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ARMのNVIDIAへの売却でビジネスモデルが崩れる?創業者は「最悪」とコメント

ARM 2021 new architecture 1
 
ソフトバンクグループが、傘下のファブレス企業ARMホールディングスの米半導体メーカーNVIDIAへの売却を合意したことについて、ARMの共同創業者のハーマン・ハウザー氏は「最悪の事態」と述べ、オープンなビジネスモデルが崩れる可能性を指摘しました。

NVIDIAは強力な半導体企業へと躍進

負債削減を目的としてARMの売却を急いでいたソフトバンクは、9月14日にARMを400億ドル(約4兆2,500億円)でNVIDIAに売却することで合意した、と発表しました。
 
Bloombergによれば、新型コロナウイルスのパンデミックによりNVIDIA製品の需要が増加しており、同社の株価は今年2倍以上に上昇しているため、NVIDIAはARMの買収資金を株式でまかなうことができる、とのことです。
 
NVIDIAはクラウドコンピューティング、人工知能(AI)、ロボットを駆使した自動化、モバイルコンピューティング、モノのインターネット(IoT)の開発企業にグラフィックス用半導体製品を提供していますが、中央演算処理装置(CPU)だけが欠落していました。
 
NVIDIAがARMを買収することでこの穴を埋めることができ、非常に強力な半導体企業が誕生するとの見方です。

米中間の貿易戦争の巻き添えを食らう可能性も

ARMは、来るものを拒まないオープンライセンシングモデルを採用しており、同社の技術はこれまで1,600億個のチップに使用されてきました。
 
英企業のARMが米企業のNVIDIA傘下になれば、米中間の貿易戦争に巻き込まれる可能性もあり、「半導体産業のスイスのとしてのアームのビジネスモデルが崩壊する」とARM創業者のハウザー氏はコメントしています。
 
ハウザー氏は、英国内の雇用を保証すること、オープンなビジネスモデルを維持すること、米国の安全保障政策に顧客関係を巻き込まないこと、の3つを売却条件として挙げており、これらが達成されない限り、英政府のバックアップによりARMを英企業とすべきと進言しています。
 
 
Source:Reuters [1], [2], Bloomberg
(lexi)

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