すむたすは9月24日、次期DXなど事業戦略の説明をはじめ、不動産業界初の新サービス「ウレタ」に関する発表会を開催した。
ウレタは、マンション売却の希望者に対して、「高く売却する」仲介価格と「すぐ確実に売却する」買取価格をAIにより同時算出・提示し、売却価格を知ってから不動産会社を選べるようにするという不動産テックサービス。マンション売却希望者は、仲介会社に相談し多少時間がかかっても高く売却するか、オンラインで最短2日で売却するか選べる。
同サービスの提供開始時点より、仲介会社50社以上がすでに参画しており、2021年3月末までに首都圏1都3県を対象に広げ、2022年3月末までに参画企業300社、売却成約件数600件を目指す。
国内外の不動産市場トレンド
発表会では、代表取締役 角高広氏が登壇。国内外の不動産トレンドとして、先行する米国不動産企業によるコロナ禍にまつわる取り組みを解説した。米不動産テック企業のRedfinによると、米都市部の不動産売買件数データは4月以降急激に減少したものの、5月下旬には底を打ち、その後は急回復を見せているという。徐々に経済が再開しつつあることに加えて、30年固定の住宅ローン金利が1971年以来史上最低の低金利を更新しており、ローン申請のしやすさが物件購入の追い風になっているとした。このほか、テレワーク(リモートワーク)を前提とした郊外物件への住み替えが増加する一方、サンフランシスコの家賃が過去最高の下落幅を見せているという。
角高広氏は、コロナ禍で人気が高まっているサービスとして、オンラインでのVR内見サービスやバーチャルオフィスなどを紹介しつつ、米不動産テック分野では、コロナ禍と関わりなく「iBuyer」(アイバイヤー)と「iFunder」(アイファンダー)に対する注目・トレンドが存在する点を指摘。iBuyerは、仲介会社を介さず、価格査定アルゴリズムを活用しオンライン上で直接不動産を買い取り再販するモデル。iFunderは、従来の住宅ローンの形式にとらわれず物件購入希望者に資金を提供する企業の総称。日本の場合すむたすがiBuyerにあたり、iFunderに該当する企業は日本には存在しないという。
国内不動産市場のトレンドも、コロナ禍にからむ動向は米国と同様という。4月から5月にかけて大きな落ち込みがあったものの、6月以降回復傾向にあるとした。新たな需要が起こっているわけではなく、これまで抑制されていたニーズが戻りつつあるとした。
すむたすが展開する、テクノロジーを活用した次世代の買取再販事業
すむたすは、「住まいの理想的な選択ができる社会へ」をミッションに掲げ、テクノロジーを活用した次世代の買取再販事業を展開。売りたい方向けにAI査定により最短1時間で実取引価格を査定する「すむたす買取」、また買いたい方向けのリノベマンション販売プラットフォーム「すむたす直販」を展開。すむたすは現在、不動産の中古流通市場のうち、中古マンションの買取再販セグメントを対象に、首都圏で事業を実施しており、角高広氏は将来一戸建てや首都圏以外にも拡大したいと明かした。
角高広氏によると、これまでの買取再販では、売主から買主に物件が渡るまでに複数の仲介会社が存在し、仲介手数料が12%+24万円程度かかっているという。
この仲介手数料を売主から買主に還元できないかと考えたものが、すむたすになるとした。すむたすは手数料を設定しておらず、仲介会社を介さず直接売買することで、売主は仲介手数料の分だけ高く売れ、あるいは買主は安く買える仕組みを採用しているという。
すむたすは、売主・買主の売買価格、リノベーション費用などによる価格差分で利益を出しているそうだ。
不動産流通(中古売買)領域、「仲介企業を介した売却」のDXを実現する「ウレタ」
また、人生100年計画時代に突入し、ひとつの家に住み続けるという価値観が変化している一方、不動産流通(中古売買)領域におけるDXは遅れており、角高広氏はその改善が急務とした。
すむたすは、不動産の直接売却において「すむたす買取」、直接購入では「すむたす直販」を展開済みで、仲介企業を介した購入ではすでに数多くの企業が存在しており、DXが最も進んでいると説明。同社がこの領域に進出することはないとした。
不動産流通領域においては、とりわけ仲介企業を介した売却はすべてのやり取りが対面や電話・FAXになっており、DXの観点では最も遅れていると指摘。すむたすは、これを解決し業界に貢献するものとして「ウレタ」を発表した。
ウレタでは、売却希望者が、マンションの売却価格を知ってから依頼先を選択できるようにしており、これは日本初・業界初という。また、高く売りたい場合の価格とは別途、早く売りたい場合の価格も提示しており、両方の価格をオンラインで知ってから選べる点も初の仕組みとなっているとした。
現状の不動産業界は、ただでさえ売却に踏み切るまでに時間がかかる上に、単に価格を知りたいだけでも不動会社とのやり取りが発生してしまっているという。不動産会社にとっても、価格を知りたいだけの顧客に時間をかけて査定を行うこと、ひとりの顧客に何度も電話やメールを行うことなどが負担となっている。
一方ウレタでは、マンションの売却希望者がアプリ上で物件情報を入力すると、査定結果として最短1時間で実際に売れる適正価格が表示される。「価格を知ってから、そもそも売るかどうかを考える」、「価格を知ってから、好ましい特徴の企業を選ぶ」を可能としている。
さらに、マンションの売却希望者は、査定時に個人情報を入力する必要はなく、物件情報に関してウレタのAIと不動産専門家が査定を行う。仲介企業に連絡などを行わないため、マンションの売却希望者に対して営業なども一切行われない。ストレスなく安心して売却価格を確認できるという。
売却価格の確認後は、売却希望者の売却方針にあった最適な不動産会社をじっくり検討可能。
不動産の一括査定サイトと近いものの、ウレタでは、物件エリアに詳しい地元密着型企業を厳選し掲載しており、大手・中堅企業の掲載は避けているという。すでにベータ版として23区全域+αでサービスを提供しており、地域一番点を中心に50社を掲載し、掲載エリアを順次拡大中だ。
ウレタの収益モデルとしては、不動産会社からの掲載費用を得る形にしている。また、「すぐに売りたい場合の価格」はすむたすがトップに掲載されるため、ここで売却された場合は、すむたすの買取再販業モデルの利益を得られる。
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- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/09/25/sumutasu-ureta/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa