ブロックチェーンゲーム開発・運営のdouble jump.tokyoは10月23日、ブロックチェーンゲーム開発支援プログラム「MCH+」において、ブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応を支援する「Asset Mirroring System」(MCH+AMS)を開発し、ベータ版リリースを発表した。
メタップスアルファ運営のNFTの取引所「miime」(ミーム)と、MCH+AMSを介したNFTの出品・購入を可能にする実証実験を10月26日より開始すると明らかにした。
NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーン「イーサリアム」(Ethereum)の技術規格ERC-721に準拠して発行された非代替性トークン。ERC-721は「所有、譲渡、譲渡の委任」を定義する規格で、NFTのコンテンツ情報はメタデータで定義されている。
マルチチェーン対応を迫られるブロックチェーンコンテンツ開発会社
ブロックチェーンゲーム業界で現在主流となっているイーサリアムでは、トランザクションフィー(送付手数料。Transaction fee)の高騰やスケーラビリティの問題を抱えている。それら問題を解決するためにイーサリアム2.0(ETH 2.0)の仕様が日々議論され、将来的に移行することが計画されている。
また昨今では、NFT対応の新たなブロックチェーンが複数登場。今後新しくリリースするブロックチェーンコンテンツは、複数ブロックチェーンを柔軟に利用できることが求められているという状況にある。
しかし、コンテンツ開発会社がマルチチェーン対応を行うと大変なコストがかかることになる。そこでdouble jump.tokyoは、MCH+パートナーが柔軟にブロックチェーンを選択できるように、統一的なアセット情報取得・利用を実現する「MCH+AMS」サービスを開発・提供する。将来的にはセカンドレイヤー技術を採用予定という。
MCH+AMSはイーサリアムのみ対応、LINE BlockchainやDapperlab独自のFlowにも対応検討
MCH+AMSは、イーサリアムのみ対応となっているものの、MCH+パートナーコンテンツの要望に応じて、対応チェーンを拡充させる予定。MCH+AMSの拡張チェーンとして、LINE独自の「LINE Blockchain」、仮想の子猫を取引するクリプトキティーズで著名なDapperlabが独自に立ち上げた「Flow」について、近日中に提供すべく検討を進めているとした。
LINE Blockchainについては、クローズドベータテストプログラムに参加したノウハウを活かし、MCH+既存コンテンツでマルチチェーン化に着手済み。Flowについても、開発者と直接連携を取りながら具体的な実装について検討を進めているという。
ハイブリッド方式ブロックチェーンゲームがオンチェーン前提の外部サービスと連携可能に
現在のブロックチェーンゲームは、オフチェーンとオンチェーンを組み合わせた「ハイブリッド方式」が多く採用されている。
このハイブリッド方式は、トランザクションフィーの大幅削減というメリットがあるものの、オフチェーンで利用されるアセットはオンチェーン上のエコシステム、特にNFT取引所において出品・購入できないという課題を抱えていた。
一方MCH+AMSでは、オンチェーン利用を前提とした外部サービスとの連携が可能。例えば、NFT取引所ではアセット譲渡にかかるトランザクションフィーを低減し、任意の通貨で取引できるようになる。
またMCH+AMSは、同社が策定に参加しているNFTを取り扱うためのAPI仕様「Oct-Pass API spec」に準拠し、Oct-Passが実現するNFT相互利用をMCH+パートナーは低コストで対応可能という。
メタップスアルファ運営のNFT取引所「miime」とのAPI連携に関する実装実験
double jump.tokyoは、MCH+AMSの外部連携として、メタップスアルファ運営のNFT取引所「miime」とのAPI連携に関する実装実験を行う。実証実験の期間は、2020年10月26日~11月25日。
この実証実験では、まずはdouble jump.tokyoのブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)のオフチェーンで管理されるアセットについて、miime提供の「日本円による決済」で出品・購入可能になる。アセット譲渡にかかるトランザクションフィーはかからない。イーサリアム決済も近日対応予定。実証実験後の正式リリースについては、別途発表としている。
MCH+AMSは、マイクリNFTのmiimeとのAPI連携実証実験の結果を踏まえ、年内にMCH+パートナーコンテンツに展開し、対応アセットの拡充を計画。また、エコシステムパートナーとの相互利用を進めていくという。
今後は、NFTだけでなくファンジブルトークン(Fungible Token)を含んだ設計のサポートも開始。すでにマイクリにおいて、ファンジブルトークンを使ったガバナンストークン「MCH Coin」を設計したノウハウを蓄積しており、MCH+パートナーがファンジブルトークンを設計・発行できるようノウハウおよび技術の提供をしていくとしている。
また、インディーズゲームへのサポートも整理。個人開発者がNFTの相互利用を積極的に行えるよう、MCH+機能を利用しやすくするためのUI Kitをオープンソースソフトウェアとして提供予定という。
double jump.tokyoは、ブロックチェーンゲーム専業開発会社として2018年4月に設立。同社開発・運営の「My Crypto Heroes」は、2018年11月の正式サービス開始初日より、イーサリアム基盤のブロックチェーンゲームとして取引高・取引量・DAUで世界1位を記録。ブロックチェーンゲームの拡大に寄与してきた現在でも、国産トップレベルのブロックチェーンコンテンツとなっている。
メタップスアルファは、ブロックチェーン技術にコミットしたサービスを開発。また世界で唯一、日本円でのNFT取引が可能なマーケットプレイス「miime」を運用している。今後はmiimeのトレード機能を他社にも提供することで、ゲームに限らずデジタルコンテンツのトレード事業拡大を目指している。
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カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: Ethereum、MCH+、ゲーム / eSports、double jump.tokyo、ブロックチェーン(用語)、My Crypto Heroes、miime、メタップスアルファ、LINE Blockchain、日本
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/10/23/double-jump-tokyo-mch-plus-ams/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa