AIモデルのトレーニングには膨大な電力を消費する。モデルによってはトレーニングでの二酸化炭素排出量が、車5台ぶんの生涯排出量(284トン)に相当するとのことで、環境負荷の観点からも大きな課題といえそうだ。
こうしたなか、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、AIハードウェアを革新することで省電力AIへの道を示した。
同技術は、“第4の回路素子”との呼び名もある「メモリスタ」を利用したもの。AIハードウェアのトランジスタをメモリスタに置き換えることで、1000倍以上のエネルギー効率を実現する。
脳と同様に演算と記憶両方の機能を担う
メモリスタ自体は、HP研究所により2008年に初めて実証された技術で、デジタルデバイスのミッシングリンクを補完するとの期待が持たれていた。
通過した電荷を記録して抵抗が変化。脳のように単一のブロックが演算と記憶両方の機能を担い、非常にエネルギー効率がいい。また、バイナリコードだけでなく、1/0間の複数レベルで同時に動作するため、面積当たりの記憶容量も大きくなる。
ただ、これまで開発されたものはエラー率が高かったため、いまだに実用に至っていなかった。
メモリスタを使用してニューラルネットワークを作成するシステムを開発
研究チームは、メモリスタ上で動作するニューラルネットワークの精度を、従来のAIハードウェアに匹敵するレベルにまで高めた。
1つの大きなネットワークではなく、複数の小さなネットワークを配置して連携させることで、演算の精度が向上したようだ。
メモリスタを使用したAIシステムは、今後3年以内に実現する可能性があるとのことで、多くのAIハードウェアが置き換えられる可能性がある。
参照元:Brain-inspired electronic system could vastly reduce AI’s carbon footprint/ News Wise
- Original:https://techable.jp/archives/136259
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji