世界中の映画ファンが注目するクリストファー・ノーラン監督作品『TENET テネット』が、2020年9月18日、ついに日本でも公開された。“時間”をテーマとしたこの作品において、重要な役割を担っているのが腕時計。採用されたのは、これまで500本以上ものハリウッド映画に登場したお馴染みのブランド、ハミルトンである。
“時間の逆行”をテーマとした作品で描かれる腕時計
ウクライナのオペラハウスでテロ事件が勃発。スパイを救出し、聴衆を守るため、特殊部隊が館内に突入するが、その一員である名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、仲間を救うために身代わりとなって捕らえられ、睡眠薬を飲まされる。しばらくして目を覚ました彼は、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うミッションを命じられる──。
公開後に作品を観た多くの人がWebやSNSで指摘しているとおり、『TENET テネット』の内容は至極難解。一度観ただけでは、この映画の主題である“時間の逆行”の仕組みはもちろん、それが及ぼすストーリー展開も理解できず、鑑賞後には公式パンフレットに掲載された山崎詩郎氏(『TENET テネット』の科学監修を務めた東京工業大学理学院物理学系助教)の解説や、Web上で散見される記事などを読んだうえで、もう一度、映画館に“答え合わせ”に行きたいと思わせる、なんとも巧妙に仕組まれた作品だ。
そんな“時間の逆行”がテーマとなっている作品だけに、ストーリー後半で登場する腕時計は実に重要な役割を帯びている。選ばれたのはハミルトン。この連載の第1回でも紹介したが、ハミルトンは2014年公開のSF映画『インターステラー』でも採用されており、つまりクリストファー・ノーラン作品には二度目の登場となる。
ストーリーに緊迫感をもたらす「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ」
スクリーンに映し出されるその時計は、ストーリーのなかで絶妙な緊迫感を与えるとともに、そのデザインも印象に残るものだ。ベースとなっているのは「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ」。2008年にハミルトン史上最高となる1000mの防水性能を備えて登場したケース径46mmのタイムピースで、ステンレススチール製のケースはもちろん、ダイアル、ラバーストラップまで、すべてをブラックに統一したルックスがインパクトを与えるモデル。2020年にはケース素材をチタンに変更し、デイト表示もなくしたシンプルかつ使いやすいモデルにアップデートされている。しかも、この「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ」は、2015年公開のリドリー・スコット監督作品『オデッセイ』の劇中でも主演のマット・デイモンが着用。このモデル自体が二度も映画に関わったことになる。
ハミルトン
カーキ ネイビー ビロウ ゼロ
21万4500円
もっとも、『TENET テネット』では「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ」がオリジナルのまま使用されたわけではない。映画の製作チームより依頼を受けたハミルトンは、このモデルをベースに特別なバージョンを製作。現行モデルのダイアルにブルーとレッドのデジタル表示機能とカウントダウン機能を付与しているのだが、製作されたプロトタイプは200個を超え、製作期間は実に1年半にも及んだという。
そして、映画の日本公開からさかのぼること1カ月前の8月19日、『TENET テネット』の特別モデル「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ スペシャルエディション」がリリースされた。秒針の先端をブルーまたはレッドで彩った2モデルをラインナップし、いずれも世界限定888本を発売。映画で見られたようなデジタル表示が搭載されていないのは少々残念だが、秒針にアクセントカラーを用いたことで、『TENET テネット』の作品世界をしっかりと感じさせる時計に仕上がっている。コアなファンの多いクリストファー・ノーラン作品だけに、完売は必至だ。
ハミルトン
カーキ ネイビー ビロウ ゼロ スペシャルエディション
各25万800円(店頭在庫のみ)
問ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン●03-6254-7371
https://www.hamiltonwatch.com/ja-jp/
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000130138/
- Source:デジモノステーション
- Author:竹石祐三