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素人でもできる!?ステンレス板からカスタムナイフを作ってみた③【実践編】

<&GP自作部>

ブッシュクラフトに憧れて始めたカスタムナイフDIY。

前回まで2回にわたってご紹介した通り、素人でもナイフを自力で作ることに成功しました。しかし見た目だけのナイフでは意味がありません。

「本当にこのナイフが実際に使えるのか?」

そんな疑問を解決すべく、フィールドテストをしてみたいと考えていたのですが、長い長い梅雨空のおかげで随分遅くなってしまいました。

そんな憂鬱な梅雨も明け、ようやく夏は真っ盛り。自作ナイフの実用テストを兼ねて、娘と一緒に地元秩父のキャンプ場へやってきました。

今回のテストでは「自作ナイフで焼き魚」に挑戦したいと思います。

■自作ナイフでニジマスをさばいて焚き火で焼く!

さっそくキャンプ場近くの管理釣り場で、娘にニジマスを調達してもらいます。なんとか3匹のニジマスが釣れ、いよいよここからが本番です。

このテストに向けナイフは砥石で研ぎあげ、ビンビンに刃付けをしておきました。いよいよそのかわいいナイフのデビューです。

■ハラワタを取り、串を作って打つ

きれいに洗ったニジマスの腹にナイフの切っ先をあてがうと、グイッと突き入れて刃を横にスッと引きます。すると大した抵抗もなく、新鮮なニジマスの腹をキレイに割くことができました。

ナイフの刃先を使ってハラワタを掻き出し、背骨に沿って付く血合いを削り落とします。この作業を丁寧にすることで、川魚の臭みが抜け食べやすくなります。

我が自作ナイフの鋼材は厚さ3mmでブレードが薄手なので、使い勝手がとても良好でした!

次に串打ちですが、今回は自宅庭の柿の木から若く細い枝を数本、手折ってきました。

表皮をナイフで綺麗に剥き、先端を鋭く尖らせると串を作れます。若枝は柔らかいので、丁寧に作業しないと先端を鋭く尖らせることが難しいのですが、よく研いだおかげか、ナイフの切れ味は十分で、作業に支障はありません。

この串をニジマスに刺します。よくテレビなどに出てくる魚体が波打つ「踊り串」は難しいので、より簡単な「のぼり串」に挑戦!!

まず串をニジマスの口から挿し入れてエラの穴から少し出し、そのすぐ横から身へ突き刺して中骨に沿うように尾まで串を打つ方法です。

上手に串が打てたらパラパラっと塩をまぶし、あとは焼くのを待つばかり。

キャンプの焚き火で串打ちした魚を焼くと、市販の竹串などでは身が焼ける前に、串に火がつき焼け落ちてしまうことも多いですが、若い竹や枝を使って串を作ると火がつくこともないので使いやすいです。

ただし立ち木の枝を手折る時は、必ずその土地を管理されている人の許諾を得てからにしてくださいね。

また枝や葉に毒を持つ植物も少なくはありませんので、その点もよく確認してください。とくに夾竹桃の枝は毒性が強く、食器や薪として使うことは大変危険なので注意が必要です。

■フェザースティックを作り、火を起こす

さて我が家には薪ストーブがあるので、乾燥した薪を大量に保管してあり、今回のキャンプでもそれを持参しました。

サバイバル的な本には、ナイフ1本でどこまでできるか! という話が載っていますが、さすがに私が作った小型ナイフでは、そこまでは不可能です。

今回も、薪の大きさ調整には小型の斧を使いました。自作のナイフで薪作りまでできればカッコいいんですけどね〜。

いよいよ火起こし。ここで再び自作ナイフに登場願います。

作るのはフェザースティック。ブッシュクラフトでは定番の焚付け材です。作り方はシンプルで、適度な太さの枝を鉛筆削りの要領で薄く削るのですが、削り切らずに破片をギリギリで枝に残します。

