中国の電気自動車のスタートアップであるWM Motor(WMモーター)は、ライバルであるTesla(テスラ)などによって競争が激化している中、超大型の資金調達を発表(WM Motorリリース)した。5年前に設立された同社は9月22日に、シリーズDラウンドで100億元(1540億円)を集めたのだ。調達した資金は、研究開発、ブランディング、マーケティング、販売チャネルの拡大に投下されるという。
Baidu(百度、バイドゥ)とTencent(テンセント)に支えられているWM Motorは、ニューヨークで公開されたNIO(ニオ)、Xpeng(シャオペン)、Li Auto(リ・オート)と並んで、中国で最も資金を集めたEVスタートアップの1つだ。今回の資本増強によりWM Motorは、新規株式公開に向けて準備を進めている可能性がある。Bloombergが7月に伝えたところによると、早ければ今年中にも中国版NASDAQともいえる科創板(STAR)マーケットへの上場を検討(Bloomberg記事)しているという。
資金調達のニュースの数日前、WM Motorは主要なパートナーとサプライヤーを発表(Weibo投稿)した。Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonのコックピットチップ(Qualcommサイト)は、新興企業の車内体験の原動力となり、バイドゥのApollo自動運転システム(Apolloサイト)は、WM Motor車にセルフパーキング機能を提供する。Unisplendourは中国の清華大学を拠点としており、自動運転のハードウェア面を担当する。さらに集積回路メーカーのSino IC LeasingがWM Motorの「自動車接続」に取り組むことになる。
この新世代のEVメーカーは、モノづくりの経験が乏しいため外部との提携を模索するケースが多い。のライバルであるシャオペンも同様に、BlackBerry(ブラックベリー)、Desay EV(デザイEV)、NVIDIA(エヌビディア)と提携してスマートEVを提供している。
WM Motorは、中国のVolvo(ボルボ)、FIAT(フィアット)、吉利汽車(ジーリー)で役員を務めた経験を持つ自動車業界のベテラン、Freeman Shen(フリーマン・シェン)氏が創業したスタートアップだ。
同社は最近、今後3~5年の間に200億元(約3080億円)と3000人のエンジニアを、5Gを搭載したスマートコックピット、レベル4自動運転、その他の未来的な自動車技術に割り当てるという野心的な計画を発表(WM Motorリリース)した。Crunchbaseのデータと最新の資金調達額によると、これはこのスタートアップの総調達額のうちのかなりの部分を占めており、およそ30億ドル(約3140億円)以上と推定されている。
中国の地方政府は、半導体や電気自動車などの戦略産業に参入する企業を支援することが多い。例えば、WM Motorの最新の資金ラウンドは国有投資プラットフォームと国有自動車メーカーの上海汽車集団(SAIC Motor)が主導しており、どちらもスタートアップの本社がある上海に拠点を置いている。上海にはテスラのリチウムイオン電池の生産工場であるGigafactoty(ギガファクトリー)もあり(未訳記事)あり、米国の巨大企業が中国製の自動車を製造している場所でもある。
WM Motorは7月に、3万台目のSUV車EX5を納入(WM Motorリリース)したという。これには補助金が付くため価格は約2万2000ドル(約230万円)(WM Motorサイト)、車内にはビデオストリーミングや空気浄化などの機能が備わっており、同社によると顧客の70%近くを幼い子どもを持つ親が占めている(WM Motorリリース)という。
カテゴリー:モビリティ
画像クレジット:WM Motor
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(翻訳:TechCrunch Japan)