暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月20日~9月26日の情報をまとめた。
Ultraがアタリと提携、新型ゲーム機「Atari VCS」にブロックチェーンゲーム関連機能を搭載予定
ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)とブロックチェーン活用のゲーム配信プラットフォームを提供するUltraは9月24日、パートナーシップ契約の締結を発表した。アタリが今秋発売を予定している新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」が、UltraのPCゲーム配信プラットフォームにアクセスできる機能を搭載することを明らかにした。
UltraのPCゲーム配信プラットフォーム
Ultraは、ゲームを総合的に楽しめるエンターテインメントプラットフォームの提供を目指しており、PCゲームの購入はじめ、ブロックチェーンゲームのアイテム交換・売買、配信ゲームの中古販売、収益があげられるゲーム、トーナメントプラットフォームを通じたライブストリーミングへのアクセス、eスポーツのようなゲーム大会の開催、コミュニティなどが可能という。
Ultraでの取引には、仮想通貨EOSからフォークしたUltraブロックチェーンを基盤とするトークンUOSが使用される。また、UOSトークンはステーキングを行うことで、「Ultra Power」と呼ばれるゲーム内のリソースを得られるなど、ブロックチェーンを活用したさまざまな機能が用意されている。これらはゲーム開発者にも提供され、Ultraをベースにゲームを配信する企業や開発者は、ブロックチェーンゲームの開発が容易になるうえに、他の配信サービスよりも多く収入が得られる仕組みが提供されるとしている。すでにUbisoftやAMDといったゲームメーカーおよびハードウェアの大手企業とも提携をしているそうだ。
また、今回の提携によりUltraユーザーもその恩恵を受けることができる。ユーザーはAtariの専用コミュニティに参加することで、Atariの往年の名作ゲーム「アステロイド」「センチピード」「ミサイルコマンド」「PONG」「ローラーコースタータイクーン」をプレイ可能になる。
Windows 10、Ubuntuをインストールできる「PCモード」も搭載の家庭用ゲーム機「Atari VCS」
Atariが今秋発売を予定している家庭用ゲーム機「Atari VCS」(旧名:Ataribox)は、2018年に発表され、たびたび発売延期を繰り返してきたもの。本体発売と同時に2000本以上のゲームが遊べるサブスクリプションサービスの提供も発表されており、懐かしの名作ゲームが多数遊べる製品となっている。
Atari VCSは、1977年に発売されたAtariの往年のゲーム機「Atari 2600 Video Computer System」をリスペクトし開発されたもので、CPUとしては、組み込み向けの「AMD Ryzen Embedded R1606G with Radeon Vega 3 Graphics」を採用。またメモリーは32GBで、ストレージは256GB M.2 SSDとなっており、ゲームに特化した小型PCといったおもむきだ。OSとしてはDebian GNU/Linuxベースに開発した「Atari OS」を利用。「PCモード」では、このAtari OSとは別途、Windows 10、Ubuntu、Steam OS、Chrome OSなどをインストールし利用できるという。
Atari VCSでは、UOSトークン、またAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)を使用しUltraでもゲームなどが購入可能になる。また、AtariはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)フレームワークをはじめとするUltraの技術を利用して、同社の人気ゲームタイトルの多くをアップデートし、名作ゲームのNFT化を試みる予定も明らかにしている。
3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用
會澤高圧コンクリートは9月23日、3Dプリンターを用いて外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型の公衆トイレを建設し、インドでのトイレ普及を目指すSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みについて発表した。インドではスマートフォンが広く普及していることに着目し、トイレの鍵にはブロックチェーンを活用したスマートロックを採用する。
国連サミットで採択されたSDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するための17のゴールが設けられた国際目標。同社は、SDGsの17のうち6番目の目標となる「安全な水とトイレを世界中に」に取り組んでいる。
同社は、新棟を建設中の深川工場(北海道深川市)敷地内に、ロボットアーム式のコンクリート3Dプリンターを用いて積層造形した国内初の小規模建築物となる公衆トイレを2基建設し、9月16日に一般公開した。2基のうちの1基がインド向けのプロトタイプという。
ブロックチェーンを活用し、自分の前の利用者の利用状況をレーティングできる
建設された2基の公衆トイレは、他社との技術コラボレーションで実現しているという。インド向けに採用されるスマートロックは、メディアスケッチと共同開発している。トイレの鍵の開閉をスマホで行えるだけでなく、ブロックチェーンを活用し、自分の前の利用者の利用状況をレーティングできるという。その仕組みにより「次の人のためにトイレをきれいに使う習慣」を定着させることにつなげる狙いがある。
3Dプリンターを用いて速乾性の特殊モルタルを抽出・印刷し、複雑な構造物を造形可能
「安全な水とトイレを世界中に」を目標とした同社は、女性スタッフを中心とする開発チームをインドに派遣し、現地のニーズや課題などを調査した。調査結果によると、インドでは野外排泄による水質汚染が深刻な社会問題という。トイレそのものが不浄なものとして、家に設置しないこともある。また公衆トイレで襲われるなど治安が確保されないケースもあるという。また、下水道などのインフラは、都市部以外は未整備で、水洗式を全土に普及させるには膨大なコストと時間がかかることがわかったという。
