Gowalla(ゴワラ)が帰ってくる。
このスタートアップのことは、TechCrunchの長年の読者なら覚えているだろう。その一般消費者向けの野心的なソーシャルアプリでシリコンバレーの投資家たちを興奮させながら、結局はFoursquare(フォースクウェア)追い打ちの路線でまごついていた2011年、300万ドル(約3億1400万円)の企業買収による人材獲得(未訳記事)で、同社の才能はFacebook(フェイスブック)に渡ってしまった。
そこで物語は途絶える運命にあったかに見えたが、創設者のJosh Williams(ジョシュ・ウィリアムズ)氏がTechCrunchに語ったところによると、彼はGowallaの名前を復活させて、拡張現実(AR)技術に軸足を置くことでその究極の目標を実現させる決意を固めたという。
「私はまだ『Gowallaのビジョンは』完全に実現していないと思っています。だからこそ、私はその痒いところを掻きたいのです」とウィリアムズ氏はTechCrunchに話した。「正直、会社が閉じられるのを見るのが本当に辛かった」
フェイスブック、ベンチャー投資家が支援する別のスタートアップ、その他いくつかの職業を点々とした後、ウィリアムズ氏はGowallaの名前を取り戻した。そして、共同創設者Patrick Piemonte(パトリック・ピエモンテ)氏の助言のもと、会社を甦らせようとしている。ピエモンテ氏は、元Apple(アップル)のインターフェイスデザイナーであり、Gowallaの前には拡張現実スタートアップMirage(ミラージュ)を創設している。新しいGowallaは、ウィリアムズ氏とBobby Goodlatte(ボビー・グッドラット)氏が運営するデザイン系を対象とした小さなベンチャー投資ファンドであるForm Capital(フォーム・キャピタル)の中でインキュベートされていた。
ウィリアムズ氏は、ARがGowallaに新たな命を吹き込むと期待を寄せている。
フェイスブック、アップル、Google(グーグル)が多額の投資を行っているものの、拡張現実はいまだギャンブルの域を出ない。この技術を擁護する人たちも、その多くが一般に受け入れられるまでにはあと数年かかると予測している。アップルのARkit開発者用プラットフォームは、膨大な投資とは裏腹にほとんど成果を上げていない。この分野で唯一、一般消費者の間で大ヒットした『Pokémon GO』も、古くなりつつある。
「現在ある最大のAR体験はPokémon GOです」 とウィリアムズ氏は、2016年にデビューしたゲームを指摘した。「それはこの分野を大きく前進させましたが、これから私たちが見るものという意味では、まだまだ初期段階です」。
新しい拡張現実プラットフォームが、具体的にどのような姿でローンチされるのか、その詳細を尋ねると、ウィリアムズ氏は言葉を濁す。ただ、ソーシャルゲームというよりは、ゲーム要素を採り入れたソーシャルアプリのような感じだと教えてくれた。とはいえ、任天堂の『あつまれ どうぶつの森』には、プラットフォームの基礎づくりにおいて影響を受けたとのことだ。
「ボスやミッションやレベルのあるゲームとは違います。むしろ、体験できる何かです。拡張現実と場所をどのようにブレンドするか。他の人の目を通してどんな世界を見るか」とウィリアムズ氏は語る。
位置情報に基づくソーシャルプラットフォームは、ユーザーが実際にその場所へ行くという行動に依存する。そのためパンデミックによって、このアプリのローンチ時期が大きく左右されてしまった。米国時間10月20日、Gowallaは予約受付を開始した。ウィリアムズ氏によれば、アプリ本体は、2021年前半のいずれかの時期に「多くの都市で」ベータ版がローンチされる。彼らはまた「ストリートチーム」という少数の有償ベータテスターによるグループと、あるユニークな取り組みを試している。それは、49ドル(約5100円)の定額料金を支払ったユーザーは早期にGowallaにアクセスでき、「VIPメンバーシップ」会員としてプライベートなDiscord(ディスコード)グループに参加できるというものだ。Gowallaブランドの記念品ももらえる。ストリートチーム専用アプリは12月にローンチされる。
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タグ:Gowalla、AR、Facebook、位置情報
画像クレジット:Gowalla
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(翻訳:金井哲夫)