高専生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」をかけ合わせ、企業評価額を競う事業創出コンテスト「第1回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2020(DCON2020)」の本選が8月22日に開催された。
2度の予選を勝ち抜いた精鋭11チームが事業化も想定した白熱のプレゼンを展開。結果、東京工業高等専門学校が栄えある最優秀賞に輝いた。
ハイレベルな白熱プレゼン
同コンテストの審査は、実際のベンチャー企業の評価と同じ基準で評価する。技術の価値が「企業評価額」と「投資金額」でジャッジされる点がこのコンテストの大きな意義だ。これにより、その技術の売上や利益にくわえて事業の意義、市場の大きさ、経営者とメンバーの資質などの側面からも評価されるコンテストとなっている。
今回は、結果の優劣にかかわらず、全体的にハイレベルなコンテストとなったようで、表彰式では企業から高専生へ「すぐにでも共同開発をはじめたい」「ぜひ就職を検討してもらいたい」などの提案がされる一幕もあったとか。
ちなみに、上位3チームの企業評価額は5億円でならび、プレ大会優勝校を上回る企業評価を受けたという。
なお、同コンテストの様子はNHK教育テレビの『サイエンスZERO』で9月6日と13日の23:30~放送予定。アーカイブ映像は日経チャンネルにて後日公開予定とのこと。
最優秀賞のほか、企業賞も
プレゼンしたのは、印刷された文字と点字の相互自動翻訳を視覚障がい者自身で行えるシステム「:::doc(てんどっく)」。テクノロジーの力で情報アクセス不平等をなくす、社会的意義の高い取り組みが評価されたとのことだ。
企業評価額は5億円、投資総額 1億円と副賞の起業資金100万円、さらにJDLAの若手奨励賞も授与されている。
また、最優秀賞のほか各協賛企業が表彰する企業賞も授与された。
ほかにも、「ディープラーニングを用いた美ら海の環境保護プロジェクト」を発表した沖縄工業高等専門学校が矢崎賞を、「音とセンサーを使って部屋に人がいるかを検知するシステム」を開発した長岡工業高等専門学校がアイング賞を受賞している。
ちなみに、第1位、第2位についで同額の評価額5億円(投資総額は5,000万円)という結果を出した第3位の佐世保工業高等専門学校は「ディープラーニングを用いた高速魚種選別システム」で挑んだが、惜しくも受賞には至らなかった。
大会総括として松尾豊氏は「現場の技術者が様々な技術を組み合わせ、新しい価値を生み出す創意工夫をし、課題を解決するというのは経済成長の1つの基本」として、高専生こそそれを実現する可能性を持っているとの考えを示した。また、先輩起業家がメンターとして高専生を指導する場は非常に重要であり、「先輩に後輩がどんどん続いていくといった流れを作っていきたい」とコメントしている。
- Original:https://techable.jp/archives/135540
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口