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マイクロソフトやオラクルはTikTokを買収して何がしたいのか

トランプ政権からの圧力を受けて、TikTokのオーナーであるByteDanceがこのショートムービーアプリを売りに出しているという話はすでに何度も聞いたことがあるだろう。そして、驚くべきことにいくつかの大手エンタープライズ企業が買収に興味を示している。これらの企業は一般的なTikTokユーザーを泣かせるような技術を持つことで知られている。マイクロソフトやオラクルが、TikTokを嗅ぎまわっているという話が続いているのだ。

TechCrunch記者のDanny Crichton(ダニー・クリクトン)が先週指摘したように、TikTokの買収価格を押し上げるために、この売却に関与する銀行家たちはメディアにさまざまな噂を流す動機がある。すべてが真実ではないかもしれないが、噂は消えない。なぜオラクルやマイクロソフトのような企業がTikTokの資産に興味を持つのだろうか?

まず第一に、オラクルはデータベースの会社として知られているが、最近ではマーケティングオートメーションやクラウドインフラストラクチャサービスなどさまざまな事業を手掛けている。新型コロナウイルスの感染爆発は始まったばかりの4月に、オラクルのクラウド部門がZoomとの提携を発表したときは皆を驚かせた。

オラクルは、クラウド・インフラストラクチャの市場シェアでは、ライバルのAWS、マイクロソフト、グーグル、アリババ、IBMの後塵を拝しており市場シェアに1桁台に落ち込んでいる。オラクルはTikTok買収により、この市場でより大きなプレーヤーになりたいと考えているのだ。

一方のマイクロソフトは、ほかの企業と同様にクラウドへの移行には成功しているが、クラウドインフラ市場ではAWSに大きく後れを取っている。AWSとの差を縮めたいと考えており、TikTokを所有することで、より早くその目標に近づける可能性がある。

調査会社のConstellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏によると「簡単に言えば、オラクルがZoomとTikTokを自社に取り込めば、2つの優れたサービスを手に入れることができます」とのこと。有名なショッピングモールがディスカウントチェーン大手のTargetとデパートチェーン大手のNordstromを誘致するのと同様に、Oracleも自社のクラウドサービス2つの人気サービスを取り込もうとしている。

「TikTokは、各社のインフラサービスの利用率を押し上げるだろう。それこそが各社が望んでいることだ。もしマイクロソフトがTikTokを獲得すれば同社サービスの利用率は2%から5%増加する可能性があるが、オラクルなら10%増加する可能性がある」とミューラー氏。同氏によると、オラクルのユーザーベースは今ではずっと少なくなっているので、そのぶん利用率が上がるだろうという想定だ。

同氏が指摘するように、政府がTikTokの運営者であるBytedanceに事業売却を強く要請しているため、オラクルやマイクロソフトのような企業にとっては大きなチャンスだ。そのためこういった噂がたくさん出てくるのだ。「クラウドビジネスの観点からも、そして米国政府が作成したビジネス機会の観点からも買収は妥当だ」とミューラー氏は説明する。

顧客関係管理を事業とするCRM Essentialsの創業者でありプリンシパルアナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、米国の大手テック企業がTikTokを買収することで、マイクロソフトやオラクルが獲得したいと考えているユーザーにとっては魅力が薄れる可能性があると指摘する。

「老舗エンタープライズ企業が買収すると、現在のユーザーのTiktokへの魅力が薄れてしまう可能性があります。若い人たちは、中高年の利用者が多いFacebookからすでに離れています」と同氏。そしてこの事実は、現在のプラットフォーム人気を支えている若いユーザーは、次の大きな社会現象にすぐに飛びつくことを意味する。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、米国時間8月19日にトランプ大統領がオラクルへの支持を示したことは注目に値する。WSJによると、オラクルの創業者で億万長者であるLarry Ellison(ラリー・エリソン)氏は、今年の初めに自宅で再選のための資金調達パーティーを開くなど、大統領の大物支持者だ。オラクルCEOのSafra Catz(サフラ・カッツ)氏も2016年に政権移行チームの一員として活躍し、政権とのつながりを持っている。

これらの企業が本当に関心を持っているかどうかは不明だが、一般的な感覚では、誰かがサービスを買おうとしており、誰が買おうと各社の保有資金の何%かを使用するだけで、ユーザー数の大幅なブーストを図ることができる。Twitterも買収に関心を持っている企業に上がっており、TwitterとTiktokという2大ソーシャルプラットフォームを統合にすることで、Facebookに直接的に競合するメガプラットフォームができるかもしれない。

IBMやグーグルのように、クラウドインフラの利用率を高めようとしているほかの大企業が参入してくるかもしれない。 もしかすると、アマゾンでさえ、そのリードを確固たるものにするためにオファーを出すかもしれない。ただし、この取引が米政府の承認を得なければならない場合、アマゾンCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)とトランプ大統領との間の緊張した関係性により、アマゾンが買収する可能性は低くなるだろう。アマゾンは国防総省のJEDIクラウド契約で米政府と揉めたからだ。

アップルは、どの企業よりも多くの1930億ドル(約20兆4600億円)以上の現金を持っているにもかかわらず、TikTokの買収には明らかに興味を持っていない。アップル自体はそうかもしれないが、どこかの企業が興味持っていることは確かであり、中にはTikTokの資産を所有することを我々が想像できない企業もあるだろう。

画像クレジット:CHRIS DELMAS / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

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