Twitterの卒業生であるDeepak Rao(ディーパック・ラオ)氏とSiddharth Batra(シッダール。バトラ)氏によって設立されたThrive(スライブ)は、ローンを評価する方法として、求人票を参考に学生の学費を調達したいと考えている。同社は米国時間4月8日、ローンプラットフォームを立ち上げ、31州の400以上のキャンパスの学生が利用できるようにした。
Thriveはサンフランシスコを拠点として、クレジットスコアに基づいてローンを発行する従来の金融機関では一般的にカバーできない、資金不足の学生を支援している。共同設立者のラオ氏によると『Thriveは『第1世代の米国人、低所得世帯の出身者、第1世代の学生』のような人々を対象にしている」という。
サービスを大々的に立ち上げる前に、Thriveは1025万ドル(約10億7000万円)の資金調達と500万ドル(5億2000万円)の融資(デットファイナンス)を確保している。また本日、同社はクレディ・スイスから2億ドル(約209億円)の融資を受けたことも発表した。
投資家には、PayPalやAffirmの創業者であるMax Levchin(マックス・レヴィチン)氏、Twitterの元COOであるAdam Bain(アダム・バイン)氏、Craft Venturesのジェネラル・パートナーであるDavid Sacks(デビッド・サックス)氏などが名を連ねている。
「我々は人間の可能性に投資するという使命を持って会社を創業しました。私たちは基本的に、資金不足の学生に力を与え、彼らが職業生活に移行するために必要なもののための資金へのアクセスを提供する製品を作っています」とラオ氏は説明する。学生が借り入れた現金は、新しいラップトップやフライトなどに柔軟に使用することができる。
学生はThriveのサイトにサインアップして、近日中に行われる夏のインターンシップやフルタイムの大学の大学院からのオファーのためのオファーレターをアップロードすることができます。Thriveはその書類を確認し、学生にローンを提供します。
Thriveは、学生がインターンシップの場合はその給与総額の25%を、フルタイムの場合は、最初の3カ月間の給与の25%を融資する。
学生がすぐに就職することを証明すれば、1営業日以内に資金にアクセスし、新しい仕事を始めてからThriveへの返済を開始することができる。
Thriveの返済構造は、Lambda Schoolのような会社が使用しているインカムシェアリング(出世払い)の形式に似ている。Lambda Schoolによると、学生は在学中の授業料を払う必要はないが、その後に最低でも年間5万ドル(約520万円)を2年間支払う仕事で得た、給料の17%を支払うというオプションを提供している。
つまり、授業料の支払いを給料に賭けることは目新しいことではないが、Thriveはインカムシェアリングの概念を転換し、ローンの融資に応用しようとしているのだ。
2017年に会社を設立したとき、ラオ氏とバトラ氏はともにスタンフォード大学の同級生で、その後はTwitterの共同研究員だった。ラオ氏は低所得の家庭出身で、個人的に米国の大学院生であることに伴う費用の打撃を感じていたそうだ。飛行機で実家に帰る必要、ラップトップのの費用、そして夕食の費用まで。
Thriveは、具体的な財務情報の共有や収益性についてのコメントを拒否したがラオ氏によると「『年率5倍』の成長を遂げており、2021年末までベンチャーキャピタルの調達を避けるために十分な資金を持っている」とコメントした。
「Thriveの最大の経費は、ローンの資金調達能力であり、調達した資金を使ってローンを融通することはない」とラオ氏は述べた。「結局のところ、ソフトウェアビジネスのようなもので、当社の最大のコストは商品の原価です。これは資本であり、ほかの誰かがその資本に資金を提供しているのです」と続けた。
新型コロナウイルスの感染蔓延による経済不安の時代に突入したいま、より多くのベンチャーキャピタルを必要としないことは特に役立つかもしれない。不透明な経済に向けてリスクに備えるため、引受基準を厳しくしなければならなかったほかのフィンテック企業とは異なり、ラオ氏は「Thriveが融資の意思を変えることはないだろう」とTechCrunchに語っている。
新型コロナウイルスの影響でキャンセルされたテック系インターンシップもある。Thriveは、学生がオファーを取り消された場合には「それに応じて支払いプランを更新する」とラオ氏。「インターンシップが有効である限り、オファーは発行されます。インターンが遠隔地であろうと対面であろうと関係ありません」と付け加えた。
歴史的に高い失業率を誇る就職市場に、大学生や大学院生が参入する中、Thriveは事業を拡大している。厳しい雇用市場が融資をオファーレターに頼っている企業にどのような影響を与えるのか、また代替融資への賭けが報われるのかどうかを注目していきたい。[原文へ]
(翻訳:TechCrunch Japan)