カリフォルニア州最高裁判所のEthan Schulman(イーサン・シュルマン)判事はUber(ウーバー)とLyft(リフト)にドライバーを従業員として扱うよう、仮差し止め命令を出した。この命令は10日以内に発効することになっている。
「差し止めでコストが発生することを裁判所は認識している」とシュルマン判事は命令書に書いた。「被告人はA.B. 5に則るために、ドライバーを雇用・管理するための人事担当スタッフを雇うなどして事業慣行の在り方を大きく見直さなければならないことに疑いの余地はない」。
差し止め命令の発効まで10日の猶予があり、Uberはすぐさま上訴すると同社の広報担当はTechCrunchに述べた。
「ドライバーの大半は独立して働きたいと考えている。当社はカリフォルニア州法に則るためにすでにアプリにかなりの変更を加えている」と広報担当は話した。「カリフォルニア州の300万人超が失業しているいま、選挙で選ばれたリーダーたちは経済低迷中に産業を潰そうとするのではなく、雇用創出に注力すべきだ」。
今回の判決に先だちシュルマン判事は先週、双方の主張を聞き取った。カリフォルニア州司法長官であるXavier Becerra(ザビエル・べセラ)氏、それからロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコの法律顧問がUberとLyfthにAB 5法の遵守と、ドライバーを独立請負業者として分類することをただちに止めるよう求めて提訴していた。
「ドライバーは従業員になりたいとは思っていない。それがすべてだ」とLyftの広報担当はTechCrunchに語った。「当社はただちに上訴し、ドライバーの独立のために引き続き戦う。究極的にはこの問題はカリフォルニアの選挙民によって決められるもので、人々はドライバーの味方だと確信している」。
命令の中でシュルマン判事は、UberとLyftがAB 5に違反しているとの原告の訴えが勝る、と述べている。AB 5はDynamex Operations West(ダイナメックスオペレーションウェスト)対ロサンゼルス最高裁判所の裁判で2018年に下された裁定を成文化している。この裁判で裁判所はABCテストを適用し、Dynamexが「雇用主のためにサービスを提供する労働者は賃金や福利厚生について主張できる従業員である」という推定に基づいて労働者を誤って独立請負業者と分類したと裁定した。
ABCテストによると、雇用主が労働者を法的に独立請負業者として分類するには、A:労働者は雇用主の管理や指示を受けていない、B:雇用主の事業以外の業務も行っている、C:定期的に独立性が確立された仕事に従事している、という3点を証明しなければならない。
UberとLyftが労働者を独立請負業者として誤って分類することで不公平で違法な競争優位を得ている、として仮差し止めを求める訴訟が2020年5月に起こされた。訴訟はUberとLyftが労働者から最低賃金や超過労働手当、有給傷病休暇、傷害保険、雇用保険を奪っていると主張している。サンフランシスコ上級裁判所に起こされた裁判では、不正競争防止法に基づいて各違反ごと、ドライバー1人あたりに対して2500ドル(約27万円)の罰金を求めている。
「何年もの間、労働者は法に従わない巨大ギグ企業による誤った扱いに対し、団結して声を上げてきた」とUberのドライバーでGig Workers RisingのメンバーであるEdan Alva(エダン・アルヴァ)氏は声明で述べた。「我々が直面している不当な扱いがあまりにひどく、正義を待てないと司法長官は主張してきた。今日、裁判所は企業ではなく労働者の肩を持った。誤って分類された何千ものギグワーカーは賃金、福利厚生、保護、法的根拠のある従業員ステータスを手に入れる。UberとLyftが法に従わなければならないのは明白だ。ギグ企業が投票イニシアチブProposition 22に1億1000万ドル(約117億円)を注ぎ込み、そうした資金を尊厳と敬意を持った適切な労働者の扱いに再投資するという我々の要求は揺るぎないものだ」。
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