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Foxconn、米国工場の税制優遇受けられず〜計画と実態が大きく乖離

foxconn
 
Foxconnが米国に建設しているディスプレイ工場の計画が目標に対して大きく遅延しているため、ウィスコンシン州は同社の税制優遇申請を認めなかったことを明らかにしました。

当初の大掛かりな計画は尻すぼみに

ドナルド・トランプ政権による「MAGA(Make America Great Again:再びアメリカを偉大に)」の掛け声のもと、米国ではここ数年、関税の調整や補助金で工場を海外から国内に誘致する政策が採られてきました。iPhoneの組み立てを請け負うサプライヤー大手Foxconnも、米国内の工場建設に名乗りを挙げた企業の一つです。トランプ大統領きっての肝いり政策とあり、工場建設の着工式には大統領本人が出席するほどでした。
 
ところが2020年10月、ウィスコンシン州がFoxconnの税制優遇申請を却下していたことが分かりました。理由は当初予定されていた計画よりも、実際のディスプレイ工場規模が小さくなることが判明したためです。計画通りであれば、最終的に100億ドル(約1兆500億円)の投資で30億ドル(約3,160億円)の税還元が受けられるはずでした。しかし、2019年の終わりまでに投資された額は、目標の33億ドル(約3,480億円)に対して2億8,000万ドル(約295億円)ほどだったようです。

このままでは返納義務も発生

取り決めでは2019年中に520人の雇用を新たに行う必要があり、Foxconnも550人ほどを雇用したと主張していましたが、実際に税制優遇の基準を満たす対象となったのは281人でした。ウィスコンシン州の工場は最大13,000人の従業員を雇用すると言われていました。また2019年7月の時点では、2020年5月に1,500人の従業員で運転開始する見通しでしたが、実際には10月になっても建設中で稼働も始まっていないようです。
 
ニュースサイトThe Vergeは昨年の時点で、ウィスコンシン州にあるイノベーションセンターが稼働していないことを指摘しており、税制優遇を引き出すための“箱物”ではないかと指摘していましたが、このままでは優遇すら受けられないことになります。仮に2023年までに最低5,850人を雇用しなければ、Foxconnはこれまで優遇された分もウィスコンシン州に返納する必要があります。
 
 
Source:The Verge,AppleInsider
(kihachi)

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