スタンフォード大学が運営するSLAC国立加速器研究所は、単一ショットでは世界初となる32億画素のデジタル写真撮影に成功した。
写真をフルサイズで表示するには4K超高精細テレビ(UHDTV)378台が必要で、約24km離れた地点にあるゴルフボールを見ることができるという。
この撮影は、SLACで組み立てられたセンサーアレイをテストしたもの。同センサーアレイが組み込まれる世界最大のデジカメは、チリのヴェラ・ルービン天文台に送られ、10年以上にわたって約200億個の銀河の画像を収集することになっている。
数千km離れた場所からろうそくを検出できる
Assembling the focal plane of the @VRubinObs LSST Camera took six months, and incredible precision! See how it was done in this video produced by @SLAClab https://t.co/I6Jsu7kZMZ pic.twitter.com/fbaQvFFEnZ
— Rubin Observatory (@VRubinObs) September 8, 2020
デジカメでいうイメージセンサーに値するセンサーアレイには、189個のセンサーが組み込まれている。それぞれが1600万画素となっていて、非常に平坦なのも特徴。凹凸の幅は髪の毛の10分の1程度しかないとのこと。
こうした特徴から、信じられないほどの高解像度で写真を撮影できる。天体観測に利用されるためのものだけあって、暗いオブジェクトの検出もお手のもの。肉眼の1億倍の感度を備え、数千km離れた場所からでもろうそくが検出可能だ。
ラフトは1台3億2000万円
センサーを9個セットしたパーツ「ラフト」は、1台で最大300万ドル(約3億2000万円)とのことで、組み立ても非常に慎重に行われたようだ。カメラが組み立てられ、ルービン天文台で稼働するまではまだ神経質な作業が続けられる予定。その前段階として今回、150ミクロンのピンホールを使用してセンサーアレイの撮影テストが行われた。テストでは、被写体としてブロッコリーの一種、ロマネスコなどが選ばれ、表面構造を詳細に捉えるセンサーアレイの性能が示されている。これらの画像はこちらから確認できる。
ルービン天文台による「宇宙と時間に関するレガシー調査(LSST)」は、2022年に開始予定となっていて、超高解像度カメラが銀河やダークマターの謎を解明してくれることに期待したい。
参照元:Sensors of world’s largest digital camera snap first 3,200-megapixel images at SLAC/ Stanford News
- Original:https://techable.jp/archives/137257
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji