Gong(ゴン)にとって昨年2月から数えて3度目の資金調達はかなりの金額となった。昨年2月の調達額は4000万ドル(約43億円)だった(未訳記事)。同12月には6500万ドル(約70億円)を獲得していた(Gongリリース)。今回は22億ドル(約2350億円)のバリュエーションで2億ドル(約214億円)を調達した。18カ月足らずで総調達額は計3億500万ドル(約327億円)となる。
Coatueがラウンドをリードし、新規投資家としてIndex Ventures、Salesforce Ventures、Thrive Capitalが、既存投資家からBattery Ventures、NextWorld Capital、Norwest Venture Partners、Sequoia Capital、Wing Venture Capitalが参加した。同社によれば、これまで総額で3億3400万ドル(約357億円)を調達しているという。
これほど投資家の注目を集めているのはなぜか。シリーズBラウンドについてGongに取材(未訳記事)た頃の顧客数(Gongサイト)は300社だった。それから大きく成長し、今は約1300社を数える。同社によれば、今年だけでも売上高は2.5倍になった。
GongのCEOであるAmit Bendov(アミット・ベンドフ)氏によると、同社は「レベニューインテリジェンス」と呼ばれるカテゴリーを作ろうとしている。本日の販売データはCRMデータベースに格納されており、その中身は営業や顧客サービス担当者が書き込む顧客とのやり取りの記述だ。Gongはそのプロセスに変革を持ち込もうとしている。顧客とのやり取りを両面から捉え、人工知能でそれを転写・分析するという方法だ。
ベンドフ氏は、パンデミックと景気収縮が、市場が流動性にあふれ投資家が資金の投資先としてGongのような会社を探すという状況を作り出したと言う。
「市場には流動性があふれている。投資機会は極めて少ない。投資業界は市場がどう揺れ動くのかを見極めており、ニューノーマル(新常態)の下で長期的に利益を稼げる企業に賭けようとしている。当社はその1つだと思う」とベンドフ氏はTechCrunchに語った。
同氏は資金を求めていたわけではないと言う。実際、シリーズBの資金がまだ残っている。だが投資家が小切手帳を開いて有利な条件を打診してきたとき、同氏は断わろうとしなかった。「CEOの中には必要なときにではなく、可能なときに資金を調達すべきと主張する人たちがいる。そうすればバリュエーションでたたかれることはない。今回のプロセスは非常に簡単だった。ディールプロセスはタームシートから銀行口座への入金まで14日で完了した」と同氏は述べた。
ベンドフ氏は、資金を受け取ることは「かなり簡単なことだ」と語った。資金によって経営に自由が与えられ、さらに市場での正当性が得られると言う。「資金があれば、企業を買収し、戦略的投資を行い、計画を加速することができる。特に当社の顧客である大企業に対し、当社が存続するという安心感を与える」
現在約350人の従業員を抱えるが、年末までに100人を採用する予定だ。ベンドフ氏は、同社にとって多様性(ダイバーシティ)と均等な機会(インクルージョン)は「極めて優先度が高い」と語った。同社は最近、アトランタに採用拠点を開き、より多様な候補者を会社に迎え入れるよう取り組んでいる。FlockJayという会社と協力してカスタマーサクセスの担当者を少数派グループから採用して研修を行っている。R&Dセンターがあるイスラエルでは、コンピュータサイエンスのバックグラウンドを持つアラブコミュニティーの人々にインタビュースキル習得の支援を行っている。いずれもGongで働く人もいれば、他の会社に行く人もいる。
同社は急速に成長し将来性を示しているが、ベンドフ氏はまだIPOを考えていない。同氏は会社を少なくとも数億ドル(数百億円)の売上高にまで成長させたいが、現時点では2〜3年先だと語る。確かに同社にはそれまで事業に必要なキャッシュが十分にある。
画像クレジット:MarsYu / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)