イギリスの保守党議員のジュリアン・ナイト氏が、音楽ストリーミングサービスのアーティストへの支払い実態の調査を開始します。Apple Musicのアーティストへの平均支払い額は、1曲再生されるごとに約0.01円であることがわかっています。
才能のある知名度の低いアーティストが犠牲になっている?
音楽ストリーミングサービスは、音楽業界の大きな収入源となっており、昨年の総売上額は10億ポンド(約1,359億4,000万円)に達しています。しなしながら、アーティストからは十分な支払いが得られていないとの意見が多く聞かれるのが現状です。
イギリスのデジタル・文化・メディア・スポーツ省の委員長のナイト保守党議員は、「市場の成長は、才能のある知名度の低いアーティストの犠牲の上に成り立つべきではない」と述べており、ストリーミングサービスにより適正な支払いが行われているかの調査を11月に開始します。
クラシック演奏家で大英帝国勲章も授与されているタスミン・リトル氏は、今年の始めに音楽ストリーミングサービス上での500万〜600万再生(6カ月間)の支払い額が12.34ポンド(約1,677円)であったことをソーシャルメディアで明かしています。
It was £12.34 for 6 months, in other words for around 5-6 million streams https://t.co/VFjJJ8jq53
— Tasmin Little OBE (@tasminlittle) May 18, 2020
リトル氏の場合、デジタル権利が発生する以前に録音が行われた彼女の音源が、アーティスト契約の中で特殊なカテゴリに位置づけられたことと関係しており、レーベルが決定した支払い額が低かったという事実が後に判明しています。
1万回の再生で100円の支払い
それでも、知名度の低いアーティストへの支払い額が非常に少ないことに変わりはない、と英BBCは述べています。BBCの調査によれば、ストリーミングサービスごとの支払い額は、1再生あたり以下のとおりであるとのことです。
- Apple Music:0.0059ポンド(約0.8円)
- Spotify:0.002〜0.038ポンド(約0.27〜5.17円)
- YouTube:0.00052ポンド(約0.071円)
上記の支払い額は、レーベル、作曲家、アーティストに分けられ、アーティストへの支払い額は平均13%となっているため、Apple Musicの場合、1再生ごとにアーティストに支払われるのは0.0000988ポンド(約0.01円)という計算になります。すなわち、100円を稼ぐのに、1万回の再生が必要になることを意味します。
コロナ禍でライブ活動に制約がかけられ、アーティストの収入源が少なくなっていることもあり、ストリーミングサービスの支払い状況の見直しが求められているようです。
アンケート調査の結果、SpotifyとApple Musicはもっとアーティストに支払うべきとの意見が多くを占め、65%のユーザーが、そのためならより高いサブスクリプション料金を支払うことも辞さない、と答えています。
Source:BBC via 9to5Mac
(lexi)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania