<&GP自作部>
新型コロナウイルス感染予防による自粛期間中、“おうちカフェ”がちょっとしたブームになりました。ステキなカフェに行けない時だからこそ、豆から挽いたコーヒーを自分で淹れて、贅沢なひと時を楽しもうというもの。我が家でも、近所のコーヒー店で豆を購入し、アナログなミルで挽いて香りを楽しみながらコーヒーを淹れるのが、リモートワーク中の楽しみとして定着しました。
しかし、コーヒーミルもコーヒープレスもドリップポットもあるのに、なぜかコーヒー豆を量るコーヒースプーンだけはない我が家。毎度量る豆の量は目分量で、しかも使っているのはなんてことのない普通のティースプーンでした。自宅で贅沢なカフェタイムを過ごすなら、使うもの一つひとつにもこだわりを持ちたい! というわけで一念発起し、木製のコーヒースプーンを手作りしてみることにしました。
サバイバル番組などで、拾った木の枝を削って箸にするシーンを見たことがありませんか? 実は、そういった“木を彫ってモノをつくる”行為にひそかな憧れを抱いていました。とはいえ、学生時代に授業で習って以来彫刻刀を握ったこともない初心者のため、手軽にチャレンジできるキットを探していました。
そんなときに見つけたのが、「URBAN OLE ECOPARK」の手作りコーヒーメジャーキット(2090円)。削りやすくカットされた木材と仕上げのミツロウなどがセットになった、木彫り初心者にはうってつけのキットです。ラインナップも豊富で、コーヒースプーンだけでなく、スプーンや箸、スパチュラや湯のみなど、さまざまなキッチンウェアをDIYすることができます。
コーヒースプーンキットの内容は、11×5cmのブナ材、3種類のサンドペーパー、仕上げ用のミツロウ、ウエス2枚。道具は、大まかな部分をカットするためののこぎりと、工作用カッターが必要で、これは事前に用意しました。
まずは鉛筆でカットラインを描いていきます。いつもコーヒー豆をストックしているメイソンジャーには持ち手が広く厚みのないタイプがちょうどよかったので、カットラインを広く取りました。
屋外へ移動し、いらない部分をのこぎりでカット。薄い板をカットするために購入したのこぎりだったため、小さな木片のカットは力のかけ方が難しく苦戦しました。公式サイトのHowTo動画では糸鋸を使用していたため、大きなのこぎりは向かなかったのかなと少し後悔…。
ここからが本番。工作用カッターで、ひたすら削り落していきます。 右手はカッターに添えて、左手で押し出すように削っていくのが一番スピーディなのですが、硬くて丈夫なブナ材はなかなか手強く、2時間も彫り進めると手が震えるほど疲れてしまいました。
翌日、“カッターだけでは埒が明かない!”と思い、近所の文具店で中学生ぶりに彫刻刀セットを購入しました。当然ながら、カッターとは比べものにならない彫りやすさ…。とはいえ力のかけ方によってはすぐに手が痛くなってしまうので、夫に協力してもらいながら交代制で彫り進めていきます。
ちなみに当初は幅広で薄い持ち手のものにしようと目論んでいましたが、平らに薄く彫っていくことが困難だったため、諦めて細い持ち手にシフトチェンジしました。トライアンドエラーはDIYの基本です!
彫刻刀セットは平刀、三角刀、切り出し刀、丸刀の4本セットでしたが、今回は丸刀と平刀の2本が活躍。丸刀でゴリゴリ彫り進めていき、平刀で荒い部分を削り落としていく方法が一番効率的でした。メジャー部分は、カーブを滑らかにするために時々カッターも使用しながら彫っていきます。
時間を見つけては地道に彫っていくこと数日。ようやくコーヒースプーンらしい形になってきたので、いよいよヤスリがけに入ります。
彫刻刀の削り跡がボコボコしているので、まずは目の粗いサンドペーパーから。毛羽立ちが気にならない程度ヤスリがけしたら、目の細かいサンドペーパーを順番にかけていきます。
表面がサラサラになったら、ミツロウで仕上げのワックスがけ。ちなみに、ミツロウは化学性塗料と違い木材の呼吸を止めることなく、本来の調湿作用を保ちながら表面を保護することができるそう。湿気が大敵のコーヒー豆にはうってつけですね。
全体をワックスがけしたら、汚れていないウエスで拭き上げます。色味が濃くなって、グッと味わい深くなりました! 軽く水洗いして乾かしたら、ついに完成です。
実際にコーヒー豆を入れてみました。すりきり1杯でおよそ10gの豆がすくえます。我が家ではいつも4カップのフレンチプレスを使用してコーヒーを淹れていますが、このメジャー2杯分の豆がぴったり! これまで目分量で淹れていたのがわかりやすくなりました。
形はいびつですが、実際に使ってみると、そのいびつさも不思議と味わいに感じられます。なんとなく不格好なところもいとおしく思えてしまうのは、自分で苦労して作ったものだからなのでしょうか。
コーヒー豆を保存しているメイソンジャーと合わせてみると、レトロでアナログな感じがたまりません。まるで山の麓にひっそりと佇むログハウスのカフェのよう…。我が子を過大評価する“親バカ”ならぬ“DIYバカ”な妄想に耽りながら、この後コーヒーをおいしくいただきました。
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取材・文/藤間紗花
藤間紗花|埼玉県出身、東京都在住。
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/323361/
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