これを繰り返すことで、鳥の羽毛のようなカールを枝の表面にたくさん作っていくのです。上手な人が作ると、カールはより薄く、密集した状態ででき着火性も抜群なのですが、これが見た目以上に難しく、ついつい力任せに削ぎ落としてしまいます。

フェザースティック作りは、ナイフを扱う練習にもなるので、キャンプ地での暇つぶしに、挑戦してみてください。

フェザースティックが完成したら、いよいよ火起こし。達人が作ったフェザースティックなら、それ一個とマッチで火付けが可能なのですが、私のものではまだまだ荒く、マッチの炎程度ではなかなか着火しません。

しかしここで古新聞などを使ってしまうと、ブッシュクラフトキャンプの雰囲気が台なしです。そんな時に私がよく使うのが「藁縄」か「麻紐」の切れ端。どちらも家庭菜園をやっていると、使い古しが出るので、それを細かく切って保存しておきます。

これらはマッチの火でたちまち燃え上がりますが、火持ちは短く、あっという間に消えてしまいます。そこでフェザースティックと組み合わせると完璧です。ご覧の通り、簡単に焚き火に成功しました。

魚の塩焼きには、本来は炭火が最適。薪で作った炎ではどうしても火力が強すぎるので、魚の表面が焦げ、中身まで火を通すことが難しいのです。

しかし今回は自作ナイフがブッシュクラフトで使えるか、フィールドテストを兼ねたキャンプですから高価な燃料である炭は使わず、薪を熾火にまで育て、その炎で魚を調理しました。ちなみに写真には写ってませんが、魚の上からアルミホイルを蓋するように被せると、中までじっくり熱がいきわたり、ふっくらジューシーに焼くことができます。

早く食べたいのを我慢して、なるべく弱火で時間をかけて焼きます。3匹でだいたい40分かけて焼き上げました。結果は大成功! 塩の効いた皮はパリパリで、表面近くの身は香ばしく焼きあがり、中の方はフカフカでとても良い香りです。娘と2人であっという間に完食してしまいました。

さて今回の自作ナイフのテストですが、このナイフで実行したのが、以下の3つ。

1.川魚をさばいて下処理する
2.枝を削り出して串を作る
3.焚き火用にフェザースティックを作る

結果は良好で、鋭い切っ先は新鮮な川魚の表皮をたやすく切り裂き、ハラワタやエラを除去することができました。切れ味は鋭く、より硬い若枝の表皮も、乾燥した枝も、しっかり削ることができました。これなら木工などにも使用可能だと思います。

ただしこのナイフの刃渡りは短く、鋼材の厚みも薄めなので、バトニングによる枝打ちや、薪割りに使うのは難しそう。

カスタムナイフを自作する工程で、一番大変なのが、鋼材の板からナイフの形に切り出すことです。そのため、どうしても鋼材は薄手で、ナイフ自体の大きさも小さい方が作業は楽になるのですが、自作のナイフによりハードな作業を求めるなら、ここの作業を頑張るしかないようです。

どちらにしても、今回の検証で「自分で作ったナイフ」は十分に実用に使えることが分かりました。次回は鋼材の厚さはそのままで、より大型のナイフに挑戦してみたいと思います。またナイフの形状もより曲線を多用し、調理で使いやすい形にしてみたいですね。

皆さんもぜひナイフ作りに挑戦し、キャンプサイトで自作ナイフの切れ味を楽しんでみてください!

>>素人でもできる!?ステンレス板からカスタムナイフを作ってみた

銃刀法に抵触する疑いのある刃物を製作・所持すると罰せられます。現在、銃刀法では、刃渡り15cm以上の刀や剣、槍などの刃物や刃渡り5.5cm以上の剣(両側に刃のついた刃物)、自動開刃する飛び出しナイフも所持は禁止されています。これらの刃物は作らないようにしましょう。

また所持可能な刃物でも、正当な理由なく携帯することは、銃刀法や軽犯罪法で禁止されています。 法律を守りながら、DIYを楽しんでください。

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写真・文/阪口 克

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。

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