「まいた種が発芽する」という一見当たり前のようなことの背景には、多くの人的・時間的リソース消費があるという。種苗法では、種が正常に発芽する割合を示す「発芽率」に一定以上の水準を設け、販売企業にはその水準の確保が義務付けられているからだ。
「発芽率」を割り出す「発芽検査」はこれまで目視による手作業で行われてきたのだが、このたびより効率的に「発芽検査」を実施できるソフトウェア「AI発芽検査」が開発された。
開発したのはNTTテクノクロス株式会社。年間10万点という発芽検査を実施してきたタキイ種苗株式会社協力のもと開発に成功した。
作業効率5倍以上!?
「AI発芽検査」は、容器に1ミリ程度の種を100粒並べ数日生育させた様子を撮影した種の画像からAIが学習データをもとに発芽状態を判定する(特許出願中)。育成させるところまでは従来と同じだが、目視による検査と「AI発芽検査」による検査ではスピード感がまるで違うようだ。
目視による判定作業には、検査員の経験の差などもあるが、100粒に対し1分以上かかっていた。しかし「AI発芽検査」ではわずか十数秒で完了し、経験の浅い検査員の作業と比較すると5倍以上の効率化が見込めることがわかったという。
しかも、検査員判定と照らし合わせた結果、判定精度は98%と高水準。人的・時間的リソースを削減しながら高精度な判定が実施できる「AI発芽検査」に期待が高まっているようだ。
来春、一般販売!
「AI発芽検査」は、2020年11月1日よりタキイ種苗に先行導入され、2021年4月の一般販売に向けて対応品目の拡大など開発・改良を重ねる予定とのこと。
また同ソフトウェアは、2020年10月14日~16日に幕張メッセで開催される、日本最大級の農業・畜産の総合展「第10回 農業Week」への出展が決定している。
最近、「荷札ラベル自動認識AI」や「配筋検査AI」、「電柱のひび割れ判定システム」など「目視」や「手作業」という非効率さを解決するAI技術が増えてきたように感じる。さまざまな業界で人手不足が叫ばれるなか、業務効率化や省人化を図れるという点では今後もさらに需要が高まっていきそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/138615
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口