欧州連合(EU)がGoogleやAmazon、Facebook、Appleなど計20社の巨大テック企業をリスト化し、彼らに対してより厳格な規制を課していく方針を検討していることが分かりました。
透明性とデータの共有を義務付け
EUは近年、テック企業の市場の影響力を削ぐ努力を続けてきました。2019年に競合他社の広告を不当に排除したとしてEUが下した、Googleへの14億9,000万ユーロ(約1,853億円)はそうした試みの一環と言えるでしょう。しかし制裁だけでは、巨大テック企業に大きな影響を与えられないと気づいたようです。
Financial Timesによると、新たな規制案でリスト入りする企業20社はユーザー数や収益シェアなどの基準を元に選出されており、その中には競合他社も使わなければビジネスが成り立たないほどのプラットフォームを持つ巨大なテック企業も含まれるようです。これらがAppleやGoogleを指しているのは明白です。
この規制が実施されれば、リスト入りした企業は自分たちの収集した情報を今まで以上に透明性のあるものにする必要があるほか、データを他社と共有しなければなりません。先日報じられた、プレインストールアプリの禁止もこの規制案と関連しています。
AppleとEUの険悪な関係
AppleとEUの戦いが最も表面化したのは、アイルランドでの節税問題でしょう。
Appleはアイルランドと特殊な取り決めを行い、法人税率を最小0.005%と極端に下げてもらう見返りに、海外で得た収益を同国に集積していました。この節税によって、Appleは少なくとも1,200億ドル(約12.6兆円)の利益を得ていたと考えられています。これに対して、EUの欧州委員会は約130億ユーロ(約1.6兆円)の支払いをAppleに命じました(ただし、欧州裁判所はこの命令を証拠不十分で無効との判決を下しています)。
今後は国際的な締め付けが強化されていく
今回名前が挙がっているGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)はいずれも米企業であるだけに、EUと米国との間で政治的緊張が増すのは必至ですが、米国でも彼らテック企業への風当たりは強く、今後数年で国際的な締め付けがより厳しくなっていくことが予想されます。
事実、経済協力開発機構(OECD)が主導して、巨大テック企業の“節税”を抑制すべく、デジタル課税への国際的な枠組みを取りまとめていることも分かっています。国際的な取り組みが実現すれば、ほぼ活動実態のない国で税金を安く済ませることもできなくなるというわけです。
Source:Financial Times,AppleInsider
Photo:Flickr-bobbsled
(kihachi)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania