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欲しいのは、価格満足度の高いヒストリカルピース

No.1
HAMILTON
HAMILTON PSR

今や歴史的モデルの復刻は珍しくなくなったが、そのなかでも話題になるモデルは存在する。2020年の新作でとりわけサプライズだったのが、1970年代の名作「ハミルトン パルサー」の復刻だ。

ハミルトン/スウォッチ フループ ジャパン
03-6254-7371
https://www.hamiltonwatch.com/ja-jp/

レトロフューチャーなルックスに
最新の技術を詰め込んだ、理想の復刻モデル

今年3月に発表されるや、たちまち話題となったのが「ハミルトン PSR」。1970年に誕生した世界初のLEDデジタルウォッチ「ハミルトン パルサー」の復刻モデルだ。初代モデルの「P1」は18Kイエローゴールドのブレスレットを備え、当時のクルマ1台分に相当する2100ドルという高価格モデルだったにも関わらず、多くのセレブリティが注目。映画のなかで「ベンチュラ」を着用し、その後もハミルトンを愛用していたことで知られるエルヴィス・プレスリーもこのモデルを購入したひとりだ。その後、1973年に発表された「P2」は、キース・リチャーズやエルトン・ジョン、さらにはアメリカ合衆国大統領ジェラルド・フォードまでもが愛用したという。まさに伝説の時計だ。

ここ日本はといえば、1990年代のアメカジ全盛期、レトロフューチャーなルックスを持ったデジタルウォッチがブームとなり、モノ情報誌などを賑わせていたことを記憶している人もいるだろう。そのひとつで、ファッション感度の高い人々から注目を集めたのが、当時すでに生産終了していた「ハミルトン パルサー」。その頃愛読していた雑誌の写真を見て、いかにも“1970年代から見た未来”的なデザインが、えらくカッコよく感じたことを今でも覚えている。そんなレジェンダリーモデルの誕生から50年が経った今年、それは突如として蘇った。

新たに「ハミルトン PSR」とネーミングされた新作は、1973年誕生の「P2」がベース。オリジナルではケースのフロントに刻印されていた「Pulsar」の文字が「HAMILT
ON」に置き換わってしまったことは少々残念ではあるが、3Dスキャンを駆使することによって、40.8×34.7㎜というオリジナルのサイズと、特徴的なクッション型フォルムを忠実に再現している点は実にうれしい限り。

しかも、ルックスを当時のままにしつつも、テクノロジーは最新にアップデート。風防をルビーからサファイアクリスタルに変更するのみならず、液晶ディスプレイと有機ELを組み合わせたハイブリッドディスプレイを採用することで、オリジナルモデルでは不可能だった時刻の常時点灯を実現。これによりディスプレイのエネルギー消費量を抑えることに成功し、バッテリー寿命が5~7年へと伸長したのは、実用面での大きなプラスと言えるだろう。

すでに世界1970本限定のイエローゴールドPVDモデルは完売してしまったようだが、ステンレススチールモデルはレギュラーで展開中。今ではすっかり目にすることが少なくなったレトロフューチャーなデザインは、今の時代だからこそ新鮮に映るし、何より、この優れたデザインと実用性を兼ね備えた時計がアンダー10万円で手に入るのは魅力的だ。

オリジナルモデルから格段の進化を遂げたのがディスプレイ。風防はサファイアクリスタルを採用して耐久性を高め、さらに液晶と有機ELを組み合わせたハイブリッドディスプレイによって常時点灯の利便性をも確保している。

 

No.2
LONGINES
The Longines Heritage
Classic Tuxedo

歴史的モデルの復刻は今やすっかり定着したが、そんななかで、長年にわたって自社アーカイブをコレクションの重要な柱のひとつに位置付けているブランドがある。それが1832年創業のロンジンだ。

ロンジン
03-6254-7350
https://www.longines.com/jp

往時のエレガンスな佇まいを表現した
ヴィンテージルックなシンプルウォッチ

ロンジンは1832年、スイスのサンティミエで産声をあげたブランド。1867年には早くも自社工場を構えて時計製造を効率化させ、ここで作られたムーブメントは高い精度を保持していたことから数々の万国博覧会で賞を獲得。また、1912年には今日のスポーツ計時の礎となったスポーツ用電気機械計時システムを開発したり、1913年にはクロノグラフのゼロリセットと再スタートを瞬時に行うフライバック機構搭載ムーブメントを世界で初めて開発したりするなど、創業当初よりずっと、高い開発力を示し続けてきた。

やがて1954年には「コンクエスト」ラインを発表。そのエレガントかつタイムレスなデザインは、その後のコレクションにも継承され、ロンジンのタイムピースは高い支持を獲得し続けている。

こうした「伝統」「パフォーマンス」「エレガンス」をテーマにした新作をコンスタントに発表する一方で、ロンジンの重要な柱のひとつとなっているのが「ヘリテージ」コレクション。自社の膨大なアーカイブピースに着想を得た時計を発売し、ヴィンテージウォッチ愛好家からも注目を集めている。

2020年もこの「ヘリテージ」コレクションに新作が追加されたが、そのなかでもひと際目を惹くのが「ロンジン ヘリテージ クラシック タキシード」だ。

モチーフとしたのはロンジンが1940年代に発表した35㎜径の三針モデル。シルバー×ブラックのツートーンカラーでまとめられたダイアルデザインが特徴で、これはモデル名が示すとおり、同時代に男性が着用したタキシードやディナージャケットにインスパイアされたものだという。ダイアルの中央にはホワイトシャツを想起させるオパーリンシルバーを配し、外周にはマットブラックのサークルをレイアウトしたクールで端正な表情。しかも付属するレザーストラップはセミマット仕上げで、ステッチを隠す処理を施しているなど、「タキシード」らしく、エレガンスにこだわり抜いたクリエイションも見事だ。

また、アラビア数字のインデックスや時分針には、経年によって褪色したような風合いを感じさせるベージュのスーパールミノバが塗布されており、ヴィンテージの佇まいを残している点も好印象だ。

時流を考量し、ケース径はオリジナルからわずかにサイズアップした38.5㎜となっているが、腕に乗せたときの収まり具合と上品な雰囲気がなんともちょうどいい。ドレスアップした際の手首に添えたくなるモデルだ。

ホワイト×ブラックのツートーン・ダイアルは、シンプルで美しいだけでなく、視認性も高い。
ケースバックはねじ込み式。ロンジンの象徴である“翼のある砂時計”を刻印。
クロノグラフモデルの「ロンジン ヘリテージクラシック クロノグラフ タキシード」(価格39万7100円/2020年秋発売予定)もラインナップ。

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