失は1株当たり1.02ドルになる。それでも、アナリストたちが予想した1株当たり0.86ドルの赤字を上回るものだった。
Uberは同四半期の収益性では予想を下回ったが、売上高は投資家たちが予想した21億8000万ドル(約2310億円)を上回った。
デリバリーへの移行
同社のさまざまなビジネスを評価するためには、需要な3つの柱がある。その中の2つが、Uberの経営成績に実質的な影響を与えている。それがモビリティ(ライドシェア)とデリバリー(Uber Eats)だ。この2つは、2020第2四半期においてどうだったのだろうか。
- モビリティの利用総額:30億5000万ドル(約3230億円)
- デリバリーの利用総額:69億6000万ドル(約7370億円)
上記のうち純収益(売上)は、
- モビリティの調整後純収益:7億9300万ドル(約840億円)
- デリバリーの調整後純収益:8億8500万ドル(約940億円)
そして上記からの調整後利益と調整後損失は
- モビリティの調整EBITDA:5000万ドル(約50億円)
- デリバリーの調整EBITDA:-2億3200万ドル(約250億円)
となる。
ご覧のようにUberのフードデリバリー事業は取引量ではるかに稼いでいる。しかしテイクレート(総支出のうち収益として維持できる部分)はライドシェアの方が大きいため、調整後純収益は近い数字となっているが、やはりデリバリーの方がモビリティを上回っている。
調整後の利益となると、Uberの伝統的なコアビジネスであるライドシェアの結果が良く、調整後のEBITDAがプラスになっているが、同じ利益計算方法ではデリバリーは損失になる。
2020第1四半期では、モビリティの利用総額と調整後純収益、および調整EBITDAがデリバリーより大きかった。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が及ぶ第2四半期では、この3つの数字のうち2つの順位が逆転している。今後ライドシェアが回復した場合、この数字がどの程度の速さで変化するかはわからない。しかし今日の決算報告からいえるのは、もはやUberが空港に利用者を連れて行くことよりも、食べ物を運んでくれることを重視していることが明らかであり、米国の企業にとってこれは大きな変化だ。
はっきりしているのは、Uberのライドシェアサービスは今後も継続するということだ。新型コロナパンデミックの荒波を乗り切り、より安定した時代に収益を上げる可能性を強化するために、Uberはデリバリーとライドシェアの2つを頼りにしている。
UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、8月6日に「はっきりしてきたのは、2つのコアビジネスには非常に価値あるヘッジがあり、今後の回復シナリオにおいても、それが重要なアドバンテージになる。移動制限が解除されれば、当然モビリティは回復する。制限が継続したり、再度制限される場合は、デリバリーサービスで埋め合わせできるだろう」と語っている。
グラフではこうなる
Uberの第2四半期の本稿関連部分を、Uberが投資家のために作ったスライドを見てよう。
まず、同社のモビリティの数字。
そしてこれが、デリバリーの結果だ。
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