将来的にはスマートフォンやスマートウォッチに大気汚染を測定するセンサーが搭載される日が来るかもしれません。オーストリアの研究チームが空気の汚れをリアルタイムで測定できる極小センサーを開発しました。
コイン2枚よりも小さいセンサー
オーストリアのグラーツ工科大学や半導体メーカーAms AGなどの研究チームが共同開発した省エネルギーのセンサーは、リアルタイムで大気中の粉塵(ゴミやホコリ)濃度を測定しユーザーに通知、濃度が一定以上の場合はアラートを発してくれる機能を搭載しています。しかもサイズは1セント硬貨(直径:19.05mm、厚み1.55mm)を2枚重ねたよりも小さく、12 x 9 x 3ミリメートル(mm)しかないため、スマートフォンやスマートウォッチ、フィットネスバンドなどに気軽に搭載することが可能です。
特筆すべきは、1セント硬貨2枚分ほどのサイズなのにもかかわらず、PM2.5を検出できる点です。PM2.5は直径が2.5マイクロメートル(μm)以下の超微小粒子のことで、大量に吸入すると呼吸器系疾患を引き起こす原因にもなります。欧州環境機関(European Environment Agency:EEA)の調査では、粒子状物質による大気汚染の結果、ヨーロッパだけで毎年40万人以上が亡くなっていることが分かっています。
そのため国や自治体による大気汚染対策だけでなく、個人でも警戒を強めることが求められており、研究チームも「ジョギングや通勤の際に汚染ルートを避けることもできる」と日常生活におけるセンサーの有用性を指摘します。
身の周りの汚染濃度をチェックできる
大気汚染が激しい中国ではPM2.5情報も積極的に公開されており、例えばXiaomiの独自OSであるMIUIでは、中国内であれば天気予報アプリ内で天気と一緒にPM2.5濃度も表示されます。しかし、あくまでも地区レベルでの情報であり、自分の周囲の汚染濃度までは分かりません。そうした現状を踏まえると、このセンサーがいかに画期的かが分かるというものです。
ちなみに、こうした大気汚染検知センサーの開発を手掛けているのは大学の研究機関だけではありません。最近もAppleが、レーザーとセンサーを組み合わせ、毒性ガスや空気の質、汚染度合いを判定するシステムの特許を申請しています。新型コロナウイルスの世界的蔓延によって、毎日吸い込む空気に対して皆が気を遣うようになった今だからこそ、こうした機能がスマートフォンやスマートウォッチにも積極的に求められているのでしょうか。
Source:TechXplore,Fashionsnap.com,AppleInsider
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-317185/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania