スマホが普及し、SNSが一般化した今、自分の顔写真をプロフィール画像に使っている人が多くなりました。ネットに顔を出すなんて……と抵抗を感じていた人でも、Facebookに友達が集合写真を投稿したことでネットデビューを果たしてしまったかもしれませんね。
でも、SNSに顔写真を載せても危険はないのでしょうか。
顔写真を出す機会は、パパやママが自分の顔写真を載せる、パパやママが子供の顔写真を載せる、子供がSNSデビューして自分の顔写真を載せるという3パターンがあります。それぞれ、危険性を考えてみましょう。
パパやママが自分の顔写真を載せる
大人が自分の顔写真を載せる場合、もっとも避けたいことは仕事上のリスクでしょう。顔写真と本名、会社名が結びついたとき、悪用される危険があります。特に、有名な企業の経営者や会社員、学歴が高い、収入が高いといった、周囲から嫉妬される要素がある人は注意が必要です。自分が悪いことをしていなくても、誰かが炎上した際に「こいつも仲間だ」と一緒に画像を挙げられてしまう可能性があります。
また、事件の犯人として顔写真を使われてしまった事例もあります。ある事件の犯人と勘違いされた女性の名前と顔写真が出回り、無実の罪を着せられた女性が損害賠償の訴訟を起こしました。真犯人が逮捕されたこともあり、デマを流された女性は慰謝料を受け取ることができましたが、いまだネットにはデマが残っています。
かっこいいパパや綺麗なママの場合、顔写真をマッチングアプリやSNSの偽アカウントに使われてしまうこともあります。ネットにひとたび出すと、誰でも簡単に画像を保存できてしまうからです。出会いを求めていると勘違いされては困りますよね。
パパやママが子供の顔写真を載せる
子供や赤ちゃんの写真は誰が見てもかわいいですよね。SNSにシェアすれば、「いいね」もコメントもたくさんつきます。でも一方で、幸せそうな様子に腹を立てる人もいるのです。先ほど申し上げたように、子供の画像は簡単に保存できます。
2015年アメリカで、子供の写真を勝手に保存し、自分の子供だと偽ってSNSに投稿していた男性が問題になりました。「デジタル誘拐」と呼ばれるこの行為は、いいねやフォロワーを増やしたいのか、ただ架空の世界を楽しみたいのかわかりませんが、気分の良いものではありません。
また、子供自身が成長すると、自分の幼い頃の写真を投稿していたことを嫌がる可能性もあります。大人から見たらかわいいおむつ姿やトイレトレーニングの様子は、本人にとっては恥ずかしいもの。オーストリアでは本人に無断で自分の写真をFacebookに投稿したとして、18歳の女性が実の両親を訴えました。自分の名前で検索したとき、自分の幼い頃の写真がヒットする経験は私たち親世代にはありませんが、今の子供達には当たり前になる時代が来ます。子供のいじめには、恥ずかしい写真をばらまく「晒し」もあるので、注意が必要です。
子供がSNSデビューをして自分の顔写真を載せる
中学生以上になると、自分でSNSのアカウントを作り、プロフィールや投稿に顔写真を出すようになります。特に女子は、自撮りやプリントシール機での撮影が多いので、SNSへの投稿も増えます。友人が我が子と撮った写真を公開することも珍しくなくなります。年頃の娘が顔写真を公開することは、親としてはハラハラしますよね。
中高生が顔写真を出すと、画像を第三者に勝手に使われるリスクがあります。また、中高生は制服や学校での撮影が多いため、ストーカーが本人を特定することも容易です。最寄り駅まで変質者が来てしまう可能性もあります。
でも顔写真を載せたいときはどうしたらいい?
リスクがあることはわかっていても、顔写真を載せたいときもありますよね。自分が特別な場所にいるときは、みんなに気持ちを共有したいでしょう。子供の写真を投稿すれば、成長ぶりをみんなに見てもらうことで会話が生まれ、育児の励みになります。中高生に「顔写真を載せるな」というルールを守らせることも現実的ではありません。では、どうしたら安全を守れるのでしょうか。
まず、公開範囲を限定することです。Facebookなら公開範囲を友達に、TwitterやInstagramは非公開アカウントに設定します。たくさんのフォロワーを抱えてしまっているとあまり狭まらないのですが、それでも不特定多数にオープンにしているよりも安全です。
次に、顔がわかりづらい写真にすることです。後ろ姿や横からの写真でも、かえって良い雰囲気になる場合もあります。自撮りアプリでスタンプ加工をするのもいいですね。顔全体をスタンプで隠したり、目の部分だけ飾ったりするとかわいらしく隠せます。
そして、画像の背景にも気を配りましょう。本名や住所、学校名、会社名、最寄り駅、近所のスポットなどのヒントが背景に映り込んでしまうと、個人情報が特定されてしまいます。最近は写真だけでなく、動画で自撮りをする人も増えています。ふとした瞬間にカメラが動いて、映してはいけないものを撮影してしまうかもしれません。投稿前に何度も見直して、確実に安全だと判断したものをシェアするといいですね。
スマホ安全アドバイザー、ITライター。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。著書「親が知らない子どものスマホ」(日経BP社)、「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000130452/
- Source:デジモノステーション
- Author: