NarrativeはシリーズAで850万ドル(約9億円)を調達した。また、データ売買のプロセスを簡略化する新しいプロダクトをリリースした。
筆者は同社が運営しているデータ取引のマーケットプレイスとソフトウェアについて以前に紹介(未訳記事)した。今回リリースしたData Streams Marketplaceでは、プロセスがこれまでよりもシンプルになる。アマゾンで商品を買うのとあまり変わらないぐらいだ。
Narrative創業者でCEOのNick Jordan(ニック・ジョーダン)氏は筆者に対し「基本的には、Eコマースと検索モデルの良いところを取り入れて、それをコンシューマでない人々がデータを探し、発見し、最終的には購入するプロセスに応用したものだ。オンラインでモノを買うのと同じぐらい簡単にデータを買えるようにする」と語った。
例としてジョーダン氏は筆者に、マーケットプレイスの利用者が様々なタイプのデータをブラウズしたり検索したりする方法を見せた。購入したいデータ、例えばUber DriveアプリやZoomアプリをスマートフォンに入れている人のモバイルIDなどを見つけ、支払ってもいいと思える価格であれば(通常はサブスクリプション)、そのデータセットを自分のショッピングカードに入れ、クレジットカード情報を入力し、利用規約に同意して支払うだけだ。
ジョーダン氏は、このアプローチはこの数カ月で価値を増したと考えている。現在の不確実な情勢で、企業はより多くのデータを、より素早く入手する必要があるからだ。同氏は、広告に何千万ドルも費やしているような大企業は「ほぼプログラマティックにデータを見つけて購入し、5カ月かけるのではなく5分で完了する方法を必要としている」と例を挙げた。
たいていの場合、サードパーティの販売者はNarrativeの審査を受けてからプラットフォームに参加しデータを販売する。マーケットプレイスでは、購入者は誰がデータを売っているのかを知ることができ、さらに販売者と直接連絡を取り合うこともできるとジョーダン氏は説明する。このことはコンプライアンスやデータの品質などを確認するために重要だろう。
同氏は、Narrativeは(販売者の)データ収集方法をしっかり理解するように努めてはいるが、規制に関する問題がないことを必ずしも完全に把握できるわけではないと注意を促す。
同様に、Narrativeはプラットフォーム上で販売されているデータの品質を格付けする予定はないとジョーダン氏は言う。「データの品質は見る人が判断することだ。誰かにとってのシグナルは、他の誰かにとってのノイズだ」。
この2つの問題に関して目指す着地点は、透明性を提供し、購入者が必要に応じて調査できるようにすることだ。Narrativeはデータセットの品質を採点するアプリなどを扱うサードパーティ製アプリのマーケットプレイスも構築しているとジョーダン氏は述べた。
同氏は「長い目で見れば、ユースケースをほぼ無限に想像できる」と言う。
Crunchbaseによると、Narrativeはこれまでに530万ドル(約5億6000万円)の資金を調達していた。今回のシリーズAを主導したのはG20 Venturesで、これまで投資していたGlasswing Ventures、MathCapital、Revel Partners、Tuhaye Venture Partners、XSeed Capitalも参加した。
ジョーダン氏は、今回得た資金でプロダクトやエンジニアリング、セールス、マーケティングの人材を雇用できると述べた。また、Narrativeはこれまでずっと北米全体からチームメンバーを雇用することを優先し、最近では少数派の人々にアプローチし雇用することをこれまで以上に重視しているとも言及した。
「言うは易く行うは難しだ」とジョーダン氏は認める。「うまくやっている会社は優先順位を上げなくてはならないし、うまくいくようにと願うだけのことではない」。
画像クレジット:Narrative
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(翻訳:Kaori Koyama)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/08/31/2020-08-27-narrative-series-a/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Anthony Ha