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リアル店舗にあるワクワクをECにも! awoo Japan吉澤氏が考えるECの問題点と可能性

アジア初のオムニチャネルマーケティングプラットフォーム「nununi」を提供する台湾発の注目AIテック、awoo Japan。このたび、本格的な日本市場参入にあたり、事業開発責任者に元Repro執行役員の吉澤和之氏が就任することが発表された

そこでTechableでは、「これからの時代でECに求められるものは何か」というテーマで吉澤氏にインタビューを実施した。

リアル店舗にあってECにないもの

ーーまずは吉澤さんが考えるEC市場の課題について伺えますか。

吉澤:これは日本に限った話ではありませんが、ECそのものの顧客体験価値を再定義する必要があると思っています。

ーー顧客体験価値ですか?

吉澤:はい。リアル店舗での買い物ってワクワクしませんか? 店内をふらふら歩き回って、商品を手にとったり試着したりしているうちに、思いがけず素敵な商品に出会うことってありますよね。

こういった偶然の出会いから購入に至る「偶発消費体験」がECには少ないと思うんです。

ーーたしかにEC上で、“思いがけず”良い商品を見つけるということは少ないかもしれませんね。

吉澤:これは、閲覧や購買ベースのレコメンドに限界がきているからだと考えています。

リアル店舗での接客を思い浮かべてもらうとわかりやすいのですが……例えばお客さんがTシャツを見ていたとします。このとき、お客さんはその見ているTシャツを買いに店舗に来たのでしょうか、あるいはTシャツを買うためだけに店を訪れたのでしょうか。

そういうこともあるかと思いますが、どちらかというと稀なケースです。ほとんどの場合は、「暑くなってきたから夏物がほしい」とか「旅行に来ていく服がほしい」とか、特定の何かを探しに来たのではなく、もっとふわっとした動機のはずなんです。

しかしECだと「Tシャツを見ているから他のTシャツをおすすめする」という特定のジャンルに限定したレコメンドになってしまっています。これでは良い顧客体験になりません。

もちろんそういったレコメンド表示が無駄というわけではありません。僕が言いたいのは、それ以外に、購買動機をベースとした「Tシャツを見ている人にサンダルをおすすめする」というようなレコメンデーションもECにおいて必要だということです。

デジタルシフトはコロナで前進するか

ーーEC業界の問題点として日本特有のものもあるのでしょうか?

吉澤:そうですね、海外と比較して運用自動化の意識が低い、というのはあると思います。

人手不足だったり、システム運用部門とマーケ部門の連携が取れていなかったり、活用できるデータが制限されていたり。いろいろと問題が重なり、結果的にECにおけるDX化は他国と比較してかなり遅れていると言わざるを得ません。

中国や台湾では、AIやロボティクス技術を積極的に導入して、これらの問題を一気に解決しようとしています。

ーー海外で運用自動化が重要視されているのはなぜですか。

吉澤:ECのみならず、小売全体がいま「ブランド体験」の重要性に気づきはじめているからです。

ブランドを定義するものはなにかーー。その体験からどんなイメージを想起させるかーー。どんな精神的つながりを消費者と形成したいのかーー。

人間が考えるべきはこうしたブランド体験についてであり、そこに集中するためには、その他のオペレーション業務を自動化する必要があるんです。

いまコロナの影響で日本ではニューノーマルな社会へとシフトしつつあります。これはデジタル化にドライブをかけるという意味ではチャンスとも言えることです。いまこそ、「運用効率化」そして「顧客体験の変革」を両面から進めていく必要があると思います。

ーーそのためのソリューションが御社のプロダクト「nununi」ということですね。

nununiの可能性、吉澤氏の目標

ーー「nununi」は具体的にどのような顧客体験を可能にするのでしょうか。

吉澤:いまEC業界において、顧客体験の価値を高めるために重視されているのは「顧客理解」。つまり、「ユーザー行動の習得と分析」を通じてインサイトを得ることです。

しかし、実はこれだけでは十分といえません。良い顧客体験には「顧客理解」に加えて、「商品理解」が必要になってくるんです。

nununiでは、高度なAI技術を活用して、一つひとつの商品に、特徴を表したタグを付与します。このタグを活用すると、ユーザーがどんなマイクロニーズをもっているのか、どんな特徴を好んでいるのかを商品ベースで把握することができるようになるんです。

ーー購買動機をベースとしたレコメンドが可能になるんですね。

吉澤:それだけではありません。nununiを導入することで、SEOや広告のROASの改善もできます。

また、メールやLINEのマーケティングツールでは、タグをベースにセグメント分けをクリックひとつで行い、コンテンツの自動作成もでき、各ユーザーの開封時間に合わせてAIがメールを送信するので、最適な人に最適なコンテンツを最適な時間に配信ができるようになります。

運用上獲得したデータはAIにフィードバックされるため、使えば使うほどパフォーマンスが向上していきます。

つまり、新規顧客の獲得からサイト内エンゲージメント、顧客維持までの課題解決を行うことができるんです。

ーー「運用の自動化」と「リアル店舗のような顧客体験」を実現することができると。

吉澤:そのとおりです。僕たちはnununiというプロダクトを通じて、ECでの買い物をもっと楽しくさせる体験を提供したいと考えています。

それは、このアフターコロナの社会において、重要な責務だと感じています。なぜなら、現代の人々は、消費というものに対して「コト消費・イミ消費」という側面が強く、商品やサービスが自己実現と深く密接につながるからです。

消費は単なる消費ではなく、人生を充足させるための手段としての意味合いが強くなりました。こうした流れを受けて、消費体験を提供する企業側も、より楽しくショッピングしてもらうことが重要なんです。

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