海外では予約が始まった途端にオンラインストアの在庫が1分で消えるなど、人気殺到のiPhone12シリーズは、2020年第4四半期(10月〜12月)から2021年にかけて、大きな売上記録を作るようにも思えます。しかし楽観的な見通しを立てるアナリストばかりではありません。
あえてProを選ぶ理由とは
Deutsche銀行のアナリストは、金銭を惜しまず最先端のテクノロジーに飛びつく消費者を惹きつけることにiPhone12シリーズは成功していないのではないか、と指摘します。こういった消費者は、2017年ならiPhone X、2018年ならiPhone XS、2019年ならiPhone11 Proと最も価格が高く、性能が良いモデルに食指を動かしてきました。しかしiPhone12 Pro/Pro MaxとiPhone12/12 miniを比較したとき、前者をあえて買う理由が消費者に与えられていないというわけです。
確かにiPhone Xであれば、Face ID(顔認証)の有無という決定的な違いがiPhone8/8 Plusとの間には存在しました。ディスプレイの大きさもiPhone Xが5.9インチなのに対し、iPhone8 Plusは5.5インチでした。しかしiPhone12 Proの場合、iPhone12と大きく違うのはカメラの数と内蔵ストレージだけです。ディスプレイのサイズは共に6.1インチですし、搭載パネルはいずれも有機EL(OLED)です。
むしろiPhone12/12 miniがお買い得?
トリプルカメラを採用しているiPhone12 Pro/Pro Maxのみに搭載されたLiDARセンサーは、対象を立体的に把握するためのもので、拡張現実(AR)や暗所での撮影に大きな役割を果たすとされています。しかしDeutsche銀行のアナリストは、これはプロの写真家にとって意味を持つものであり、大半の消費者にとっては重要ではないと指摘します。事実、昨年の年末商戦で最も売れたのは、iPhone11 Pro/Pro Maxではなく安価なiPhone11でした。
UBS証券のレイモンド・ジェームス氏も、Proシリーズの価格が999ドル(日本では106,800円)〜と高いため、2021年の会計年度でProシリーズはiPhone売上全体の25%しか占めないだろうと指摘します。「iPhone12にすべての機能が搭載されていることを思うと、iPhone12 Proが提供する価値は結局のところカメラの品質に尽きる。このカメラは確かに圧倒的だ。だが、iPhone12とiPhone12 Proを区別するのはカメラだけなのだ」
この違いをポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかは人それぞれでしょう。事実、ニュースサイトCult of Macは「iPhone12 miniとiPhone12 Proとの違いはカメラだけだ」と、逆にiPhone12 miniのコストパフォーマンスを高く評価しています。2020年前半のiPhone売上がiPhone SE(第2世代)のヒットによって大きく下支えされたことを思うと、むしろAppleはiPhone12 Pro/Pro MaxをiPhone12/12 miniの引き立て役だと考えているのかも知れません。
Source:CNBC
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-322220/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania