新型コロナウイルスの影響下だが、実は元気なメンズコスメ界。筆者の元には続々とメンズコスメの情報が届いている。新ブランドの起ち上げから、老舗ブランドの意欲的な最新作など、その様相も多岐にわたる。今回はマスクと夏の刺激で疲れた肌をじっくり癒す、そんな名品たちをご紹介しよう。
さすが老舗の貫禄。ラボ シリーズの技術が光る
メンズコスメの老舗・ラボシリーズの中でも名品と評判で、アワードも受賞した化粧水「ウオーター ローション RE」。これの前後に使う新製品が仲間入りした。これでようやくうるおいスキンケアの3ステップが揃い、シリーズが完結することになる。
まずは、洗顔料の「ウオーター ジェル クレンザー RE」。ジェルタイプの洗顔で、肌に溜まった汚れはきちんと除去しながらバリア機能は守る穏やかなタイプ。ガラクトアラビナンやグリセリンなどの保湿成分による独自の“ハイドラ2Gテクノロジー”を採用したことにより、優しく洗うを実現。潤いの取り過ぎによる洗顔後の不快なツッパリ感がなく保湿を重視するイマドキ男性向けの仕様。次に保湿のフタとなる「ウオーター エマルジョン RE」。
こちらは化粧水で整肌した角層を素早く潤いで満たし、乾燥に負けない肌へ導いてくれる乳液。スルスルと馴染むが、ベタつかず軽やか。前述のテクノロジーはここでも生かされていて、潤いが長時間続くようキープ。最近の男性の好みを理解し、その半歩先を提案してくるのはまさにラボ シリーズの得意とするところ。トレンド感溢れるモノ作りはまさにお見事の一言に尽きる。
繭の神秘的なパワーが、男のストレス肌を救う
日本のブランドも負けてはいない。福井県の企業であるセーレンから発売されている「コモエースMENシリーズ」が先頃リニューアルを果たした。毎日使うものだから快適にスキンケアを続けられるようにという願いを込めたラインナップ。同社の看板成分“ピュアセリシン”は繭由来のもので、人の肌の保湿成分と同じアミノ酸を豊富に含んでいる。ヒゲ剃りや紫外線などの刺激にさらされて乾燥しがちな男性の肌を癒し、ストレスに負けない若々しい肌へ導くようにと設計されている。中でも「コモエースMEN モイストセラム」の出来栄えがよい。
重くないテクスチャながらしっかりと守ってくれるのを実感できた。やや残念なのが「コモエースMEN モイストローション」で、こちらは従来品よりも減量したというがまだエタノールっぽさがあり、筆者の肌にはそれが感じられた。中高年層ではまだわかりやすい爽快感として親しまれているが、若い世代では好き嫌いが分かれるだろう。
ニベアの男性用高保湿バームこそ最先端トレンド
一方で、今秋は手に取りやすいドラッグストアのアイテムにもいくつかおもしろいものが登場する。注目すべきひとつ目はニベアメン。男性用フェイスケア市場で5年連続売上No.1というブランドから「スキンコンディショナーバーム エクストラケア」が10月10日に新発売される。
これまた“乾燥しやすい男の肌にうるおいを与え、長時間乾燥を防ぐ高保湿乳液”という保湿特化型。これほどまでに男性にも乾燥対策が必要だ、という認識が消費者、メーカーともに高まっている証拠であろう。うるおい成分・“スキンコンディショニングEX”を配合し、水分量の少ない乾燥肌でもきちんとうるおいを与え、それをしっかりとどめる処方の“密封のモイストスキンテック設計”が採用されている。これによって既存のニベアメン ベーシックシリーズではバームは新製品を加えると3種類となる。新製品がもっとも保湿能力が高く、これ1本で保湿ケアが完了するという使い勝手のよさも売りのひとつだ。
メンズメイクはミドルエイジの新たな扉を開く!?
ふたつ目の注目株は、男性の40歳からの体の変化に着目したルシード。スキンケアではシワ改善有効成分の“ナイアシンアミド”を配合した「薬用 リンクルフォースクリーム」や、“トラネキサム酸”を配合したシミ用の「薬用 メラノクリーム 」(どちらも医薬部外品)が登場する。どちらも特定の悩みである、シワやシミにフォーカスしたスペシャルケアアイテムだ。デパートで販売されるプレステージコスメでは見慣れた存在だったが、それらがドラッグストアコスメ、しかもメンズにまで到達した。そして注目すべきなのは、フェイスメイクシリーズとしたアイテムたち。「フェイスカバーコンパクト」はまさに女性が持ち歩くような鏡のついたコンパクト型で、色ムラを解消するコンシーラー。明るめな肌色と健康的な肌色の2種類を用意し、自分に合う色も選べる点も抜かりがない。そして「印象アップローション」と名付けられたアイテムはメイクアップベースとなっているが、顔全体に塗布してトーンアップするローション。これ単体で使ってもOKで、先述のコンパクトをさらに重ねてもいい。この分野は幅広い年齢をターゲットにした資生堂のUNOが先行していたが、ミドルエイジ層に訴えかけるルシードから発売されたことで、メンズメイクのボトムアップがなされたとみるべきだろう。
女性市場の飽和状態に加え、インバウンド需要の落ち込みから雨後の竹の子のように男性コスメ業界に進入してくるメーカーは多い。しかし、明瞭なコンセプトや綿密な分析が行われていないブランドやアイテムはすぐに淘汰されてしまうだろう。それほどまでに男性のコスメを見る目が上がっていると言い換えてもいい。我々、消費する男性側も既存のアイテムだけに満足せず、常に新しい情報をアップデートするようにしたい。さらに新しいというだけで飛びつかず、そのテクノロジーや成分、使い勝手などを吟味することを忘れてはならない。
text : 藤村岳
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000130423/
- Source:デジモノステーション
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