こうしたインドでの課題を解決するには、上下水道不要の自己完結型公衆トイレ(オフグリッド・トイレ)の普及が必要と判断。同社は、バイオによるトイレの処理技術や空気中から水を抽出する技術を持つベンチャー企業などと協業し、3Dプリンターで積層造形した自己完結型のハイテクトイレを試作した。
同社の3Dプリンターは速乾性の特殊モルタルをロボットアームのノズルから抽出し印刷する。従来のモルタルやコンクリートを流す際に使用する型枠は使わずに、複雑な構造物を造形できる。しかし、国内においてはコンクリートが建築基準法上の指定建築材料であることから、特殊モルタルなどの使用には大臣認定などの性能評価が必要となる。そのため今回は、プリントした中空状の外装を型枠代わりに使用し、その中にコンクリートを充填して配筋を施し、鉄筋コンクリート造の構造体としたという。
上下水道が不要になるバイオトイレのモジュール
上下水道が不要になるバイオトイレのモジュールは、正和電工が開発したおがくずを使用するタイプを採用。同モジュールは、スクリュー付きタンクにおがくずを充填しておくと、おがくずが排泄物によって保水される。保水後、タンクに設置されている約50度のヒーターでおがくずを加熱し、スクリューでかき混ぜることにより排泄物の90%の成分である水は蒸発する。残った約10%の固形分は、微生物が分解し発散させるという。
排泄物自身に含まれる腸内細菌と自然界に生息する微生物の働きで、排泄物は水と二酸化炭素に分解処理されるが、蒸発も分解もされない最後に残った無機成分は、粉状態でおがくずに吸着し、肥料として使用できるという。
空気中の湿気から水を生成する水生成装置も装備
また、アクアムホールディングスが開発した、空気中の湿気から水を生成する水生成装置も装備する。空気中の湿気を強力ファンで取り込み、コンデンサーによって冷却し強制的に結露を起こし、水を生成する。水は活性炭、ミネラル、ROフィルターなどでろ過することで安全な飲料水となる。今回は、手洗いとウォシュレット用に使用する。さらに、手洗い水を節約するため、沐羽科技の低圧霧化技術を導入。特殊なノズルとコンプレッサーで、通常の蛇口に比べて約90%の水を節水できる。
LasTrustとサートプロが「資格のDX」を目指し実証事業、ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠で資格書をデジタル化
LasTrust(ラストラスト)とサートプロは9月25日、「資格のDX」を目指し、サートプロが運営管理する各種団体の資格証明書を、LasTrustのブロックチェーンを活用した証明書発行サービス「CloudCerts」(クラウドサーツ)でデジタル化する実証事業の開始を発表した。
LasTrustの提供しているサービスCloudCertsは、あらゆる「証明」をセキュアにデジタル化できるブロックチェーン証明SaaS(オープンソースのブロックチェーン証明書規格Blockcertsに準拠)。今回のデジタル化実証実験では、サートプロが紙で発行・運用を行っていた資格の数々をデジタル化。合格証を合格者に渡すまでのリードタイムや発行・管理コストの改善、有資格者側の利便性向上を目指し、実証実験を行う。
実証実験により、ペーパーレスの実現、環境面への配慮とサスティナビリティ(持続可能性)の確保を行う。また、有資格証明のスマホ管理、デジタル有資格証明書のURL送付、SNSへの連携など、デジタル化による有資格者の利便性の向上を図る。有資格者の実績をブロックチェーンに記録し、個人の実績を永続的かつセキュアに保存していく。それにより、紙代・印刷費・郵送費といった間接費を削減し、削減できた経費を、付加価値を生む業務へ分配することを目標とするとした。
ブロックチェーン技術、またブロックチェーン証明書規格Blockcertsを活用する理由
証明書をデジタル化するだけであれば、JPGやPDFといった画像データでも可能なものの、それだけでは誰でも簡単に改ざんできてしまうため、汎用的な画像データを証明書の原本として使用することには問題があった。
一方ブロックチェーンは、一度書き込んだ情報を変更できないという耐改ざん性を備えている。またブロックチェーン上に分散管理しておくことで、資格提供団体の状態に関わらず半永久的に実績の記録が残る。資格証明書の有効性をゼロコストで検証できるという利点があり、証明書のデジタル化には必須の技術であると判断したという。さらにCloudCertsでは、コア部分において、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究機関Media LabとLearning Machineとが共同開発したブロックチェーン証明書のオープンスタンダード規格Blockcerts(ブロックサーツ)を利用しており、第三者機関による証明書発行システムの信頼性・透明性検証などにも耐えうるものとしている。
実証事業は、10月には証明書デジタル化の予備提供開始と市場調査を行う。その後、資格証明書デジタル化の検証を経て、12月には本格運用を目指すという。
実証事業においてデジタル化の対象とする資格・試験は、IoT検定(IoT検定制度委員会)となる。IoT検定は、IoTに関わるすべての人を対象に、技術的な視点のほかに、マーケティングやサービスの提供、ユーザーの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件などを網羅し、それぞれの立場でIoTを企画・開発・利用するために必要な知識があることを認定する検定試験。
実証事業後は、サートプロが管理・運営を行うAndroid技術者認定試験制度、XMLマスター、アジャイル検定、E検定にも順次対応していく予定も明らかにした。
また、資格のデジタル化には留まらず、有資格者のスキルを可視化するなどデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを強化し、「資格」という社会的資産の価値の底上げに寄与することを目指すという。
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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:仮想通貨 / 暗号資産