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Oculus Quest 2には狭い日本家屋の間取りを大幅変更するだけの価値がある

Facebookは米国時間9月16日、VR空間を自由に移動できる6DoF対応スタンドアローン VRデバイス「Oculus Quest 2」を発表、同日より先行予約を開始した。発売日は10月13日で、価格は64GBモデルが3万7100円、256GBモデルが4万9200円となっている。

ちなみに前モデルのOculus Questは64GBモデルが4万9800円、128GBモデルが6万2800円だったので、基本スペックが進化したうえに、大幅値下げが実施されたことになる。FacebookによればOculus Questは想定以上に売れ行きが好調だったとのことだが、一般層に普及させるためにもう一段階ギアを上げてきたように思う。

今回発売に先駆けてOculus Quest 2の実機を借用したので、スペック上の変更点と実際のVR体験についてチェックしていく。

Oculus Quest 2の価格は64GBモデルが3万7100円、256GBモデルが49万200円

スペックを着実に進化させつつ巧妙にコストカット

最初にOculus Quest 2の変更点を列挙しておこう。

スペックアップしたところ

スペックダウンしたところ

補足しておくと、Snapdragon XR2は処理性能的にはSnapdragon 865相当のプロセッサーだ。Oculus Questと比較するとOculus Quest 2はCPU、GPU性能が約2倍に向上していることになる。

ディスプレイはピクセル数が50%増加。リフレッシュレートも将来的なアップデートとソフトウェアのサポートにより72Hzに加えて90Hzに対応する予定だ。

変更点を総括すると、基本スペックを着実に進化させたうえで、ユーザー体験に大きな影響のない部分については大胆にコストカットしたという印象だ。もちろんすべてが進化したニューモデルを作ることもできただろう。しかり、多くの人にとって重要な「低価格」を実現するために、絶妙に設計されたデバイスだと筆者は考える。

左がOculus Quest、右がOculus Quest 2。並べてみると、ヘッドセットの本体部分がひと回り小さくなっているのがわかる

底面にボリュームボタンとマイクを配置

左側面には3.5mmイヤフォン端子とUSB-C端子を用意。Oculus Questは左右にイヤフォン端子が装備され、ケーブルが短い左用、右用のイヤフォンを装着できたが、Oculus Quest 2は右側のイヤフォン端子が廃止された

右側面には電源ボタンと電源インジケーターが配されている

ボタン、レバー、スティックの数と大まかな位置は同じだが、人間工学に基づきより握りやすい形状になっている

処理性能の向上は体感しにくい、格子模様はほぼ見えない

処理性能の向上は正直あまり体感できない。Oculus QuestとOculus Quest 2は相互互換で、現時点でOculus Quest 2専用のVRコンテンツは存在しない。Oculus Questは2019年5月に発売されたばかりで、数多くの台数が出荷されている。しばらくは、ソフトウェアデベロッパーはOculus Questでスムーズに動作することを前提にVRコンテンツを作成するはずだ。Oculus Quest 2の性能を最大限に引き出すVRコンテンツがリリースされるのは当分先の話だろう。

Oculus Quest 2のホーム画面。構成や機能はOculus Questと基本的に同じだ

「バーチャル環境」と呼ばれるテーマはOculus Questが、Quest Dome、Passthrough、Classic Home、Cyber City、Space Station、Winter Lodgeの6つ。対してOculus Quest 2は、Bubbles、Desert Terrace、夢幻館が追加されている

ただし、両者のソフトウェアのバージョン、ランタイムバージョン、OSバージョンが異なるので、Oculus Questに新しいソフトウェアが提供されたときに、未収録のバーチャル環境が追加される可能性がある

ゾンビを倒すガンシューティング「ARIZONA SUNSHINE」。画像で見るとポリゴン数を軽減し、テクスチャーも粗いことがわかる

しかし、Oculus Quest 2をかぶれば、片目あたり1440×1600ドットから1832×1920ドットへとピクセル数が50%増えたことの恩恵はすぐにわかる。「格子模様」がほとんど見えなくなっているのだ。

まだ現実と錯覚するほどの解像度には達していないが、VR空間内での没入感を大きく阻害する格子模様をほぼ除去できたのは大きな成果だ。

VRアドベンチャーゲーム「東京クロノス」。このような3D CGキャラクターは、格子模様が消えることでグラフィック品質が大きく上がる

 

DMM.comのVR動画の臨場感も大きく向上する

Oculus Quest 2のスペックダウンしたところとして「よりフィット感の強いストラップは別売りに」を挙げたが、布製ストラップの装着感については満足している。上のストラップを適切なテンションに調節すれば、ヘッドセット前方が重すぎるということはない。せっかく安くなったOculus Quest 2なのだから、標準の布製ストラップのかぶり心地を自分で試してから、「Quest 2 Eliteストラップ」(6800円)の購入を検討すればいいだろう。

適切なテンションに調整すれば、Oculus Quest 2の装着感は決して悪くない。ただ、跳んだり、しゃがんだりを繰り返すようなVRコンテンツをプレイする際には、サポート力が高い「Quest 2 Eliteストラップ」のほうが安心だろう

日本家屋の間取りを大幅に変更するだけの価値はある

VRデバイスを持っていないのなら、Oculus Quest 2はいますぐ買うべきガジェットだ。ケーブルから解放されたスタンドアローンVRの最新にして、最安のOculus Quest 2にはそれだけの魅力がある。もちろん中古市場に放出されるであろう前モデルを格安で手に入れるのもひとつの選択肢だ。

Oculus QuestからOculus Quest 2に買い替えるかどうかについては悩ましい。現時点ですぐに受けられる恩恵は格子模様の除去ぐらいなので、わざわざ買い替える必要はないかもしれない。しかし、PC用VRデバイスとしても使うのなら話は別。PC用VRデバイス「Oculus Rift S」の片目あたりの解像度は1280×1440ドット。Oculus Quest 2のほうがより高画質でPC用VRコンテンツを楽しめる。

日本家屋でVR用スペースを確保するのは難しい。しかし、Oculus Quest発売以来多くのVRコンテンツが登場し、Oculus Quest 2のローンチタイトルとして14本が発表された。部屋の間取りを大幅に変更するだけの価値はあるはずだ。

カテゴリー:VR/MR/XR
タグ:OculusOculus Quest

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