同社が中古市場に注目したのは、総務省が推進する携帯端末代金と通信料金を分ける分離プラン。中古のスマートフォン市場は拡大傾向にあるが、同社ではさらに拡大するとみて参入を決めたようだ。
MM総研のレポートによると、現在のところ主端末としての中古スマートフォン利用率は2.4%だが、2019年度は過去最高の販売台数163万台となり、3年振りのプラス成長になっている。2025年度にはさらに265万台に拡大すると予想している。
アップルやサムスン、ファーウェイが10万円超えの高級端末をフラグシップとしてリリースする一方で、多くのユーザーが飛びつくのは低価格端末であるというの事実。BCNランキングを見ても、トップを走るのはiPhone 11シリーズではなくiPhone SE(第2世代)、Xperia 1ではなくXperia 10だ。iPhone SE(第2世代)登場前も、売れ筋はiPhone 11シリーズではなくiPhone SE(第2世代)の前モデルにあたるiPhone 8シリーズが根強い人気を誇っていた。当たり前だが、価格は重要な要素であることが改めてわかる。
すでにスマートフォン市場は飽和状態で、どの端末を使ってもたいていのことはできてしまう。メルカリなどフリマアプリの隆盛で中古品の購入をためらわないユーザーは増加傾向にあると考えられるので、今後中古スマートフォン市場が成熟・拡大し、安価で高機能な端末が多数出てくれば、消費者が中古市場に注目することは容易に想像できる。
なお、子会社のBelongは、携帯関連の新規事業を目的として2019年2月に設立。中古端末の販売や買い取り、検品等の携帯端末のオンライン流通に関する実証実験を経てECサイト「にこスマ」をローンチし、携帯端末のオンライン流通事業に本格参入する。取り扱う製品は中古品が大半だが、一部は海外のディストリビューターから新品も仕入れる。もちろん、販売する端末はすべてSIMフリーだ。ちなみにサイト自体はShopifyで構築したそうだ。
伊藤忠では今後、国内だけでなく、アジアを中心とした海外市場も視野に事業を展開していく計画だ。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/08/12/nicosuma/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Hiro Yoshida