多くのソーシャルメディアの研究では、ユーザーがサービスに費やした時間を、さまざまな理論や結論を導き出す証拠に使っている。しかし実際には、人間はどれだけの時間SNSで過ごしたのかを人に言うのが非常に不得意であることが、Facebook(フェイスブック)の研究でわかった(Facebook Researchレポート)。
例えば、ソーシャルメディアの利用が人の気分にどう影響を与えているのか、あるいは利用時間がどう気分の影響を受けているかを調べようとするとき、おそらくどちらの数値も自己申告に頼るだろう。
もちろん人の気分測る客観的な方法は存在しないので、被験者の言うことを信じるしかない。そして、ユーザーは自分がFacebookやInstagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)の画面をスクロールするのにどれだけの時間を費やしているか、かなり正確に把握していると思う人もいるだろう。そうではない!
自己申告の数値に誤差があることは誰もが知っているし、それを示した調査結果もあるが、今回Facbeookが実施したメタ分析で、自己申告と実際のサーバーログを比較してみたところ、両者の間には重要な科学研究で使うに足る信頼ある相関がない、可能性が示された。
いくつかの質問の回答を内部データと比較した結果、ユーザーは自分がサイトで過ごした時間を実際より平均して数時間多く申告した。しかし、アプリやサイトを開いた回数については過小報告していた。この実に興味深いグラフを見てみよう。
ご覧のとおり、人々の思っていることとは異なり、1日に3時間以上サイトで過ごした人はごくわずかであり、ほとんどの人はおよそ1時間だった。そして、ログイン回数については逆だった。1日に10回以上アプリを開いたと思った人はほとんどいなかったが、実際にはごく一般的だった。若い人たちは特に間違える傾向が強く、今回の調査対象がその層に偏っているたことが問題を強調する結果となった。
これは「Facebookが滞在時間の多い(おそらく多すぎる)サイトではない」ことを意味しているわけではない。自己申告についても。しかし、こうした現象の研究が信頼できるデータに基づくことは重要であり、自己申告データはそうではなさそうだ。
Facebookは「研究者は数値を直接使用するのではなく、自己申告による滞在時間は、他の被験者と比較して分布のどの位置にあるかをおおまかに推定するための値だと理解すべきだろう」と説明している。
言い換えれば「Facebookで2時間以上過ごすティーンエージャーは○○の傾向が強い」の代わりに、「Facebookの自己申告による利用時間が上位10%のユーザーは△△の傾向が強い」などと言うべきなのかもしれない。もし、正確なオンライン時間が必要なら、追跡アプリを使うかFacebookと共同研究するのがいい考えだろう。
Facebookの研究結果の全文はこちらで読める。
画像クレジット:Adam Berry / Getty Images
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)