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Carbon Healthが簡易の新型コロナ検査クリニックを全米で100カ所立ち上げ

プライマリケアヘルステックのスタートアップCarbon Health(カーボン・ヘルス)が「オムニチャネル」のヘルスケアアプローチに新たな要素を加えた。すでにサンフランシスコ、LA、シアトル、ブルックリン、マンハッタンで展開し、そして間もなくデトロイトでも立ち上げる新しいポップアップのクリニックというモデルだ。今後数週間か数カ月以内に米国内の他の主要都市でも展開し、最終的には新型コロナウイルス検査サイトが新たに100カ所設置される。これにより、1カ月あたり10万人を検査する能力が加わることになる。

これまでのところ、Carbon Healthはベイエリアにある既存の施設でのCOVID-19対応に注力し、またゲノミクスのスタートアップColor(カラー)、そして自治体とのコラボレーションを通じてサンフランシスコ州とその周辺でポップアップの検査サイトを展開してきた。そしていま、Carbon HealthのCEOで共同創業者Even Bali(イーブン・バリ)氏は、これまでに学んだことを全米レベルで展開するときがきたと考えている、と筆者とのインタビューで語った。フレキシブルで素早い検査サイトの展開だ。実際、同社はこの目標に向けて3月から取り組みを始めていたとのことだ。

「当社は2月に新型コロナに対応し始めた。文字通り中国・武漢からの患者が当社のクリニックに来ていたからだ」とバリ氏は話した。「すぐにパンデミックになると思った。部分的には政府の対応の失敗のために、自分たちができるだろうと思われること全てをやろうと決めた」

それはCarbonが事業を展開する地元でできそうなことから始まった。しかし、バリ氏とチームは早い段階で、より広範に取り組みを展開する必要があると認識した。実行にあたっては、Carbonは初期の体験を活かすことができた。

「当社はオンサイトで検査を行い、高齢者ホームを訪問し、企業の再開にも協力した」とバリ氏は話した。「現時点で当社はこれまでに20万回超の新型コロナ検査を独自に行ったと思う。Carbon Healthが部分的に協力したサンフランシスコの取り組みも含めれば、ベイエリアの検査の半分以上を当社が行ったはずだ。なので、当社はすでに可能な限りスケール展開しているが、あるとき物理的に場所の限界に近づいていた。そして3月にポップアップでよりモバイルなクリニックを多く展開するアイデアを思いついた」

ブルックリンにあるCarbon Healthの新型コロナ検査ポップアップクリニックの内部

これを実現しようと、Carbon Healthは十分に検査サービスが提供されていなかったコミュニティに対応するために町から町へと移動できるモバイルトレイラーの活用も始めた。それが今回のモデルのプロトタイプのようなものになった。マンション建設地で現場監督のオフィスとして使われているもののような建設用トレイラーを一新し、医療関係者が新型コロナ検査を行うのに必要な設備や用品を備えた。それはかなり一時的なソリューションであり、Carbon Healthはより目的に適し、素早く展開するのに役立つ大量製造が可能なカスタムデザインでメーカーと協業している。

Carbon Healthは、駐車場のスポットをフードサービスや物流拠点といった事業場所に変える、SoftBank(ソフトバンク)が支援するスタートアップReef Technologies(リーフ・テクノロジーズ)と提携している。そして同社が今回取り組むのはCarbonのクリニックだ。これは地元当局の許可や不動産の規制といった複雑なものをクリアするのに大いに役立つ、とバリ氏は話した。つまり、Carbon Healthのポップアップクリニックは、従来の永久設置型のクリニックを開所するときに時間がかかるプロセスを回避できることを意味する。

このモデルを活用する1つのアドバンテージがコストだ。多くの人が従来型のクリニックに比べれば高価ではないと思うかもしれないが、それほどコストがかからないというわけではない。少なくともカスタム製造され、ボリューム生産による経済性が得られるまではそうだ。しかしスピードは大きな利点だ。こうした特殊な状況でCarbon Healthが先を考えるのに役立っている。パンデミック後、あるいは新型コロナワクチンを接種するようになったときに、こうしたポップアップクリニックはどのように使われるのか、といったことだ。バリ氏は「かなりの数が必要とされる承認を受けたワクチンは、検査よりも体制が整わなければ管理が必要になる」と指摘した。

ブルックリンにあるCarbon Healthの新型コロナウイルス検査のポップアップクリニックの外観

一方で、新型コロナ以外の診療の需要は依然としてあり、Carbon Healthのポップアップモデルは従来のプライマリケアと遠隔診療のギャップを埋めることができるかもしれない。

「遠隔診療がいいソリューションとなっていない場合、ビデオによる医師の診察はほぼ満足するものだが、診断のためのテストをする必要があるということが問題だ。管理が必要かもしれないし、医師の指示のもとに看護師ができる本当にシンプルな身体検査を必要としているかもしれない。なので、こうした場合を考えると、あらゆる受診の90%はビデオでの医師の診察と、現場の看護師で対応できる」

新型コロナのテストは全米において急がれる重要なものであり、新型コロナワクチンの展開ができるだけ早くそれに置き換わることを願う。しかしパンデミックが収まった後でも、ヘルスケアは大きく変わる。Carbon Healthのモデルはケアをあらゆるところで展開するという需要に対応する、より永久的で実行可能な方法になりえる。

>画像クレジット:Carbon Health

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(翻訳:Mizoguchi

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