オンライン学習企業にとって2020年は大きな年となった。それはThinkific(シンキフィック)も例外ではない。バンクーバーを拠点とするこのスタートアップが、2200万ドル(約23億2000万円)の新規資金を調達したことを発表した。
Thinkificは今年、1億ドル(約105億6000万円)を調達したMasterClass(マスタークラス)や6600万ドルを調達(約69億7000万円)したSkillshare(スキルシェア)のようなビジネスとは異なっている。なぜならThinkificは、自分自身ではオンラインクラスの作成、配信、収益化を行っていないからだ。その代わりに同社が提供しているのは、誰でも独自のコースを作成し、自分自身のウェブサイトで販売できるようにするプラットフォームだ。
共同創業者でCEOのGreg Smith(グレッグ・スミス)氏は、人がThinkificでコースを作成するのは、普通「ブランドを自分で管理したいとき、顧客関係を本当に自分のものとして握りたいとき、人びとに自分のウェブサイトに戻ってきてほしいとき……持続可能な自身のビジネスを構築したいときです」と語った。
このモデルだと自身のコースを宣伝するために、コース作成者たちにより負担がかかるのではないかと質問したところ、スミス氏は同社は作成者の成功を支援することを目指しており、プラットフォーム自体を使用して作成者たちのための教育コンテンツを用意していると語った。しかし、彼はまた同時に、Thinkific自身がコースそのものを配信および販売するモデルは避けたいとも語った。
「私たちは収益の一部をいただくことは本当に致しません」と彼はいう。「私たちはコース作成者ご自身に、ビジネスを所有してもらい運営していただきます」。
同社のアイデアは、スミス氏自身がロースクールの学生でかつLSAT(ロースクール入学試験)のインストラクターだった経験から生まれたものだ。彼がLSATのクラスをオンラインで提供しようとしたときに、彼の兄弟であるMatt Smith(マット・スミス)氏がそのシステムの開発を申し出たのだ。最終的に、彼らと他の共同創業者であるMiranda Lievers(ミランダ・リーバース)氏とMatt Payne(マット・ペイン)氏とともにThinkificを開発し、他の人たちが、自分自身のコースを作成できるようにした。
Thinkificは、今回の資金調達以前には300万ドル(約3億2000万円)を調達しただけであり、2018年には利益を出すようになったと述べている。だが、スミス氏は、今回チームを拡大したくなったため、より多額の資金調達を決心したのだという(計画ではこれから18カ月で350人の雇用を行い、従業員数を3倍にする予定だ)、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが加速したオンライン学習への移行の流れを追うことにしたのだ。
スタートアップによれば、5万以上の起業家や企業がThinkificプラットフォームを使用してコースを作成しており、3月以降に作成されたコース数は200%増加しているという。Thinkificはまた、これらのコースが、2020年これまでにコース作成者たちに合計で6億5000万ドル(約686億6000万円)の収益をもたらしたと述べている。
スミス氏はこの先、対面学習が現在よりも実施できるようになった後も、オンライン学習へのシフトが続くことを期待していると付け加えた。
「あなたが武道の道場を持っていて、そこにオンラインコースを追加したとしましょう」と彼はいう。「その段階でコミュニティで100人に対して教えることから、世界中の数1000人に教えることへ移行したのです。たとえその道場が物理的に再開したとしても、この追加の収入源を維持したいと思うでしょう」。
今回の調達ラウンドは、すでに投資家だったRhino Venturesが主導した。
「過去4年間、Thinkificとの協力は、特別なものという他はありませんでした」とRhinoのマネージングパートナーのFraser Hall(フレイザー・ホール)氏は声明の中で述べている。「そのビジネスモデル、ユーザー数、そして前年比で約150%の収益成長が、現在カナダで最も価値のある公開企業のShopifyに、非常に近いものであることは周知の事実です。これは間違いなく知識起業家精神の新しい世界を形作っているモデルです。そして、教育を新しい収益チャネルとして追加したい個人や組織が使うことのできるモデルなのです」。
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カテゴリー:EdTech
画像クレジット:Thinkific
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(翻訳:sako)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/09/30/2020-09-29-thinkific-funding/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Anthony Ha