Wall Street Journal.(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙によると、米国のショッピングモール大手の1社であるSimon Property Group(サイモン・プロパティ・グループ)が、同社の主力デパートをAmazon(アマゾン)の流通ハブに変身させることについて、アマゾンと話し合っているという。
Simon Propertyの場合、かつて安定した収益源であった J.C. Penney(J.C.ペニー)やSears(シアーズ)のような主力テナントが今では経営者の悩みのタネとなっており、マネキンだけが並ぶ人気のないホールをアマゾンの注文のための倉庫に変身させることは、単純に理にかなっている。
これまでのショールームから、本やセーター、キッチン用品、電子機器まで、あらゆる商品を発送するための倉庫への転換は、連邦破産法第11章の保護を申請した企業の空き店舗を活用する用途としては無理筋ではない。
WSJが5月に不動産デベロッパーから提出された書類を引用して報じたところによると、SimonはJC Penneyを63店舗、Searsを11店舗保有しているようだ。
Amazonが新たなフルフィルメントセンター構築のために、ショッピングモールに目を向けたのはこれが初めてではない。同社は2019年、オハイオ州アクロンにある巨大な店舗を買収し、物流センターへと変貌させた実績がある。
ひと昔前は、子どもたちイライラした親たちと一緒に地元のショッピングモールに行ってフロアをぶらぶらしていたが、そんな時代はもう終わった。いまや買い物客はオンラインでじっくり商品を見ることを好み、子供たちはFortniteがお気に入りのホットトピックだと思うようになった。
この取引が成立すれば、ベビーブーム世代やX世代の消費者の記憶の中に存在する20世紀後半の1つの文化が、新しく生まれ変わるだろう。
最近のモールは、万人向けのものが揃っていた大規模なデパートよりも、ブティック・ブランドのショップが並ぶライフスタイル向けの場所になっている。WSJがアマゾンが交渉していると報じた大型モールのスペースは、10万平方フィート(9300平方m)の複数階建ての巨大なものだ。
最近の消費者は、20世紀後半のデパートの既製品のような大衆向けのワンストップショップではなく、個人や財布の中身に訴えるブランドを求めている。WSJによると、もし契約が成立した場合、Simonは他の小売業者が支払う金額よりもかなり安い料金でスペースを提供することを考えているという。同紙によると、倉庫の賃貸料は1平方フィート(約930平方cm)あたり平均約10ドルであるのに対し、モールの賃貸料は1平方フィートあたり4ドルから19ドル程度と推定されている。
いまショッピングモールは、稼ぐための何かを探している最中だ。すでに、学校、医務室、高齢者の生活施設を試してきたが、新型コロナウイルスの流行は、これらの計画のすべてを水泡に帰してしまった。
またWSJが指摘するように、モールはすでに魅力的な流通拠点となる場所に立地している。同紙によると、アマゾンはすでにいくつかの場所を購入しており、フェデックスやDHLも同様のことを行っているという。
現時点ではアマゾンがこれらの不動産を所有することは、80年代ロックのサウンドトラックの余韻が残る空き地として放棄するよりも、不動産にとっては良い運命をたどるのかもしれない。
画像クレジット:The Starcourt Mall! | Hawkins, Indiana / YouTube
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(翻訳:TechCrunch Japan)