ブラウンから中間価格帯のシェーバー「シリーズ5」、「シリーズ6」、「シリーズ7」が8月下旬~登場する。シェーバー選びの基準として価格は大きく、主に価格帯毎に「低価格帯:5000円以下、中価格帯:5001~2万円以下、高価格帯:それ以上」と分けて考えるとひとつの目安になる。とかく最新技術が搭載された高価格帯に注目が集まるが、中価格帯の選択肢が増えたことが今年の特徴と言えよう。ただシェーバーはAV機器などのように嗜好性が高くなく、マニア的存在はあまりいない。ファッションのように最高級のものをメンテナンスしながら長く使うという層と、安い機種を定期的に買い替える層に分かれることが多く、中価格帯ユーザーの姿が今まではあまり見えてこなかった。そこにこのコロナ禍で支出を抑えようとする動きも重なって、今後、品質と価格のバランスのとれた中間価格帯がクローズアップされそうだ。
ヘッドの自由度を手に入れたブラウンの最新機種
2012年にパナソニックからの「お風呂剃り」の提案がなされたのが直近の大きなイノベーションというくらいで、個人的に電気シェーバー界は長らく停滞していたと思っている。無論、毎年、各社ともマイナーバージョンアップはあったが、ブラウンにおいては「シリーズ9」は別として、肌を冷やす「ブラウン クールテック」に留まっていた。今回、6年ぶりの大型新製品で、同社の調査によると中間価格帯の消費者は「アゴ下の剃り残し」が最大の悩みとのこと。そこにニーズを見いだし、アゴ下の密着に重点を置いた製品を揃えた。たしかにアゴ下は皮膚が比較的柔らかいのと、形状の凸凹で剃り残しが多くなる部位。目の付け所は正しい。ここでは今回のラインナップ中でも特徴的な「シリーズ7」について解説する。印象としてはかなりスリムで軽く、取り扱いやすい。長らくブラウンの矜持であったヘッドの角度調整を見直すことにより同機はパナソニックのラムダッシュのような自由度を獲得した。同社の高価格帯である「シリーズ8/9」は、その自由度より高性能な音波振動搭載を優先した。ヘッドの自由度とは共存しえないのだ。フレキシブルな動きは少ないがパワフルで結果的に短時間で剃れて肌に優しいという別のアプローチ法を採っている。これらは単純にどちらがよいというものではなく、使う人のヒゲの濃さや密度、生え方、ライフスタイル、可処分所得などによって異なってくる。そういう意味でも中間価格帯の充実は消費者にとってありがたい。少しでも安くと価格のみ重視するのでなければ、パフォーマンスの高い「シリーズ7」を選ぶのが正しいと筆者は思った。
美顔器としても一流!パナソニックの一石二鳥ギア
さて、日本を代表するパナソニックからも画期的な「スキンケアシェーバー ラムダッシュ 3枚刃 ES-MT21」が発売された。こちらは世界初イオンの力で化粧水を浸透させながらシェービングができるというもの。同社によると手で塗るより保湿成分・ヒアルロン酸浸透量が約1.7倍になるという。さらに肌の水分減少をも抑制し、うるおいをしっかりキープ。肌水分減少は約1/4で済むとのこと。今や男性でも敏感肌、乾燥肌を自覚する人が多く、ユーザーによっては肌への優しさの方が、深剃りよりも優先されることすらある。そんな状況を踏まえた上でのこのギアの登場は、当然の成り行きと言えるだろう。
使い方だが、まず剃る前に市販の化粧水を肌に塗布する。ある程度、馴染んだらシェーバーの刃と並列しているイオンプレートを肌に当てながらヒゲを剃る。従来の抵抗を減らしたり、剃る時間を短くしたりとは異なるこれはまったく新しい発想による「肌への優しさ」のアプローチだ。また、それに留まらずシェービング時以外にも美顔器としても機能する。普段のスキンケア時には正面にある幅広のプレートを使用し、プラスからマイナスに向かって発生する水の流れを利用した「電気浸透流」によって化粧水などの保湿成分を角質層への浸透性をアップさせる。さらに強弱2段階※あるイオンケアモードを使用すると、化粧水などの水溶性の保湿成分だけではなく乳液や美容液、クリーム、そしてシートマスクなどと併用でき、加えて温感機能も搭載しているのでより本格的なお手入れにも対応する。ここでも高/低※の2段階設定が可能で、美顔器として遜色のない仕様。乾燥による小ジワなどが目立つ目元や口元、ひたいや眉間などを気にする男性の強い味方になってくれると感じた。中価格帯よりはやや初期費用がかかるが、美顔器を別に買わずに済むとなるとむしろコストパフォーマンスが高い。
筆者は電気シェーバーはもとよりヒゲに関するすべてがおもしろくて仕方がない。メイクをする男性も増え、顔まわりのケアのジェンダレス化が進んでいる昨今。唯一、男性のみに残された行為と言えばヒゲ剃りだろう。高度に限定的でありながら、日常的なシェービング。ヒゲとともに不要な角質を取り除く爽快さ、しかし一歩間違えると肌を傷つけてしまう危うさ、という矛盾をはらむ儀式に筆者は魅了されて止まない。ギアの選択肢が増えることで、ますますヒゲスタイルとヒゲ剃りを愛するユーザーが増えてくれることを願ってやまない。
text : 藤村岳
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000129394/
- Source:デジモノステーション
- Author:モクタンアティサ