米司法省は20日(現地時間)、Googleが検索サービスにおいて独占的な地位を利用し、不当にライバルを競争から阻害していたとして、同社に対して独占禁止法(反トラスト法)違反で訴訟を起こしました。Appleが提供するブラウザ「Safari」のデフォルト検索エンジンに設定してもらうことで、不当にライバルを排除していたことなどが問題となっています。
Appleとの契約が問題に
司法省はフロリダ州やテキサス州など計11の州と共同で、首都ワシントンの米連邦地方裁判所にGoogleを提訴しました。
Googleが今回問題視されたのは、Appleのようなスマートフォン企業に大金を支払い、ブラウザ(AppleであればSafari)のデフォルト検索エンジンに自社サービスを設定させていた点です。支払った金額は正式に明らかにされていませんが、2018年には95億ドル(約1兆円)と見積もられています。
裏を返せば、1兆円を支払ってでもデフォルトの検索エンジンにしてもらうことで、Googleは多大な利益が見込めるというわけです。事実、司法省が近日中に訴訟を起こすのではないかといった観測が10月頭に登場した際も、事情に詳しい複数の関係者が、検索エンジンからユーザーのデータや動向を独占しターゲティング広告に繋げる行為の問題について言及していました。
独占的なプリインストール要請
また、Safariのデフォルト検索エンジンにしてもらう契約を結んだこと以外にも、AndroidにGoogle検索アプリをプリインストールするよう他社に要請していたことや、ライバル企業の検索ツールをプリインストールしないよう禁じていたことも問題視されています。
司法省は、このように自分たちの検索エンジンを特権的な地位に置く行為で、検索サービスの質低下や消費者の選択肢減少、広告単価の高止まりを招いたと批判、ライバル企業が不当に排除されることで、健全な競争が阻害されてきたと強調しました。Googleは自社所有とコントロール下においている検索チャンネルを合わせると、米国内で約80%をカバーしています。
今回の訴訟に先んじる形で、AppleはGoogleの検索エンジンから自社開発の検索エンジンへの変更を検討しているとも噂されています。仮に実現すれば、GoogleにとってはiOS製品で大きく存在感を失うばかりか、iOS14のトラッキング防止機能で、事業の中核である広告事業が大きく脅かされることになるでしょう。
なお米国だけでなく、欧州連合(EU)や日本も“GAFA”と呼ばれる巨大テック企業(Google、Apple、Facebook、Amazon)の規制を強めていく方針が度々報じられています。
Source:AppleInsider,日本経済新聞
(kihachi)
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