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世界初となる機構を搭載したグランドセイコーの到達点

機械式時計と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、おそらくスイスの高級時計ブランドの数々。しかし国産メーカーもその技術は決して負けてはいません。

1960年、当時“時計王国”とも呼ばれたスイスの時計産業に対して真っ向から挑戦すべく誕生したのが、国産腕時計を代表するブランド・グランドセイコー。このグランドセイコーから、世界初となる機構を搭載したコンセプトモデル「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」が発表されました。60年代に時計の本場スイスの牙城を崩した日本の時計作りの技術が、再び結実するときを迎えています。

▲「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」

今回グランドセイコーから発表されたのは、「コンスタントフォース」と「トゥールビヨン」というふたつの複雑機構を同軸上で一体化させるという、世界で初めての機構を搭載した「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」。

機械式時計の動力はいうまでもなくゼンマイ。時計の針は、巻き上げたゼンマイがほどける力を利用して時を刻みますが、当然のことながらゼンマイがほどけるとともに発生させる力(トルク)が衰えていくもの。こうした動力の変化が時間の精度にできる限り影響を与えないよう、機械式時計の内部には先人たちの考え出したさまざまな工夫が凝らされてます。

そのひとつが、「コンスタントフォース」と呼ばれる定力装置。機械式時計の精度を司る「てんぷ」と呼ばれる部分に対して、トルクの大小(ゼンマイの巻き上げ量)に関わらず一定のエネルギーを届ける機構です。

また、「トゥールビヨン」とは、通常ムーブメントに対して水平方向に往復運動する
てんぷをはじめとする心臓部をユニット化(=キャリッジ)し、このキャリッジごと
一定の速度で回転させることで、重力によって生じる精度誤差を取り消すための機構のこと。200年以上も前に考え出された技術ですが、高い精度を要する部品製造と組み立て、調整には高い技術が必要とされています。

ともに高度な設計と製造の技術が要求されるふたつの機構。その両方が搭載されているというだけでもかなり珍しいのですが、グランドセイコーが目指したのは、てんぷに均一なエネルギーを届けるため、コンスタントフォースをてんぷに限りなく近づけつつ、なおかつ安定して機構を作動させる仕組みです。

しかし、通常トゥールビヨンにコンスタントフォースを加える場合は、キャリッジから離れた場所に置くのが一般的。これに対して「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」では、コンスタントフォースとトゥールビヨンを同軸上かつ一体化することに成功。世界初となる独自機構によって、セイコーの機械式モデル史上最高レベルとなる時間精度を実現しています。

なおこのコンセプトモデルは、本年7月20日に岩手県雫石町にオープンした「グランドセイコースタジオ 雫石」にて、完全予約制にて公開を予定しています。展示では、連続して回転するトゥールビヨンにコンスタントフォースの断続的な回転が追随するユニークな動きとともに、ふたつの機構が刻む音が16ビートの躍動的なハーモニーを奏でる様子を、目と耳とで堪能できます。予約受付開始時期に関しては、後日グランドセイコー公式Webサイトにて案内される予定です。

>> グランドセイコー「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」特設ページ

<文/&GP>

 

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