誰でも伝書鳩を知っているだろう。では、伝書蛾は? この研究プロジェクトはそんな夜行性昆虫を使って、1/100オンス(0.28g)以下の小さな電子装置の配送サービスを提供しようとしている。
システムを作ったのはワシントン大学の大学院生チームと、それを率いる多能な超小型ガジェット作者、Shyam Gollakota(シャム・ゴラコタ)准教授だ。
「これは超小型ドローンや蛾のような昆虫からセンサーを落下させた初めての事例です。小さな昆虫は狭い場所通るのがどんなドローンよりも得意でずっと長く飛んでいられます」と同氏が大学のニュースリリースで語った。同氏は蜂のバックパック(未訳記事)や超低消費電力ビデオ通信など、極小スケールの新機能の開発を得意としている。
1セント硬貨の上に載っているセンサープラットフォームは、環境モニタリングからマイクロフォンや光検知装置など何にでも使える。この種の低消費電力ボードではバッテリーが何年ももつので、手の届かない場所の長期間モニタリングとは最適の組み合わせだ。
この仕組みの鍵となるのがリリースシステムだ。作りを軽量かつシンプルにするために、小型センサーは小さな磁石ピンで支えられている。ワイヤレスで信号を送るとピンに巻かれたコイルに電流が生じ、磁界に作用して装置を落下させる。
装置は1匹の蛾が容易に運べるほど小さいが、スズメガは蛾の中では小さいほうではないので、ハチドリくらいのサイズになることもあることをお忘れなく。しかし、見たところもっと小さな種類にも装着できそうだ。おそらくそれが次の実験なのだろう。
エコシステムの隅々まで蛾(あるいは他の昆虫)が運んでいける安価で長持ちするセンサーは、その分野を研究する人たちに非常に興味深いデータをもたらすだろう。もちろん、これを使って最高機密地帯にマイクを潜入させることも可能だろうが、おそらく誰もやろうとしないだろう。
National Science Foundation(国立科学財団)の助成を受けているこの研究は、Mobicom 2020で発表された。
カテゴリー:ドローン
タグ:ガジェット
画像クレジット:Mark Stone/University of Washington
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )